7 / 28
恋人は名前を呼ぶもの
しおりを挟む
デートの翌日、いつも通り中央管理局の自室にて水っぽいコーヒーを片手に、地下へ隔離されている魔人たちに行われた実験結果の報告書を目に通す。
しかし頭の中は報告書よりも昨日のデートのことが大半を占めていた。
デートの結果は、はじめてにしては及第点だった。デートしたその日の晩、初日に受け取らなかった端末を貸してほしいと頭を下げてきた。理由はきかなかったが、メルギスクからなにかを求めてきたのはいい傾向だ。
恋人がする狭い空間での密着やデート中の手つなぎに一緒の食事と会話。どれも家でできることだ。それでも、外でのデート――特別な時間と空間の意義を理解できた。
「そういえば、彼には二人の弟がいたな」
メルギスクが二人の弟に甘いことは監視カメラの映像から容易にわかる。
最初彼らも含めた同居を頼まれた時は拒否したが、うまく取り入ればメルギスクの警戒心もさらに薄れるだろう。だが、理由もなしに迎え入れれば、むしろ悪化する。
次に恋人らしいことを考えながら冷たく風味のないコーヒーを一口飲む。目を通し終えた報告書にサインし、部下につながっている転送端末へ放り込んだ。
ひととおり業務を終えて帰宅する頃には、夏が近いのか重そうな雲があちこちに重なっているものの空は青くまだ明るい。
エレベーターに乗って上昇していく数字を眺めていると最上階へついた。
いつもどおり靴を脱いでそのままリビングへ行こうとしたが、玄関にメルギスクがいた。
恋人となってから一度もなかったメルギスクの恋人らしい行動に、柄になくちょっと間思考が止まるものの、とりあえず微笑んだ。
「きみが玄関にいるなんて珍しいね。荷物でも届くのかい?」
それであれば、納得もいく。
かすかに眉を寄せて口を開いては閉じるメルギスクを横目で見つつ、靴を脱いでそのまま通ろうとすると、メルギスクの手がぎゅっと拳を握りしめ絞り出すよう呟いた。
「おかえり、なさい」
声となって届いた言葉に、ホルツは肩越しに振り返って淡い青緑の瞳をかすかに見開いてしばたく。
メルギスクの耳やうなじが熟しかけのトマトのごとく柔らかな赤みを帯びていた。
その光景は帰宅したホルツへ言葉をかけるためだけに玄関にいたという事実がジワジワと脳へと染みこんでくる。言うなれば、ホルツが帰ってきたことを歓迎した現れでもある。ホルツの住居だから帰ってくるのは当たり前のことだ。けれど、自分が帰宅したことを同居人が受け入れた。
普通の家庭であれば、特段珍しいことではない。しかし、ホルツにとってはじめてのことだった。
またもや柄にもなく胸がドクドクと鼓動を打ち、全身の血液が急速に巡る。顔がかすかに熱を持つのを覚えながらホルツはようやくメルギスクに言った。
「ただいま」
はじめての返し言葉は覚え立ての言語を口にした時のような違和感だ。
ホルツの返答にメルギスクが振り返って少しだけ目を見開いたが、数度瞬きをした後、思い出したように口を開いた。
「あの、今更ですが靴や服を買ってくださりありがとうございました」
「礼を言われることはしてないよ。必要だからしただけだからね」
改まって礼を述べてくるメルギスクをおかしく思いながら返す。
メルギスクはホルツの返答に少し黙った後、気を取り直すように続けた。
「えっと、せっかく広いキッチンがあるので夕飯作ってみたんです。口に合うといいんですけど」
「それは楽しみだ」
早足でホルツの横を通り過ぎたメルギスクがリビングに入っていく。洗面台で手を洗った後、ホルツもリビングへと進んだ。
リビングに入れば、マーガリンや卵の香ばしい残り香がかすかにした。はじめて自宅に香る料理の匂いは再びホルツを新鮮な気分にさせる。
キッチンの傍にある四人がけのダイニングテーブルには、小皿に分けたサラダとオムライスが並んでいた。湯気を立てるふわふわとした鮮やかな黄色は綺麗な紡錘型だ。
「見事なオムライスだね、おいしそうだ。先に食べても?」
「どうぞ」
イスに座り、おいてあったスプーンを手に取って一口分とる。そうすれば、中からオレンジ色のケチャップライスが湯気をたてながら顔を出した。口に運べば、マーガリンの香りがする卵とケチャップ以外にもマッシュルームやウインナーの味が伝わってくる。
コトッと水が入ったガラスコップを目の前に置かれ、向かいのイスにメルギスクが腰をかけた。
「どうですか?」
「とてもおいしいよ」
「よかった……。あ、ケチャップいります?」
メルギスクが自身のオムライスにケチャップをかけた後おもむろに尋ねてくる。
なにもかけなくてもじゅうぶんおいしいが、せっかくなら何か書いてほしい。
「じゃあ、きみが書きたいものを書いて」
「え……」
眉を寄せて困惑するメルギスクへとオムライスが乗った皿を向ける。
メルギスクは少し考えた末、ぎこちないながらも自身の名を書いてホルツの方へ押し返した。
「俺は『きみ』じゃなくて、メルギスクって名前があります。長くて呼びづらいならメルでいいですから」
「なら今度からそう呼ばせてもらおうかな」
オムライスの皿を手元に引き寄せてケチャップで書かれたメルギスクの名前と一緒に少しずつ口に運んでいく。
お互い食事を終えると、メルギスクがカップと皿を洗い終えるなり「先にシャワー借ります」と一言告げて風呂場へ消えていった。
シンと静かなリビングはいつも通りだ。いつもならホルツもさっさと部屋に戻るが、今日はリビングに残ってテレビをつけた。
ドラマのチャンネルなのか、男女が向き合っており、告白するシーンなのだと察しがつく。お互いが思いをぶつけ合い一瞬の沈黙の末、男が女に思いの丈を半ば叫ぶように告げる。きっと盛り上がる場面なのだろう。ソファの背もたれにもたれて腕を組むと自然と言葉が漏れた。
「くだらないな」
演出だとしても、それ以外の言葉が見当たらなかった。
テレビを消し、ソファの背もたれへ頭を預けて目をつぶる。どのくらいそうしていたのか、ガチャッと浴室の扉が開く。スリッパの音が近づいてきて、目蓋の裏が少しだけ暗くなった。鼻先に届くシャンプーの匂いと水気をまとった空気が頬を撫でていく。
「あっ」
小さな声が漏れると同時にポタッと頬へ水滴が垂れ落ちた。かすかな衣擦れとともにためらいがちに少しざらついた硬い指先がそおっと拭いとる。
自分以外の感触にパチッと目を開けば、メルギスクがホルツの顔をのぞき込むように見ていた。
まだ水分を含んでいるまだらの髪はメルギスクの首筋や額にまとわりついて、黒い寝間着の首回りをほんの少し濡らしていた。
「きちんと拭かないと寝る時、枕が濡れるよ」
「えっと、すみません……」
カフェオレ色の目を伏せたメルギスクは上体をあげると首にかけていたタオルで乱暴に頭を拭く。そうすれば、寝間着の合間から薄く割れた腹筋が見えた。
ソファから立ち上がってメルギスクの背後へ回れば、あらわになっている腰を両手で掴んだ。
「うわっ! な、なにするんですかっ?!」
頭を拭く手を止めて肩越しに振り返ったメルギスクは肩をぎゅっと縮めた。
手に伝わる感触は摂取した魔物の遺伝子の影響でかすかにざらついて硬いが、シャワーから上がったばかりなのか潤っていて温かい。
肉体という境界線が体温を通じてわかりにくくなっていく奇妙な感覚に浸っていられたのもほんの数分だ。
熱を孕んだメルギスクの手がやや乱暴にホルツの手を掴んできた。
「あの、そろそろ離してくださいっ」
「ふむ……」
手に伝わる腰はホルツの手を掴んでいるメルギスクの手と同じぐらいの熱がじんわりと伝わってくる。再び引かれた明確な境界線にすっきりしない気持ちを覚えつつも、言われたとおりに手を離す。
無自覚で強く掴んでいたのか、メルギスクの腰にはうっすらと手形が残ったものの、メルギスクが腕を下ろしたことで寝間着に隠れた。
ホッと息をついたメルギスクが頭にかぶっていたタオルを首にかけ直して振り向いた。
「そういえば、明日何時に出社するんですか?」
「九時頃かな。どうしてだい?」
今まで何時に家を出ていようとメルギスクは気にしていなかった。
疑問を感じて首をかしげれば、メルギスクがぎゅっとタオルの端を握りしめてうつむいた。
「朝食をとらずに出社するのは体によくないと思うので、その」
「ああ、私に朝食を作るという話か」
実に恋人らしい行動だ。
合点して納得していると、メルギスクが目を見開き、カアッと赤くなっていく。ゆでだこみたいな面白さに顔をのぞき込めばきつく結ばれている唇が目につく。
小さく震えている唇に好奇心をかき立てられ、唇を押し当てるついで舌先でなぞってみる。途端にメルギスクが後ろへ飛びのき、これでもかと目を見開いてわなわなと震えた。
たいしてホルツは姿勢を正すとメルギスクに微笑んだ。
「はじめてキスした時よりも唇が熱かったね」
「――っ!」
ぎゅっと唇を引き結んだメルギスクはホルツの横を早足に通り過ぎ、バタンッと大きな音を立てて自室に戻ってしまった。
「怒らせてしまったかな?」
疑問を口にしつつも、悪いことをした気はない。
それどころかまるでいい酒を口にした時のような浮遊感に近いものを感じた。足取りが軽いのを感じながらホルツは風呂場へ向かった。
しかし頭の中は報告書よりも昨日のデートのことが大半を占めていた。
デートの結果は、はじめてにしては及第点だった。デートしたその日の晩、初日に受け取らなかった端末を貸してほしいと頭を下げてきた。理由はきかなかったが、メルギスクからなにかを求めてきたのはいい傾向だ。
恋人がする狭い空間での密着やデート中の手つなぎに一緒の食事と会話。どれも家でできることだ。それでも、外でのデート――特別な時間と空間の意義を理解できた。
「そういえば、彼には二人の弟がいたな」
メルギスクが二人の弟に甘いことは監視カメラの映像から容易にわかる。
最初彼らも含めた同居を頼まれた時は拒否したが、うまく取り入ればメルギスクの警戒心もさらに薄れるだろう。だが、理由もなしに迎え入れれば、むしろ悪化する。
次に恋人らしいことを考えながら冷たく風味のないコーヒーを一口飲む。目を通し終えた報告書にサインし、部下につながっている転送端末へ放り込んだ。
ひととおり業務を終えて帰宅する頃には、夏が近いのか重そうな雲があちこちに重なっているものの空は青くまだ明るい。
エレベーターに乗って上昇していく数字を眺めていると最上階へついた。
いつもどおり靴を脱いでそのままリビングへ行こうとしたが、玄関にメルギスクがいた。
恋人となってから一度もなかったメルギスクの恋人らしい行動に、柄になくちょっと間思考が止まるものの、とりあえず微笑んだ。
「きみが玄関にいるなんて珍しいね。荷物でも届くのかい?」
それであれば、納得もいく。
かすかに眉を寄せて口を開いては閉じるメルギスクを横目で見つつ、靴を脱いでそのまま通ろうとすると、メルギスクの手がぎゅっと拳を握りしめ絞り出すよう呟いた。
「おかえり、なさい」
声となって届いた言葉に、ホルツは肩越しに振り返って淡い青緑の瞳をかすかに見開いてしばたく。
メルギスクの耳やうなじが熟しかけのトマトのごとく柔らかな赤みを帯びていた。
その光景は帰宅したホルツへ言葉をかけるためだけに玄関にいたという事実がジワジワと脳へと染みこんでくる。言うなれば、ホルツが帰ってきたことを歓迎した現れでもある。ホルツの住居だから帰ってくるのは当たり前のことだ。けれど、自分が帰宅したことを同居人が受け入れた。
普通の家庭であれば、特段珍しいことではない。しかし、ホルツにとってはじめてのことだった。
またもや柄にもなく胸がドクドクと鼓動を打ち、全身の血液が急速に巡る。顔がかすかに熱を持つのを覚えながらホルツはようやくメルギスクに言った。
「ただいま」
はじめての返し言葉は覚え立ての言語を口にした時のような違和感だ。
ホルツの返答にメルギスクが振り返って少しだけ目を見開いたが、数度瞬きをした後、思い出したように口を開いた。
「あの、今更ですが靴や服を買ってくださりありがとうございました」
「礼を言われることはしてないよ。必要だからしただけだからね」
改まって礼を述べてくるメルギスクをおかしく思いながら返す。
メルギスクはホルツの返答に少し黙った後、気を取り直すように続けた。
「えっと、せっかく広いキッチンがあるので夕飯作ってみたんです。口に合うといいんですけど」
「それは楽しみだ」
早足でホルツの横を通り過ぎたメルギスクがリビングに入っていく。洗面台で手を洗った後、ホルツもリビングへと進んだ。
リビングに入れば、マーガリンや卵の香ばしい残り香がかすかにした。はじめて自宅に香る料理の匂いは再びホルツを新鮮な気分にさせる。
キッチンの傍にある四人がけのダイニングテーブルには、小皿に分けたサラダとオムライスが並んでいた。湯気を立てるふわふわとした鮮やかな黄色は綺麗な紡錘型だ。
「見事なオムライスだね、おいしそうだ。先に食べても?」
「どうぞ」
イスに座り、おいてあったスプーンを手に取って一口分とる。そうすれば、中からオレンジ色のケチャップライスが湯気をたてながら顔を出した。口に運べば、マーガリンの香りがする卵とケチャップ以外にもマッシュルームやウインナーの味が伝わってくる。
コトッと水が入ったガラスコップを目の前に置かれ、向かいのイスにメルギスクが腰をかけた。
「どうですか?」
「とてもおいしいよ」
「よかった……。あ、ケチャップいります?」
メルギスクが自身のオムライスにケチャップをかけた後おもむろに尋ねてくる。
なにもかけなくてもじゅうぶんおいしいが、せっかくなら何か書いてほしい。
「じゃあ、きみが書きたいものを書いて」
「え……」
眉を寄せて困惑するメルギスクへとオムライスが乗った皿を向ける。
メルギスクは少し考えた末、ぎこちないながらも自身の名を書いてホルツの方へ押し返した。
「俺は『きみ』じゃなくて、メルギスクって名前があります。長くて呼びづらいならメルでいいですから」
「なら今度からそう呼ばせてもらおうかな」
オムライスの皿を手元に引き寄せてケチャップで書かれたメルギスクの名前と一緒に少しずつ口に運んでいく。
お互い食事を終えると、メルギスクがカップと皿を洗い終えるなり「先にシャワー借ります」と一言告げて風呂場へ消えていった。
シンと静かなリビングはいつも通りだ。いつもならホルツもさっさと部屋に戻るが、今日はリビングに残ってテレビをつけた。
ドラマのチャンネルなのか、男女が向き合っており、告白するシーンなのだと察しがつく。お互いが思いをぶつけ合い一瞬の沈黙の末、男が女に思いの丈を半ば叫ぶように告げる。きっと盛り上がる場面なのだろう。ソファの背もたれにもたれて腕を組むと自然と言葉が漏れた。
「くだらないな」
演出だとしても、それ以外の言葉が見当たらなかった。
テレビを消し、ソファの背もたれへ頭を預けて目をつぶる。どのくらいそうしていたのか、ガチャッと浴室の扉が開く。スリッパの音が近づいてきて、目蓋の裏が少しだけ暗くなった。鼻先に届くシャンプーの匂いと水気をまとった空気が頬を撫でていく。
「あっ」
小さな声が漏れると同時にポタッと頬へ水滴が垂れ落ちた。かすかな衣擦れとともにためらいがちに少しざらついた硬い指先がそおっと拭いとる。
自分以外の感触にパチッと目を開けば、メルギスクがホルツの顔をのぞき込むように見ていた。
まだ水分を含んでいるまだらの髪はメルギスクの首筋や額にまとわりついて、黒い寝間着の首回りをほんの少し濡らしていた。
「きちんと拭かないと寝る時、枕が濡れるよ」
「えっと、すみません……」
カフェオレ色の目を伏せたメルギスクは上体をあげると首にかけていたタオルで乱暴に頭を拭く。そうすれば、寝間着の合間から薄く割れた腹筋が見えた。
ソファから立ち上がってメルギスクの背後へ回れば、あらわになっている腰を両手で掴んだ。
「うわっ! な、なにするんですかっ?!」
頭を拭く手を止めて肩越しに振り返ったメルギスクは肩をぎゅっと縮めた。
手に伝わる感触は摂取した魔物の遺伝子の影響でかすかにざらついて硬いが、シャワーから上がったばかりなのか潤っていて温かい。
肉体という境界線が体温を通じてわかりにくくなっていく奇妙な感覚に浸っていられたのもほんの数分だ。
熱を孕んだメルギスクの手がやや乱暴にホルツの手を掴んできた。
「あの、そろそろ離してくださいっ」
「ふむ……」
手に伝わる腰はホルツの手を掴んでいるメルギスクの手と同じぐらいの熱がじんわりと伝わってくる。再び引かれた明確な境界線にすっきりしない気持ちを覚えつつも、言われたとおりに手を離す。
無自覚で強く掴んでいたのか、メルギスクの腰にはうっすらと手形が残ったものの、メルギスクが腕を下ろしたことで寝間着に隠れた。
ホッと息をついたメルギスクが頭にかぶっていたタオルを首にかけ直して振り向いた。
「そういえば、明日何時に出社するんですか?」
「九時頃かな。どうしてだい?」
今まで何時に家を出ていようとメルギスクは気にしていなかった。
疑問を感じて首をかしげれば、メルギスクがぎゅっとタオルの端を握りしめてうつむいた。
「朝食をとらずに出社するのは体によくないと思うので、その」
「ああ、私に朝食を作るという話か」
実に恋人らしい行動だ。
合点して納得していると、メルギスクが目を見開き、カアッと赤くなっていく。ゆでだこみたいな面白さに顔をのぞき込めばきつく結ばれている唇が目につく。
小さく震えている唇に好奇心をかき立てられ、唇を押し当てるついで舌先でなぞってみる。途端にメルギスクが後ろへ飛びのき、これでもかと目を見開いてわなわなと震えた。
たいしてホルツは姿勢を正すとメルギスクに微笑んだ。
「はじめてキスした時よりも唇が熱かったね」
「――っ!」
ぎゅっと唇を引き結んだメルギスクはホルツの横を早足に通り過ぎ、バタンッと大きな音を立てて自室に戻ってしまった。
「怒らせてしまったかな?」
疑問を口にしつつも、悪いことをした気はない。
それどころかまるでいい酒を口にした時のような浮遊感に近いものを感じた。足取りが軽いのを感じながらホルツは風呂場へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる