15 / 37
第14話 6月14日
しおりを挟む
「買い物?」
「そ。誕生日の時は仕事があって帰ってこれないからね。少し早いけど、誕生日祝いもかねて、成浩のプレゼントを一緒に買いに行こうと思って」
昨晩の夕食時に言った兄貴の言葉に、「あ、今月、誕生日か」と呟いた俺に兄貴は「成浩らしいな」と笑った。
「で、何か買うか決まった?」
昨晩、兄貴が言った通り、駅前にある大きなショッピングモールまで買い物に来たものの、あまり物欲とセンスのない俺に欲しいもの、と聞かれても思い浮かばない。
「…別に、特別、何か買わなくても」
たまに兄貴がこうして帰ってくるとだけでいいのだが、とチラリと兄貴を見ながら言うものの、「せっかくの16歳の誕生日なんだから」と兄貴は笑って俺の意見はさらっと無視をする。
「何十万円、ってするものは買ってあげられないけど、ある程度の金額なら買ってあげられるよ。財布とか、カバン、とか。靴とか」
「……靴は、こないだ買ったばっか」
「じゃあ、カバンか財布かな」
財布もカバンも、別に、ブランドものがいい、とかそんなこだわりも特に無い。
「…財布…カバン、持ってるし…」
兄貴の言葉を、繰り返し呟いた俺に、兄貴は、「じゃあ」とにっこりと笑いながら言った。
「……こんなにたくさん…」
「まぁ、一部はボクのも入っているから」
いくつかの紙袋を持ち、疲れたから、と建物内のコーヒーショップに立ち寄りひと息つく。
途中から兄貴の着せ替え人形と化した俺は、兄貴が満足するまで着ては脱いで、着ては脱いで。
もう何回目だよ、と小さくボヤいた俺に、兄貴は「まあまあ」と言いつつも、「これも着てみなよ」とさらに新しい服を俺に渡し、更衣室へと押し付ける。
それから暫くして、やっと兄貴は満足したらしく、俺には何着かの服とカバンを、兄貴もまた自分の着る服をいくつか買い込んだ。
お昼前に家を出たはずなのに、もうすっかりお昼時も過ぎている。
「そういやここのパスタ、意外に美味いんだよ」
「……へぇ」
「お昼もここで食べて行こうか」
「え、ああ、うん」
こういう店は立ち寄らないから知らなかった。
いつもファストフードとかコンビニばっかりだしな、とレジカウンターでメニューを見ながら考えていれば、「成浩」と兄貴が俺の名前を呼ぶ。
「なに?」
「今さぁ、お兄ちゃん、ペペロンチーノか、サーモンのたらこバターにするか、すっげぇ悩んでるんだけど」
「じゃあそれでいいんじゃん? 俺はどっちも食べられるし」
「さっすがボクの弟!」
満面の笑みを浮かべて、レジのお姉さんへと振り返った兄貴に、レジのお姉さんの頬が少し赤くなる。
そんな光景を目にしつつ、本当にどっちも食べたかったらしい兄貴に、小さく笑いながら、「荷物、持つよ」と兄貴の手から荷物を受けとりながら、レジを離れる。
店の少し奥に行ったところの空いている席へと向かえば、「成浩」と、後ろから兄貴の声が聞こえる。
「なに?」
「あそこのソファ席だろう?」
「……ダメ?」
「いいよ。ボクも少しゆっくりしたいし」
そう言ってまたレジへ振り返った兄貴の席を見送り、ソファ席へと向かう。
硬くもなく、かといって柔らかすぎないソファへ腰を下ろし、大きく息をはきだす。
やっと休めた。
そう思いながら、改めてに荷物を見直すとやはり、量が多い。
「こんなに買わなくても……」
良かったのでないだろうか。
そう呟いた俺に、「まぁいいじゃない」と楽しそうな声が頭の上にふってくる。
「そういえば成浩、そろそろ校外学習じゃなかったっけ?」
「……よく知ってるね?」
ペペロンチーノを食べながら、兄貴が言う。
テーブルに運ばれてきたのはパスタが2つと、飲み物、それに何故か増えているデザート2種類。
これもどっちも食べたかったんだろうな、とテーブルに並んだデザートを横目に、兄貴へ問いかければ、ごくん、とパスタを飲み込んだ兄貴が楽しそうな顔をして口を開く。
「この前、母さんからメールきたからね」
「ああ、なるほど」
「成浩たちの学校はどこ行くの?」
「なんか、県外の美術館と遊園地が併設されてる、なんとかの森って」
「ああ、あそこか。ギリギリ県外だけどほぼ県内のあそこでしょ」
「うん」
「あそこ、ボクも行ったことあるよ」
「え、兄貴行ったことあるの?」
「行った行った。高校生の時、デートで」
「…ああ、うん」
なるほど、と小さく呟いて頷く。
兄貴は昔からモテてたしな、と思い返しながら兄貴を見れば、「懐かしいなぁー」なんて言いながら笑っている。
「確か、あの時の彼女とは、案外すぐに別れちゃったんだよねー」
「そうだったっけ」
「そ。そのあとは暫く彼女作らなかったし。まぁ、今も彼女はいないけどね」
「そうなんだ」
「西といるほうが楽だし、楽しいしね」
そう言った兄貴が、「たらこバター食べたい」とペペロンチーノの皿を差し出してくる。ん、と自分のところにあったパスタを兄貴に渡せば「やった!」と小さく喜ぶながら兄貴は受け取る。
彼女はいない。
とは言うものの、毎年、兄貴はバレンタインは大量のチョコをもらって帰ってきていた気がする。
小さい時は、毎年、この時期は兄貴から「おやつ」にたくさんのチョコレートをもらえてラッキー、ぐらいにしか思っていなかったが、成長するにつれて、兄貴ってモテてたんだな、と実感していた。
いま考えれば、彼女が居なかったからこそ、余計に大量だったのでは、なんて思ったりもするが、まぁ、本人は特に気にしていないみたいだから、忘れることにしよう。
「でもあそこが校外学習場所ねぇ。成浩はどっちに行くの?」
「…多分、遊園地?」
「ん? 疑問系?」
照屋のことだから遊園地一択なのでは無いか、と思う。ああ、でも、羽白さんは美術館かもしれない。
そう考えた時、断言が出来なくて、思わず質問に疑問系で返せば、兄貴が不思議そうな顔をする。
「いや…美術館、っていう選択肢も出るかな、って」
遊園地と決まったら、もし、羽白さんは美術館のほうが見たかったとしても、彼女は言い出しにくいのでは、と思った瞬間、ふふ、と兄貴が楽しそうに笑う。
「…なに」
「いやぁ?」
「…なんだよ」
「なんでもないよ」
ニコニコ、というか、どちらかと言えば、にやにや、という表現が似合いそうな表情で笑う兄貴に、なんだかよく分からないが、小恥ずかしい気分になって、思わず兄貴から顔をそむける。
「…恥ずかしい時に、手の甲で口元を隠す癖、変わってないね」
「…うっせ」
ふふ、と楽しそうに笑う兄貴の視線に、「ああ、もう」と小さく呟いて、しばらくの間は残りのパスタを食べることに集中することにした。
「じゃ、また連絡するから」
「気をつけて帰るのよ」
「駅まで送ろうか?」
「ここでいいよ。大丈夫」
玄関先で繰り広げられるのは、兄貴が一人暮らしをする家に帰る時にするいつものやり取りで、心配ばかりする母さんと父さんに、兄貴は何度も大丈夫、と返事をしている。
「ああ、そうだ。成浩」
「ん?」
「ちょっと」
ちょいちょい、と手招きされ、兄貴へと近づけば、ガシィ、と肩に腕を回され、顔を近づけてくる。
「ちょ、なに」
「美術館って言った時、誰を考えてたんだ?」
「なっ!ちが、あれは」
「ははっ」
一瞬にして頬が熱くなった俺をみて、兄貴は楽しそうに笑ってガシガシ、と少しだけ乱暴に俺の頭を撫でてから、肩から腕を離す。
「悩め悩め、弟」
「だから、なに言ってっ」
「ええ、何なに?」
けらけら、と笑う兄貴と、慌てる俺を見て、父さんと母さんが興味津々という表情で問いかけてくるから、「なんでもない!」と思わず返せば、兄貴はまた、満足そうな表情で笑った。
【6月14日 終】
「そ。誕生日の時は仕事があって帰ってこれないからね。少し早いけど、誕生日祝いもかねて、成浩のプレゼントを一緒に買いに行こうと思って」
昨晩の夕食時に言った兄貴の言葉に、「あ、今月、誕生日か」と呟いた俺に兄貴は「成浩らしいな」と笑った。
「で、何か買うか決まった?」
昨晩、兄貴が言った通り、駅前にある大きなショッピングモールまで買い物に来たものの、あまり物欲とセンスのない俺に欲しいもの、と聞かれても思い浮かばない。
「…別に、特別、何か買わなくても」
たまに兄貴がこうして帰ってくるとだけでいいのだが、とチラリと兄貴を見ながら言うものの、「せっかくの16歳の誕生日なんだから」と兄貴は笑って俺の意見はさらっと無視をする。
「何十万円、ってするものは買ってあげられないけど、ある程度の金額なら買ってあげられるよ。財布とか、カバン、とか。靴とか」
「……靴は、こないだ買ったばっか」
「じゃあ、カバンか財布かな」
財布もカバンも、別に、ブランドものがいい、とかそんなこだわりも特に無い。
「…財布…カバン、持ってるし…」
兄貴の言葉を、繰り返し呟いた俺に、兄貴は、「じゃあ」とにっこりと笑いながら言った。
「……こんなにたくさん…」
「まぁ、一部はボクのも入っているから」
いくつかの紙袋を持ち、疲れたから、と建物内のコーヒーショップに立ち寄りひと息つく。
途中から兄貴の着せ替え人形と化した俺は、兄貴が満足するまで着ては脱いで、着ては脱いで。
もう何回目だよ、と小さくボヤいた俺に、兄貴は「まあまあ」と言いつつも、「これも着てみなよ」とさらに新しい服を俺に渡し、更衣室へと押し付ける。
それから暫くして、やっと兄貴は満足したらしく、俺には何着かの服とカバンを、兄貴もまた自分の着る服をいくつか買い込んだ。
お昼前に家を出たはずなのに、もうすっかりお昼時も過ぎている。
「そういやここのパスタ、意外に美味いんだよ」
「……へぇ」
「お昼もここで食べて行こうか」
「え、ああ、うん」
こういう店は立ち寄らないから知らなかった。
いつもファストフードとかコンビニばっかりだしな、とレジカウンターでメニューを見ながら考えていれば、「成浩」と兄貴が俺の名前を呼ぶ。
「なに?」
「今さぁ、お兄ちゃん、ペペロンチーノか、サーモンのたらこバターにするか、すっげぇ悩んでるんだけど」
「じゃあそれでいいんじゃん? 俺はどっちも食べられるし」
「さっすがボクの弟!」
満面の笑みを浮かべて、レジのお姉さんへと振り返った兄貴に、レジのお姉さんの頬が少し赤くなる。
そんな光景を目にしつつ、本当にどっちも食べたかったらしい兄貴に、小さく笑いながら、「荷物、持つよ」と兄貴の手から荷物を受けとりながら、レジを離れる。
店の少し奥に行ったところの空いている席へと向かえば、「成浩」と、後ろから兄貴の声が聞こえる。
「なに?」
「あそこのソファ席だろう?」
「……ダメ?」
「いいよ。ボクも少しゆっくりしたいし」
そう言ってまたレジへ振り返った兄貴の席を見送り、ソファ席へと向かう。
硬くもなく、かといって柔らかすぎないソファへ腰を下ろし、大きく息をはきだす。
やっと休めた。
そう思いながら、改めてに荷物を見直すとやはり、量が多い。
「こんなに買わなくても……」
良かったのでないだろうか。
そう呟いた俺に、「まぁいいじゃない」と楽しそうな声が頭の上にふってくる。
「そういえば成浩、そろそろ校外学習じゃなかったっけ?」
「……よく知ってるね?」
ペペロンチーノを食べながら、兄貴が言う。
テーブルに運ばれてきたのはパスタが2つと、飲み物、それに何故か増えているデザート2種類。
これもどっちも食べたかったんだろうな、とテーブルに並んだデザートを横目に、兄貴へ問いかければ、ごくん、とパスタを飲み込んだ兄貴が楽しそうな顔をして口を開く。
「この前、母さんからメールきたからね」
「ああ、なるほど」
「成浩たちの学校はどこ行くの?」
「なんか、県外の美術館と遊園地が併設されてる、なんとかの森って」
「ああ、あそこか。ギリギリ県外だけどほぼ県内のあそこでしょ」
「うん」
「あそこ、ボクも行ったことあるよ」
「え、兄貴行ったことあるの?」
「行った行った。高校生の時、デートで」
「…ああ、うん」
なるほど、と小さく呟いて頷く。
兄貴は昔からモテてたしな、と思い返しながら兄貴を見れば、「懐かしいなぁー」なんて言いながら笑っている。
「確か、あの時の彼女とは、案外すぐに別れちゃったんだよねー」
「そうだったっけ」
「そ。そのあとは暫く彼女作らなかったし。まぁ、今も彼女はいないけどね」
「そうなんだ」
「西といるほうが楽だし、楽しいしね」
そう言った兄貴が、「たらこバター食べたい」とペペロンチーノの皿を差し出してくる。ん、と自分のところにあったパスタを兄貴に渡せば「やった!」と小さく喜ぶながら兄貴は受け取る。
彼女はいない。
とは言うものの、毎年、兄貴はバレンタインは大量のチョコをもらって帰ってきていた気がする。
小さい時は、毎年、この時期は兄貴から「おやつ」にたくさんのチョコレートをもらえてラッキー、ぐらいにしか思っていなかったが、成長するにつれて、兄貴ってモテてたんだな、と実感していた。
いま考えれば、彼女が居なかったからこそ、余計に大量だったのでは、なんて思ったりもするが、まぁ、本人は特に気にしていないみたいだから、忘れることにしよう。
「でもあそこが校外学習場所ねぇ。成浩はどっちに行くの?」
「…多分、遊園地?」
「ん? 疑問系?」
照屋のことだから遊園地一択なのでは無いか、と思う。ああ、でも、羽白さんは美術館かもしれない。
そう考えた時、断言が出来なくて、思わず質問に疑問系で返せば、兄貴が不思議そうな顔をする。
「いや…美術館、っていう選択肢も出るかな、って」
遊園地と決まったら、もし、羽白さんは美術館のほうが見たかったとしても、彼女は言い出しにくいのでは、と思った瞬間、ふふ、と兄貴が楽しそうに笑う。
「…なに」
「いやぁ?」
「…なんだよ」
「なんでもないよ」
ニコニコ、というか、どちらかと言えば、にやにや、という表現が似合いそうな表情で笑う兄貴に、なんだかよく分からないが、小恥ずかしい気分になって、思わず兄貴から顔をそむける。
「…恥ずかしい時に、手の甲で口元を隠す癖、変わってないね」
「…うっせ」
ふふ、と楽しそうに笑う兄貴の視線に、「ああ、もう」と小さく呟いて、しばらくの間は残りのパスタを食べることに集中することにした。
「じゃ、また連絡するから」
「気をつけて帰るのよ」
「駅まで送ろうか?」
「ここでいいよ。大丈夫」
玄関先で繰り広げられるのは、兄貴が一人暮らしをする家に帰る時にするいつものやり取りで、心配ばかりする母さんと父さんに、兄貴は何度も大丈夫、と返事をしている。
「ああ、そうだ。成浩」
「ん?」
「ちょっと」
ちょいちょい、と手招きされ、兄貴へと近づけば、ガシィ、と肩に腕を回され、顔を近づけてくる。
「ちょ、なに」
「美術館って言った時、誰を考えてたんだ?」
「なっ!ちが、あれは」
「ははっ」
一瞬にして頬が熱くなった俺をみて、兄貴は楽しそうに笑ってガシガシ、と少しだけ乱暴に俺の頭を撫でてから、肩から腕を離す。
「悩め悩め、弟」
「だから、なに言ってっ」
「ええ、何なに?」
けらけら、と笑う兄貴と、慌てる俺を見て、父さんと母さんが興味津々という表情で問いかけてくるから、「なんでもない!」と思わず返せば、兄貴はまた、満足そうな表情で笑った。
【6月14日 終】
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる