大学受注発注

古島コーヒー

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プロローグ

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ピロン♪

〚実は、先輩と同じ大学に合格しました〛≽宮中万一

きっかけは、何気ないチャットのメッセージだった。

第一志望の大学に合格した嬉しさ、あの憧れの先輩と同じ大学に合格したというちょっとした自慢をその時の勢いでチャットしてしまった。高校の時も業務連絡を含め5、6回話した程度の先輩とのほぼ真っ白のチャットルームを再び見て、宮中は我ながらノリで送るんじゃなかったと恥ずかしさで悶えスマホをベッドの上に放り投げる。精々スタンプが送られるぐらいだろうと思ったが、予想に反してスマホの通知音が2回鳴った。

〚おめでとう!春からよろしくね〛≽藤代宗

〚4/24 B棟202〛≽藤代宗

「B棟202?いや、どこ」

見慣れないB棟という言葉と数字だけの返信に、宮中は疑問しか抱けなかった。まさか、藤代という男は大学に入っていかがわしい商売でも始めたのではないか。そんな危機感を感じた。

〚どういうことですか?〛≽宮中万一

慎重に、思惑を窺うように、曖昧な返信をする。だが、しばらくしても藤代からの返信はなく、不審に思い再びチャットルームを開く。送ったメッセージはすでに既読がついていた。何か都合が悪いのか、返信に困っているのかと冷静に推測をしてみたが、なんだかそんな時間が急に不毛に思えてきて宮中はまた、スマホをベッドの上に放り投げた。それからトイレに行こうと部屋を出ようとしたが、あの謎の文字列が気になり、もう一度藤代にメッセージを送ろうとベッドに引き返す。

〚気になるので、意味だけでも教えてください〛≽宮中万一

未だに既読だけがついたままのメッセージの下に新しいメッセージを送った。が、

―このユーザーにはメッセージを送れません―

「は、マジで何なんだよ……ブロックされてるじゃんもう意味わからん」

宮中自身は独り言を言わないタイプの人間だと自負していたが、振り回されておちょくられているような感覚に憤りを感じたらどうしても、不満を口に出さずにはいられなかった。

しかし、この不満なんてまだ可愛いものだと思うほどのことが起きるとはただ1人の男を除いて、誰も思わなかった。

あの藤代が別次元な大学デビューをしているとは。
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