現実は非モテでも、転生先ではモテモテで求婚されまくりで迷惑です

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まさかの一目惚れ

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私を乗せるとグンと前足を立ち上がらせ、私の視線は一気に上がった。

(馬に乗るなんて子供の時以来だなぁ…)

幼い時に両親に連れて行ってもらった牧場でポニーに乗ったのをふと思い出した。
あの時に感じた感触を私は懐かしく思い、再び馬の首筋を撫でた。

『女を乗せるのは久しぶりだな、コイツは無理言いやがるから嫌いだ』

「そうなんだ…」

「なんか言ったか?」

「えっ…あ、いや、何も…!」

馬との会話を黙って対応しようとしたが、ポロっと私は口に出してしまい危うくバレる所でヒヤヒヤしてしまった。
今の言葉をどう思ったのか気になり、少しだけチラリとクロウさんを見た。

(あれ、よく見るとこの人、目の色が両目で違う…)

『右』は海の底がはっきり見えるクリアな青で、『左』は太陽の光を存分に受け逞しく育つ葉のような緑だった。

まるで、オッドアイの猫みたいで少しだけその目を見続けた。
そんな様子を照れたのか、それか嫌なのか私に言う。

「おい、人の顔をジロジロ見るな。行っていいのか分からん」

「すみません、お願いします…」

クロウさんは馬の腹を蹴り、この場を後にし、ゆっくりと王宮へと馬を歩かせた。


王宮に向かう間、しばらく無言で、馬の蹄の音だけが私達の耳に届く。

(何か話した方が良いよね…でも何を…)

スンスン…

何かを嗅ぐ鼻の音がした。
私は馬上から周囲を見渡し、音の出所を探った。

『バカ王子だよ、好きな女の髪を嗅ぐのが好きらしい。昔もしていたな。気持ち悪い癖だ…』

私は急に後ろに振り返った。
しかし、今は馬上。
振り返った事でバランスを崩し落馬しそうになった。

グイッと体を引き寄せられ私はクロウさんの体にくっついた。
甲冑越しなのにバクバクと心臓の音が聞こえる…。

「あ、ありがとうございます」
「急に振り返るな、落ちても知らんぞ」

照れ隠しなのか言葉遣いは変わらないが、相変わらず心臓の鼓動は早かった。

「あの…今、髪を…」

「な、な、何をいってる?!髪を、なんだ?!別に嗅いでなんかいないぞ、うん」

(分かりやすい…明らかに今までとは違う、違い過ぎる)

『あんたに一目惚れしてるぞ、こいつ』

「!?」

一目惚れ、だと…?現実ではモテるなんて無かったのに、いきなり連れてこられた世界で会ったばかりの人にモテた…。
馬の一言で私も少しだけドキドキしてしまった…。

だが、ずっとくっついているのもおかしいので離れようと思った。

「あの、もう大丈夫です」

クロウさんから体を離し、再び前を向いて座り直した。

(よく考えたら前に座るべきじゃなかったかな?見づらいし。でも後ろだと「落ちるからくっつけ」なんて言われても初対面だからなんか嫌だし…)

色々考えていると、眼前に街並みが見え、その奥にある小高い建物が見えた。
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