現実は非モテでも、転生先ではモテモテで求婚されまくりで迷惑です

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一瞬の気の緩み

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セレスさんにハグされたのは予想外で、私はすぐにハッとした。

「ダメですよ、あなたには好きな人がいるはず、離して下さい。これは良くないです!」

「…ほっとけませんよ。泣く女性を」

そんな風に言われたのは初めてだった…。
いけないとわかりつつも体を離すようすぐに行動が取れなかった。

少しずつ私を抱く力が強くなってくる。
さすがにマズいと思い始め、セレスさんの胸に手を置き言う。

「…やめて」

私の小さくすぐに消えそうな声が私とセレスさんの間に流れ、セレスさんも我に戻ったのか私の両肩を持ち、距離を離した。

「ごめんなさい…出過ぎた真似を…」

謝るセレスさんは申し訳なさそうに頭を深く深く下げた。
微妙な、そしてなんとも言えない時間が流れていく。



コンコンッと扉をノックする音。

「まさか…」

セレスさんは私に直ぐに隠れるように指示してきた。
しかし、何処に…といった感じになる私に、指を指す。
言われるがまま、向かい開けるとクローゼットだった。
そして、私はそこに身を隠した。

ガチャと勢いよく開けると誰か入ってきた。

「なんだ、何故いるんだ?お前?」

「いやー、今日じゃなくまた今度にしようかなと思って…。ははっ…。
それより、何か用?」

「お前、あやか知らんか?」

入ってきたのはクロウさんだった。しかも私をしっかりと探している様子だ。
それより、クローゼットに立ち込める匂いが私を苦しめてくる。

(なんだろう…匂いがキツい…)

香水とは違い、クローゼット内に広がる柑橘系の甘い匂いで私は少しずつ頭痛を起こし始めてしまった。
カサッと服がかけられたハンガーの間から香る匂い。
匂いの元はこれだ!と思い、バレないよう少し遠ざけようとゆっくりずらしていった。

「いやー、あやかさんは見てないよ。何故探しているの?」

「あいつ、俺を蹴りやがった。しかも王子の俺が色々してやってるのに無下にしたからな。一言いわないと気が済まん!」

先程の事にだいぶご立腹のようだ…。
相変わらず自己中過ぎる。
そんな事言われたら尚更見つかりたくないから出たくないが、この中にずっといるのは耐えられない…。

「いないんだな。ちっ、しょうがないか」

部屋を後にするように部屋の扉に向かい始めたクロウさん。

ホッとする私は気を抜いてしまい、匂いが立ち込めるクローゼットから早く出たくて扉をカチャと軽く開けてしまった!



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