6 / 49
6
しおりを挟む
12時のチャイムが鳴るとすぐに、すずは私の元へとやってきた。
「先輩、行きましょ」
「いくって、……どこに?」
そう言うと、すずは携帯を操作し始めたあと手を止め画面を見せてくる。
「ここ、会社の近くに出来た洋食屋さんなんですけど、ハンバーグが売りなんです!」
見せてくれた画面に映るハンバーグはどれも美味しそうで、お昼時の今見せられるとお腹が鳴ってしまいそうだった。
「ねっ!行きましょうよ、先輩」
腕を掴み、強引に部屋を出させようとするすずに私は問いかけた。
「新しく出来たお店なんでしょ?なら今いったら行列に捕まり休憩時間中に戻れなくなるかもしれないよ。そうしたら課長に何を言われるか……」
「えー!行きたいのにー!!」
手をブンブンと振るすずをどう宥めようかと悩んでいる間も時間だけは無常にも過ぎていき、1時間の昼休憩はあっという間に10分過ぎていた。
「……今日は諦めて次、落ち着いたら行こう。私が奢るから」
「むぅ」
片頬を膨らませつついじけてるすずを必死に宥め、食堂で何か一つ奢ると付け加えるとようやく折れてくれた。
「貸し、一つですよ。先輩」
「わかった」
食堂の窓際に向かい合い座った私達は残り少なくなった休憩を使い、昼食を取り始めた。
「あれ?今日はここのを食べるんですか?いつもはお弁当」
「……今日はちょっと寝坊しちゃって」
吹っ切ったとはいえ失恋の傷はすぐには癒えず、毎日簡単な物ばかりであったが弁当作りをストップし、サンドイッチを頬張った。
しかし、そんな急のつく行動を取る私を見て、すずは食べれなかったハンバーグを口に含みつつじっと私を見てきた。
「なに、そんなに見て?」
「先輩、私には分かりますよ」
「なにが?」
「……失恋、したんでしょ?」
「……っ!」
私は口に含んでいたサンドイッチをグッと喉の奥へと押し込むと同時に咳き込んだ。
「やっぱり」
「ち、違うよ」
「いいえ、違わない。先輩って顔に出やすいし、態度も分かりやすいですよ。だからズバリ図星!!」
すずは持っていた箸をビシッと私へと向けてきた。
でも私はそこまで分かりやすい態度を取っているとは思っていない。
だって翔平といる時は表情をあまり崩さず、終始平穏を装っていたんだから。
……あぁ、そうか。
すずに言われてスッと何かが胸に落ちてきた気がした。
これが翔平にはつまらないと感じていたんだと。
でも目の前いるすずにはそれとは真逆だった。
気心知れた相手でもあるし、同じ女性という事もあり気負いがないからかも知れない。
「……」
「先輩、沈黙は肯定してると同じですよ」
すずの言葉はズンッと重く響いた。
私が翔平に対し思っていた言葉を一言一句違わずに言ってくるから。
だから私は観念し頷くしか無かった。
「先輩、行きましょ」
「いくって、……どこに?」
そう言うと、すずは携帯を操作し始めたあと手を止め画面を見せてくる。
「ここ、会社の近くに出来た洋食屋さんなんですけど、ハンバーグが売りなんです!」
見せてくれた画面に映るハンバーグはどれも美味しそうで、お昼時の今見せられるとお腹が鳴ってしまいそうだった。
「ねっ!行きましょうよ、先輩」
腕を掴み、強引に部屋を出させようとするすずに私は問いかけた。
「新しく出来たお店なんでしょ?なら今いったら行列に捕まり休憩時間中に戻れなくなるかもしれないよ。そうしたら課長に何を言われるか……」
「えー!行きたいのにー!!」
手をブンブンと振るすずをどう宥めようかと悩んでいる間も時間だけは無常にも過ぎていき、1時間の昼休憩はあっという間に10分過ぎていた。
「……今日は諦めて次、落ち着いたら行こう。私が奢るから」
「むぅ」
片頬を膨らませつついじけてるすずを必死に宥め、食堂で何か一つ奢ると付け加えるとようやく折れてくれた。
「貸し、一つですよ。先輩」
「わかった」
食堂の窓際に向かい合い座った私達は残り少なくなった休憩を使い、昼食を取り始めた。
「あれ?今日はここのを食べるんですか?いつもはお弁当」
「……今日はちょっと寝坊しちゃって」
吹っ切ったとはいえ失恋の傷はすぐには癒えず、毎日簡単な物ばかりであったが弁当作りをストップし、サンドイッチを頬張った。
しかし、そんな急のつく行動を取る私を見て、すずは食べれなかったハンバーグを口に含みつつじっと私を見てきた。
「なに、そんなに見て?」
「先輩、私には分かりますよ」
「なにが?」
「……失恋、したんでしょ?」
「……っ!」
私は口に含んでいたサンドイッチをグッと喉の奥へと押し込むと同時に咳き込んだ。
「やっぱり」
「ち、違うよ」
「いいえ、違わない。先輩って顔に出やすいし、態度も分かりやすいですよ。だからズバリ図星!!」
すずは持っていた箸をビシッと私へと向けてきた。
でも私はそこまで分かりやすい態度を取っているとは思っていない。
だって翔平といる時は表情をあまり崩さず、終始平穏を装っていたんだから。
……あぁ、そうか。
すずに言われてスッと何かが胸に落ちてきた気がした。
これが翔平にはつまらないと感じていたんだと。
でも目の前いるすずにはそれとは真逆だった。
気心知れた相手でもあるし、同じ女性という事もあり気負いがないからかも知れない。
「……」
「先輩、沈黙は肯定してると同じですよ」
すずの言葉はズンッと重く響いた。
私が翔平に対し思っていた言葉を一言一句違わずに言ってくるから。
だから私は観念し頷くしか無かった。
164
あなたにおすすめの小説
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
白い結婚は終わりました。――崩れない家を築くまで
しおしお
恋愛
「干渉しないでくださいませ。その代わり、私も干渉いたしません」
崩れかけた侯爵家に嫁いだ私は、夫と“白い結婚”を結んだ。
助けない。口を出さない。責任は当主が負う――それが条件。
焦りと慢心から無謀な契約を重ね、家を傾かせていく夫。
私は隣に立ちながら、ただ見ているだけ。
放置された結果、彼は初めて自分の判断と向き合うことになる。
そして――
一度崩れかけた侯爵家は、「選び直す力」を手に入れた。
無理な拡張はしない。
甘い条件には飛びつかない。
不利な契約は、きっぱり拒絶する。
やがてその姿勢は王宮にも波及し、
高利契約に歪められた制度そのものを立て直すことに――。
ざまあは派手ではない。
けれど確実。
焦らせた者も、慢心した者も、
気づけば“選ばれない側”になっている。
これは、干渉しない約束から始まる静かな逆転劇。
そして、白い結婚を終え、信頼で立つ家へと変わっていく物語。
隣に立つという選択こそが、最大のざまあでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる