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警察での聴取中も翔平は声を荒げていた。
「あいつが悪いんだ!俺を嵌めようとしてあんな物送ってきたから。
たまたまぶつかっただけで……」
バンッと大きな音が響くと、そこでようやく翔平は口を閉じた。
「たまたまぶつかっただけだと!いい加減にしないか!お前はいま、殺人罪で捕まろうとしているんだぞ!」
取り調べる刑事さんの声が隣の部屋にいる私にもハッキリと届いてくる。
(殺人……)
運ばれた健人くんの容体はいまだ私には分からず、取り調べ中にも関わらず、ぽたりと涙を落とした。
「……どうぞ」
男性刑事さんが、そっとハンカチを差し出してくれた。
「お気持ちは分かります。本当はすぐに駆けつけたいと思いますが……」
「……はい。あのっ、まだかかるんですか?私は一通りお伝えしていますが」
目元を拭いながら、翔平と交際していた事、また浮気を見つけ二人に対して復讐心を持ったことは事実だと述べるが、彼が言う証拠となる写真を送ったのは私ではない事も説明した。
整合性を取るために教えてくれた事実の中で一点だけ知らない事も出てきた。
それは翔平と香澄がリサイクルショップに換金しに行こうとする写真だ。
あの場ではそんな写真を私は見ていない。
もちろん同席していたすずや、たけるくんも同じだ。
となると、考えられる人物は…。
(どうしてあんな物を……)
今となっては、それが原因かと思ってしまうが、もう起きた事を取り消す事は出来ない。
私が失った3年という月日と同じで。
少し静まり返った取り調べ室にカチャッと扉が開く音が小さく響くと、中へと入ってくる人がいた。
白髪混じりで物腰が柔らかそうな中年男性だった。
「班長!」
入った男性をそう呼ぶと、すぐに敬礼をしてみせる。
「いや、いい。下ろしてくれ。……取り調べはここまででいい」
「えっ。……ですが、まだ全部の調書は取ってないですよ?」
すると、その男性刑事に近づいていき軽くポンと肩に手を置いていく。
「刺された相手が気になって冷静さを保てる者なんていないだろう?それに……」
私の事をチラッと見てくる。
「こんな涙を見せているのに、この場所に居させ続けるのは酷すぎないか?
……今日はもう帰って頂いて結構です。また後日、お話を聞かせて貰いたいと思います」
私に一枚の名刺を差し出してくる。
「この番号からお掛けしますので、宜しくお願いします」
「はい。……ありがとうございます」
私はその男性に深々とお辞儀し、取り調べ室を後にするとすぐにタクシーを呼び、健人くんが運ばれた病院へと向かった。
「先輩っ!」
手術室の前に置かれた長椅子に、すずとたけるくんが並んで座っており、駆けつけた私に気付いたすずはすぐに近寄って来てくれた。
「……健人くんは?」
「まだ中です。もう二時間経とうとしています」
「そう……」
赤く光る『手術中』の文字を見た後、固く閉ざされた扉に私は目を移した。
「………ありがとう。あとは私が残るから」
「でもっ」
「たけるくんもありがとう。君がいてくれたお陰で翔平はすぐに捕まえれたから」
「いや、健さんの指示っすから」
「でもどうして翔平の後を付けていたの?」
「それは……」
たけるくんの口から発する言葉に私達は黙って耳を傾けた。
送った写真はすぐに翔平達の白日の下に晒される事になり、その後に起こり得る展開を予想していたそうだ。
愛する人に逃げられ、職を失いそうになる人間が取る行動は3つあると言う。
全てが嫌になり塞ぎ込むか酒や博打に逃げ現実逃避をする。
そして、復讐だと。
「じゃあ、翔平は」
「3つ目っすね。調べていたら残りの2つは無さそうで。
……なんて言うか自尊心の塊みたいっすから」
言われて納得した。
付き合っている時も『お金』を持っている事をひけらかし、高価な物ばかり贈ろうとしてた。
私の視線がそこにあれば、即購入という感じを何度も目撃してきたから。
「あっ!」
すずの声が廊下に響いたかと思うと、私の袖を引き上の方を指差していく。
真っ赤に光っていた『手術中』の文字が消えるとすぐに、固く閉ざされていた扉が開いた。
「あいつが悪いんだ!俺を嵌めようとしてあんな物送ってきたから。
たまたまぶつかっただけで……」
バンッと大きな音が響くと、そこでようやく翔平は口を閉じた。
「たまたまぶつかっただけだと!いい加減にしないか!お前はいま、殺人罪で捕まろうとしているんだぞ!」
取り調べる刑事さんの声が隣の部屋にいる私にもハッキリと届いてくる。
(殺人……)
運ばれた健人くんの容体はいまだ私には分からず、取り調べ中にも関わらず、ぽたりと涙を落とした。
「……どうぞ」
男性刑事さんが、そっとハンカチを差し出してくれた。
「お気持ちは分かります。本当はすぐに駆けつけたいと思いますが……」
「……はい。あのっ、まだかかるんですか?私は一通りお伝えしていますが」
目元を拭いながら、翔平と交際していた事、また浮気を見つけ二人に対して復讐心を持ったことは事実だと述べるが、彼が言う証拠となる写真を送ったのは私ではない事も説明した。
整合性を取るために教えてくれた事実の中で一点だけ知らない事も出てきた。
それは翔平と香澄がリサイクルショップに換金しに行こうとする写真だ。
あの場ではそんな写真を私は見ていない。
もちろん同席していたすずや、たけるくんも同じだ。
となると、考えられる人物は…。
(どうしてあんな物を……)
今となっては、それが原因かと思ってしまうが、もう起きた事を取り消す事は出来ない。
私が失った3年という月日と同じで。
少し静まり返った取り調べ室にカチャッと扉が開く音が小さく響くと、中へと入ってくる人がいた。
白髪混じりで物腰が柔らかそうな中年男性だった。
「班長!」
入った男性をそう呼ぶと、すぐに敬礼をしてみせる。
「いや、いい。下ろしてくれ。……取り調べはここまででいい」
「えっ。……ですが、まだ全部の調書は取ってないですよ?」
すると、その男性刑事に近づいていき軽くポンと肩に手を置いていく。
「刺された相手が気になって冷静さを保てる者なんていないだろう?それに……」
私の事をチラッと見てくる。
「こんな涙を見せているのに、この場所に居させ続けるのは酷すぎないか?
……今日はもう帰って頂いて結構です。また後日、お話を聞かせて貰いたいと思います」
私に一枚の名刺を差し出してくる。
「この番号からお掛けしますので、宜しくお願いします」
「はい。……ありがとうございます」
私はその男性に深々とお辞儀し、取り調べ室を後にするとすぐにタクシーを呼び、健人くんが運ばれた病院へと向かった。
「先輩っ!」
手術室の前に置かれた長椅子に、すずとたけるくんが並んで座っており、駆けつけた私に気付いたすずはすぐに近寄って来てくれた。
「……健人くんは?」
「まだ中です。もう二時間経とうとしています」
「そう……」
赤く光る『手術中』の文字を見た後、固く閉ざされた扉に私は目を移した。
「………ありがとう。あとは私が残るから」
「でもっ」
「たけるくんもありがとう。君がいてくれたお陰で翔平はすぐに捕まえれたから」
「いや、健さんの指示っすから」
「でもどうして翔平の後を付けていたの?」
「それは……」
たけるくんの口から発する言葉に私達は黙って耳を傾けた。
送った写真はすぐに翔平達の白日の下に晒される事になり、その後に起こり得る展開を予想していたそうだ。
愛する人に逃げられ、職を失いそうになる人間が取る行動は3つあると言う。
全てが嫌になり塞ぎ込むか酒や博打に逃げ現実逃避をする。
そして、復讐だと。
「じゃあ、翔平は」
「3つ目っすね。調べていたら残りの2つは無さそうで。
……なんて言うか自尊心の塊みたいっすから」
言われて納得した。
付き合っている時も『お金』を持っている事をひけらかし、高価な物ばかり贈ろうとしてた。
私の視線がそこにあれば、即購入という感じを何度も目撃してきたから。
「あっ!」
すずの声が廊下に響いたかと思うと、私の袖を引き上の方を指差していく。
真っ赤に光っていた『手術中』の文字が消えるとすぐに、固く閉ざされていた扉が開いた。
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