真っ白だった俺を色付けた君は儚い

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尋問

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レジ奥の休憩室に招き、パイプ椅子を一つ、その娘に渡し、座ってもらった。

「まぁ……なんていうか、その……」

俺はこういう時の対処なんて聞いてないし、やった事ないからどう話し始めれば良いか分からず、ボサボサの髪を掻き必死に考えた。

ただ、目の前に座るこの娘は近くで見るとより可愛いな、と思ってしまい、出来たら仲良くなりたいという気持ちの方がむしろ強かった。

「あの、本当に、……お金なら払います」

盗ってしまったお菓子をテーブルの上に置く。
どうやら盗ったのは有名ブランドのチョコ、それもたった一つらしく、値段にして100円位だ。
それでも盗ってしまった罪悪感からか、薄らと、いや、もう泣き出してしまいそうなくらい目は真っ赤で、俺が一言怒ってしまったら完全に涙腺は決壊する程だった。

「まぁ……、で、でもよ、なんでやろうと思ったんだ?」

とりあえず、訳だけは聞こうと思い、尋問に感じないように自分ではやんわりとした口調で聞いてみた。

「……」

眉を寄せ、スカートの上に置いた両手なんてブルブルと震え、口を開けば泣く。
そんな状態が続き、話し合いは進まず、いよいよ困ったなと感じ、やはりオーナーに言うべきかと真剣に思い始めた。

「べ、勉強……」
「勉強?あんた、この辺の高校じゃなさそうだよな?どこ高?」

制服のスカートは俺が通っていた頃、生徒が着ている色じゃないし、赤いリボンを付けた高校を俺は知らなかった。
なので、いまいるこの娘は少し離れた場所からここに来たんだろうと推察した。

「私……成徳高校、です」
「成徳?」

何度も成徳という高校名を繰り返し、頭の中でそんな高校、ここら辺から近い場所にあったか?と検索していく。
だけど、いくら考えても思いもつかず、置きっぱなしにしていたスマホを取り出し検索をしようとした。

「や、やめてください!?」
「あっ??」
「親に、連絡だけは!?」

あ~、なるほど、って思った。
俺がスマホでこの娘の親に電話すると勘違いしたんだと。

「……いや、俺はただ、『成徳』って高校知らねぇから検索しようとしただけで。
連絡しようにも俺はあんたの名前も、家の番号も知らねぇよ?」
「あっ……」

俺の返答に泣きそうだった顔はより真っ赤になり、下を俯く。
なんかこんな時に悪いが、赤らめる顔がなんだかより愛おしくなり、俺は検索するのをやめ、名を聞く事にした。
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