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煌びやかな祝宴

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とうとう祝宴当日を迎えた。

王宮には隣国を始め、交流がある国の要人が来客された。
「マール、こっちに来て」
ミク専属長に呼ばれ、一室に私達給仕は集められ、
服を手渡された。
「これは…?」
「今日は陛下妃主催のパーティーです。いつもの様な服装では失礼にあたります。ので、そちらに着替えて給仕をして下さい」
手渡された服はシルクを素材としているのか肌触りが良く、要人達と同じ位ではないが、『正装』といった感じだった。

「わぁ、こんな服初めてです」

口々にテンションが上がってる給仕達。もちろん私もこんな服は初めて。
服に無頓着だから、他よりも更にテンションが上がってしまう。

「着替えたら各々持ち場に着き、給仕に務めてください」
「はいっ」

会場には陛下、妃を始め続々と要人達が集まり、所々で歓談している。
パンパンッと手を叩く音がし、見ると会場の少し小高い場所にいる妃が皆に挨拶をしようとしている。

「皆様、今日はお越し頂きありがとうございます。陛下妃のリースでございます。
今回は宴を通し、よりよい国の発展が出来たらと思います。我が国1番の給仕を集め、おもてなしをさせて頂きます。
どうぞ皆様ごゆっくりお楽しみください。
では、皆様、乾杯!」

「乾杯!」

挨拶も終わり、またそれぞれが歓談をしている。
「アリス、あっち食べてみよう」
「そうね」
隣国タクティスのグレイ陛下にアリス令嬢が無邪気に会場内を探索している。
そして、私の担当するケーキに来て
「アリス、チョコが好きだよね。これ何?」
「ガトーショコラでございます」
アマリスさんが受け答えをし、受け取るとアリス嬢に渡している。
「美味しい?」
「ええ、とっても」
アリス嬢は上品だけど、お坊ちゃんがどうも私は好きになれない…。
これが婚約者とは。私だったら断固拒否!
許されるならだけど…。

会場では陛下が交流ある国の皇族等対応している。

やっぱりこういう場所って息が詰まるなぁ…食堂みたいじゃないからいちいち気を使うというか…。

「あなた、少しお食事をしたらどうかしら?」
「あぁ、そうだな」

「少し席を外します、ごゆっくりお楽しみください」

リース妃が陛下を気遣っている部分はやっぱり夫婦だなと思ってみてしまう。

あっ…今なら1人だし、渡せるかも。
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