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『それゆけ!仲間達』編
プロローグ ②
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「儂も理解しきれとるわけじゃねぇけど、アスカは演劇を見とる感じなんじゃろうかの」
「え?」
首をかしげるオレに微笑みかけ、オージンはさっきまで劇が上演されていた舞台の方を見る。
「儂らが舞台役者。アスカは観客、兼監督ってところじゃろうか。
儂らと一緒に舞台に立ちながら口を挟んでシナリオ通りに、あるいはシナリオを変えて演劇を進める進行役みたいな、そんなんじゃないんかの」
「そうそう。そういう感じよ!」
「そういや前にアスカが、映画見てる感じでどうこう文句言ってたな。テレビって映画のことか」
「むしろ映画は知っててテレビは知らないのね」
苦笑いしてるアスカ。なんか田舎者だってバカにされてる感じがしたぞ。
「映画ってのは、今見た舞台演劇を光魔法で録画して、別の場所で投影して見るものだよ。
故郷の村にもよく映画投影士って魔法使いが来てくれて、オレ達に映画を見せてくれてたんだから知ってて当然だろ」
「プロジェクターって機械じゃないんだ。何それ、すっごいファンタジーしてる!」
なぜか感動してるアスカ。
テレビゲームというのはそれを超える魔法みたいなものだろう。異世界に干渉してるんだし。なんで映画魔法なんかに驚いてんだ?
ともかく、アスカの言うことは完全にオレの理解の範疇を超えている。
これはもう今まで通りオレはオレの人生を生き、未だゲームとして満喫中のアスカにちょっかいを出されても、英雄なんだから仕方がないとあきらめるしかない。
現実逃避──ああ、なんてステキな言葉の響き。
「まあ、自分の人生に他人の進行役が居るんは、あまり気持ちのええもんじゃないんじゃけどな」
「そうっ! それだよ。全くその通り!」
あきらめようと思ったばかりだが前言撤回。
オージンの意見に同意してブンブンと首を縦に振りまくっていると、アスカの殺気が横から突き刺さる。
「へぇ、ガウルもオージンもそんなこと言うんだぁ?」
「なんだよ……、その天使のような悪魔の微笑みは……」
優しい笑顔から漏れ出す殺気。女性恐怖症のオレが気付かないとでも思ったか!
オージンもそれを察したのか、目を泳がせる。
「ま……まあ、ガウルはこの舞台の主演の英雄なんじゃし、アスカの言うことはちゃんと聞きんさい」
「何をいきなり裏切ってるんだよ!」
「いやぁ、アスカは怒らせん方がええと思うんよ……」
完全にそっぽを向いて苦笑するオージン。何かされるって気付いてるな、こいつ……
オージンを問い詰めようとすると、アスカに肩を叩かれる。振り向けば、未だ微笑んでるアスカが優しく言う。
「ねぇ、ガウル。今度、英雄剣抜いた瞬間に装備をはずしてあげよっか?」
「装備をはずす? って、どういうことだよ?」
「一瞬で素っ裸になるじゃろな」
「……は?」
一瞬で服を脱がされるってどういう状況だ?
いや、待てよ。アスカの奴、前に一瞬でドレスから今の服に着替えたな。ということは、裸になるのも一瞬で──
「ちょっと待てぃ! おかしいだろ、なんだよそれ! 人を勝手に裸にできるって、もはや犯罪だろ!」
「装備をはずしたら裸になるゲームって、別に珍しくないわよ?」
「珍しい珍しくないって話をしたいんじゃねぇっての!」
「大丈夫よ、そこまで焦らないでも。パンツまでは脱がせられないから」
「当然だ! むしろパンツ以外は脱がせられる状況が大丈夫じゃねぇんだよ! 何の権限でそんなことできるんだよっ!」
オレの問いにアスカは、長い黒髪を軽やかにふぁさーっと掻き上げながら爽やかに答える。
「だって私。神様だもの」
「…………」
そうか。オレは戦女神の英雄なんだから仕方ない、やっぱりあきらめよう。アスカがそうしろと言うのだから、それは神様の言う通り、あのねのね──って、違う!
なんか一瞬、丸め込められそうになったけど、そうじゃないだろ。おかしいだろっ!
「……何よ、その異論反論がありそうな顔は」
「いや、お前。異世界の普通の女だって、もう正体バレてるから……。とにかく裸にするのだけはやめてくれ……」
英雄が公然わいせつで逮捕なんてシャレにもならんだろうに。
「じゃあ、寝てる時にこっそり脱がすわ」
「やめいっ!」
なんでそこまでオレを脱がそうとしてるの、この子。そのやる気は何……?
「なんじゃい、ガウル。別に裸くらい見られても減るもんじゃあるまいし、儂なんか全然気にせんぞ?」
「オージンは初めて会った時にほとんど全裸だったから今さらだろ。お前と一緒にしないでくれよ……」
「ま、アスカみたいな〈操作人〉にとっちゃあ、儂らは着せ替え人形みたいなもんじゃけ。さっさと割り切っとった方が気が楽じゃで?」
故郷の村で一番の勝ち気な女の子が大事にしていたお人形さんを思い出した。
乱暴に扱われてたのかひどくボロボロだったけど、まさかあれが明日は我が身だったとは……
「そういえばさ。オージンにも私みたいな人がいたのよね? どんな人だったの?」
「そ、その話はええじゃろ……」
アスカの素朴な質問にオージンがうろたえる。
いつも飄々としてても芯は落ち着いてる彼が、あからさまに焦っている。
「どうしたんだ?」
「二千年も昔の話じゃけ。忘れっしもうたわ」
「いや、それだったらアスカより色々と詳しいのはおかしいだろ……」
オージンはアスカも知らないようなことをよく知っている。
たぶん、前に一緒だった人に教えてもらったんだろうけど、その人のことを二千年前だから忘れてるなら、他のことだって何もかも忘れているはずだ。
「さて。ほんなら、そろそろ帰ろうかの」
と逃げるように立ち上がるオージン。オレ達も慌ててそれに続く。
「おい、待てって。はぐらかす気かよ!」
「今は機界人をどうするかで忙しいんじゃ。今日もこれから王立図書館に行って調べもんの続きせんといけんけん。
んでも、腹減ったのぅ。なんかおごってくれん? 英雄殿」
「ったく、お前は……」
オージンのマイペースっぷりにもあきれる。アスカと同じく危機感が足りない……
いつも軽薄そうにヘラヘラしてるくせに、黙ってることは簡単に聞き出せそうにない。そういうところは強情そうなオージンである。
「──ダメね。オージンとは『コミュレベル』が低すぎて、今はまだ親密な話を聞いても、はぐらかされて終わりそうよ」
「コミュレベルって……信頼度とかの数値だっけ」
オレを取り巻く環境は、なんでもかんでも数値化されてるらしく、アスカはそれが見えてるらしい。
んでも、信頼度まで数字にできるってどういうことなのか。これも理解の範疇にない。
「コミュレベルってオレとアスカだけじゃなくて、オージン達にもあるのか?」
「ええ。私はガウルとだけだけど、ガウルは他のみんなともあるわよ」
「というか、あって当然か。人と付き合ってりゃ仲良くなったり嫌われたり、何かしら関係性は生まれるもんな。数値化されてるってのがおかしいだけで……」
ああ……。謎の数値に縛られない普通の暮らしに戻りたい……
「ガウルはオージンだけじゃなくて、シェルティ達ともコミュレベルがまだ低いわね。
信頼度が上がれば話に進展があるかもしれないし、今はみんなと仲良くなりましょ!」
「…………」
オレの人間関係で遊ばれてる……。
みんなと仲良くなることに異論はないけど、話を進めるために仲良くなれなんて、なんかやるせないこの気持ち。
「何よ、不満そうな顔して……脱がすわよ?」
「なんじゃ、儂と仲良くなりたいんか。じゃあ、うんと高めの料理をおごってくれるんじゃな!」
理不尽な脅迫をしてくるアスカと、話を聞いてたのか笑顔で理不尽な要求をしてくるオージン。
悪魔と鬼がいる。まごうことなき絶望を振りまく存在がここにっ!
「お前ら……オレが何をした……。くそ、こんなの悪夢以外の何ものでもないじゃないか……」
オレはガックリと肩を落として、ニコニコ笑顔のアスカとオージンとともに劇場を出ていくのであった……
──機界人のことは進展なさそうだし、鬼人とは別の魔族、魔人の方もさっぱり音沙汰なし。当面の目標は『仲間達と親密になろう!』ってか?
だけど、オージンにシェルティにリゼとサアル。それに何よりアスカ。こんなクセ者ぞろいの仲間達と信頼しあえる未来は来るのだろうか?
たぶん、オレが人間不信におちいる方が早いと思うよ……うん。きっとそう。
「え?」
首をかしげるオレに微笑みかけ、オージンはさっきまで劇が上演されていた舞台の方を見る。
「儂らが舞台役者。アスカは観客、兼監督ってところじゃろうか。
儂らと一緒に舞台に立ちながら口を挟んでシナリオ通りに、あるいはシナリオを変えて演劇を進める進行役みたいな、そんなんじゃないんかの」
「そうそう。そういう感じよ!」
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苦笑いしてるアスカ。なんか田舎者だってバカにされてる感じがしたぞ。
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ともかく、アスカの言うことは完全にオレの理解の範疇を超えている。
これはもう今まで通りオレはオレの人生を生き、未だゲームとして満喫中のアスカにちょっかいを出されても、英雄なんだから仕方がないとあきらめるしかない。
現実逃避──ああ、なんてステキな言葉の響き。
「まあ、自分の人生に他人の進行役が居るんは、あまり気持ちのええもんじゃないんじゃけどな」
「そうっ! それだよ。全くその通り!」
あきらめようと思ったばかりだが前言撤回。
オージンの意見に同意してブンブンと首を縦に振りまくっていると、アスカの殺気が横から突き刺さる。
「へぇ、ガウルもオージンもそんなこと言うんだぁ?」
「なんだよ……、その天使のような悪魔の微笑みは……」
優しい笑顔から漏れ出す殺気。女性恐怖症のオレが気付かないとでも思ったか!
オージンもそれを察したのか、目を泳がせる。
「ま……まあ、ガウルはこの舞台の主演の英雄なんじゃし、アスカの言うことはちゃんと聞きんさい」
「何をいきなり裏切ってるんだよ!」
「いやぁ、アスカは怒らせん方がええと思うんよ……」
完全にそっぽを向いて苦笑するオージン。何かされるって気付いてるな、こいつ……
オージンを問い詰めようとすると、アスカに肩を叩かれる。振り向けば、未だ微笑んでるアスカが優しく言う。
「ねぇ、ガウル。今度、英雄剣抜いた瞬間に装備をはずしてあげよっか?」
「装備をはずす? って、どういうことだよ?」
「一瞬で素っ裸になるじゃろな」
「……は?」
一瞬で服を脱がされるってどういう状況だ?
いや、待てよ。アスカの奴、前に一瞬でドレスから今の服に着替えたな。ということは、裸になるのも一瞬で──
「ちょっと待てぃ! おかしいだろ、なんだよそれ! 人を勝手に裸にできるって、もはや犯罪だろ!」
「装備をはずしたら裸になるゲームって、別に珍しくないわよ?」
「珍しい珍しくないって話をしたいんじゃねぇっての!」
「大丈夫よ、そこまで焦らないでも。パンツまでは脱がせられないから」
「当然だ! むしろパンツ以外は脱がせられる状況が大丈夫じゃねぇんだよ! 何の権限でそんなことできるんだよっ!」
オレの問いにアスカは、長い黒髪を軽やかにふぁさーっと掻き上げながら爽やかに答える。
「だって私。神様だもの」
「…………」
そうか。オレは戦女神の英雄なんだから仕方ない、やっぱりあきらめよう。アスカがそうしろと言うのだから、それは神様の言う通り、あのねのね──って、違う!
なんか一瞬、丸め込められそうになったけど、そうじゃないだろ。おかしいだろっ!
「……何よ、その異論反論がありそうな顔は」
「いや、お前。異世界の普通の女だって、もう正体バレてるから……。とにかく裸にするのだけはやめてくれ……」
英雄が公然わいせつで逮捕なんてシャレにもならんだろうに。
「じゃあ、寝てる時にこっそり脱がすわ」
「やめいっ!」
なんでそこまでオレを脱がそうとしてるの、この子。そのやる気は何……?
「なんじゃい、ガウル。別に裸くらい見られても減るもんじゃあるまいし、儂なんか全然気にせんぞ?」
「オージンは初めて会った時にほとんど全裸だったから今さらだろ。お前と一緒にしないでくれよ……」
「ま、アスカみたいな〈操作人〉にとっちゃあ、儂らは着せ替え人形みたいなもんじゃけ。さっさと割り切っとった方が気が楽じゃで?」
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アスカの素朴な質問にオージンがうろたえる。
いつも飄々としてても芯は落ち着いてる彼が、あからさまに焦っている。
「どうしたんだ?」
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「いや、それだったらアスカより色々と詳しいのはおかしいだろ……」
オージンはアスカも知らないようなことをよく知っている。
たぶん、前に一緒だった人に教えてもらったんだろうけど、その人のことを二千年前だから忘れてるなら、他のことだって何もかも忘れているはずだ。
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「コミュレベルって……信頼度とかの数値だっけ」
オレを取り巻く環境は、なんでもかんでも数値化されてるらしく、アスカはそれが見えてるらしい。
んでも、信頼度まで数字にできるってどういうことなのか。これも理解の範疇にない。
「コミュレベルってオレとアスカだけじゃなくて、オージン達にもあるのか?」
「ええ。私はガウルとだけだけど、ガウルは他のみんなともあるわよ」
「というか、あって当然か。人と付き合ってりゃ仲良くなったり嫌われたり、何かしら関係性は生まれるもんな。数値化されてるってのがおかしいだけで……」
ああ……。謎の数値に縛られない普通の暮らしに戻りたい……
「ガウルはオージンだけじゃなくて、シェルティ達ともコミュレベルがまだ低いわね。
信頼度が上がれば話に進展があるかもしれないし、今はみんなと仲良くなりましょ!」
「…………」
オレの人間関係で遊ばれてる……。
みんなと仲良くなることに異論はないけど、話を進めるために仲良くなれなんて、なんかやるせないこの気持ち。
「何よ、不満そうな顔して……脱がすわよ?」
「なんじゃ、儂と仲良くなりたいんか。じゃあ、うんと高めの料理をおごってくれるんじゃな!」
理不尽な脅迫をしてくるアスカと、話を聞いてたのか笑顔で理不尽な要求をしてくるオージン。
悪魔と鬼がいる。まごうことなき絶望を振りまく存在がここにっ!
「お前ら……オレが何をした……。くそ、こんなの悪夢以外の何ものでもないじゃないか……」
オレはガックリと肩を落として、ニコニコ笑顔のアスカとオージンとともに劇場を出ていくのであった……
──機界人のことは進展なさそうだし、鬼人とは別の魔族、魔人の方もさっぱり音沙汰なし。当面の目標は『仲間達と親密になろう!』ってか?
だけど、オージンにシェルティにリゼとサアル。それに何よりアスカ。こんなクセ者ぞろいの仲間達と信頼しあえる未来は来るのだろうか?
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