色彩色盲

カミーユ R-35

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やらかしてる

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【次の日】

お昼ご飯を食べた後の授業は、どうしてこんなに眠くなるのだろう…。
不意に聞こえた「寝るな」と言う担任の言葉に転入生は、ハッと目を開ける。
自覚無いまま目を閉じかけていたらしい転入生は、寝ないように……目を擦っているたら、不意に名前を呼ばれた。

担任「転入生」
「え?」俺が顔を上げると同時に、俺の額に何かが当たる。
どうやら担任が俺めがけてチョークを投げた様で、それが見事に俺の額に当たった様だった。額に当たったチョークは軽い音を立てて机の上に落ちる。

「授業を聞いてなかった罰だ」何が起きたのか分からない様子で目を見開いている俺に、担任は言った。

担任「放課後、職員室まで来い」
転入生「……はい……」

俺はそう答えつつ、チョークの当たった額に手を当てた。
(特別痛い訳じゃないけど、何か違和感が少しだけ残るな…)
そんな一連を瞬きしながら見ていたクラスメイトの一人が、振り返り俺に。
「後で職員室に行ってこいよ」ニヤニヤと笑いながらそう言ったのは、俺をからかってのことだろう。
転入してから今日まで、何だかんだこのクラスには俺なりに馴染めていると思っている。いや、馴染むというよりも、ただこのクラスに俺という異分子がいることを許されているというのが正解かもしれない。
そんなことを考えていると、アホらしくて自然と口元が緩む。
クラスメイトは時折こちらを振り返って見ているようだったが、俺は気にせず窓の外を眺めた。
そうして時間が経つにつれ、授業の内容が子守歌のようになってくる。(あ~、ヤバイかも…)
心地よい静寂と窓からの柔らかな陽の光に包まれながらまどろむと、いつの間にか俺の意識は遠退いていった。



……。
次に目を覚ました時には、既に休み時間になっていた。
(やらかした)そんな不安が脳内に過る。
こりゃ放課後、大目玉を食らうに違いない…。
……なんてことを考えていると、クラスメイトが俺の席の前までやってきたようで、声を掛けられた俺はハッと我に返った。

「よお! 大丈夫か? どっか具合でも悪いのか?」

転入生「あ、いや。ちょっと考え事をしてた」
クラスメイトに話しかけられ少し狼狽えるも、何とか平静を装って言葉を返す。するとクラスメイトは不思議そうに俺の顔を見つめながら言ってきた。

「悩み事か……?
授業中に居眠りなんて。逆に心配してたぞ、先生が」
「え……そうなのか?」
驚いた顔をする俺に頷くクラスメイト。言われて気づく。どうやら俺はかなり疲れているらしい。転入してからずっと気を張っているせいだろうか? それともやはり慣れない環境の所為か

「どうした? 疲れてるなら無理して学校に来なくても良かったんだぞ?」
転入生「あ、いや……そんなんじゃないよ。でもありがとうな」

心配してくれるクラスメイトにそう返しはしたが、本当はかなり堪えている。一人でいると嫌なことばかり頭に浮かんできてしまい、心が押し潰されそうだ。
(俺はいつからこんな弱い人間になってしまったんだろう…?)
全ての元凶とも言える姉に、俺はこの時ばかりは無性に会いたくなった。まぁ 久しぶりにお姉ちゃんに会いたくなった俺は、相当ノイローゼなのだろうな。

そんな時だ。
クラスメイトが何やら思い出したような顔をして俺に言ってきたのは。
「そういえば転校生の噂が広まってたぞ?」

転入生「噂……? 俺のか?」
「そう。まぁ、あれだけ騒がれてたらな」

苦笑を浮かべながらクラスメイトがそんな事を言う。そんなに俺の噂って広がっていたのか……。なんて考えていると、クラスメイトは更に言葉を続けてくる。
「でもみんな悪気があるわけじゃないぞ? 寧ろ興味津々って感じだからな」

転入生「悪気がないのはわかってるさ……」
しかし、悪気がないのが逆に厄介だ。何せどんな噂が広まっているかわかったもんじゃないからな……。

転入生「そういえば、俺の噂ってどんなものが広まってたんだ?」ふと気になり聞いてみると、クラスメイトは考え込みながら答えてくれた。

「あぁ、えっとな……あっ! いや待て! これは言っちゃまずいよな……!?」
何故か慌てるクラスメイト。俺は意味がわからず首を傾げていると、クラスメイトは一人勝手に納得したように頷いていた。どうやら話してくれる気になったようだ。そうして俺がゴクリと息を呑んで待っていると……。

「お前は転校生だから知らないだろうが、実はな……」
転入生「実は……?」

クラスメイトが話そうとしている内容に緊張が走る。俺は思わずゴクリと息を吞んだ。
「お前は……女なんだ!」
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