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驚きぱなし
しおりを挟む担任は「決まってるだろ?お前は俺の生徒だ。俺が生徒を守るのは当たり前だろ?
それに、実は今回の件。一番先にお前の変化に気づいたのは俺じゃない無いんだ」
転入生「といいますと?」
担任「実はな、椋橋が俺に教えてくれたお陰でもあるんだ。椋橋が俺に言ってくれてな。『近堂キラの様子が最近可怪しい…』って、そして『担任なら自分の生徒の変化を気づくべき…』って言われてな。だが、もう少し気をつけるべきだったな」
担任はそう言うと、俺に向かって頭を下げた。
担任「本当にすまなかった!」
転入生「ええぇ⁉ちょ……先生!?」
担任の突然の謝罪に困惑する俺。しかし、担任は頭を上げようとしない。
担任「……俺は教師失格だ。お前から話を聞くまでは、お前に何もしなかった。俺は、生徒を守る義務があるというのに……!実際にお前が虐められている現場を見てしまえば信じざるを得ない。
それに、今回の件は担任の俺に責任がある。俺はお前の担任だ……お前を守る責任がある」
担任はそう言って、更に頭を下げようとしたので「ちょ!もう良いですから!」と、慌てて止めた。
(この人が担任で良かったな……)と思いながら、俺はその謝罪を受け入れた。
転入生「俺、先生が担任で良かったです」
素直に思った俺はそう伝えると。
担任「事態に気づかないこの俺をか?」
担任は自嘲気味に笑いながら言った。
転入生「そんな事ないですよ」
俺は首を横に振りながら答える。
転入生「俺は先生が担任で良かったですよ!」
担任「そうか……ありがとうな」と、先生は照れ笑いしながらそれ以上言わなかった。
そんな先生とのお話も終わり、寮へと急ぐ俺。
すると突然スマホに着信がきた。画面を見ると……
『お姉ちゃん』と書かれていた。
(突然どうしたんだろ?)
周りに誰も居ない事を確認して、俺は通話ボタンを押すと電話にでた。
姉「おー、よう!弟。元気してた?』
転入生「元気だよ。突然どうしたの?」
姉「そっちの学校はどうかな~?って思ってさ。大分慣れた?学校の連中に、イジメられてない?」
様子を伺うお姉ちゃんを他所に、俺は無意識に『イジメ』と言うフレーズに反応してしまった。
するとこう言う時のウチのお姉ちゃんは、妙に感がいい生き物らしい。「何?お姉ちゃんの言った通りの事がおきたの?」って聞かれる始末。
確かお姉ちゃんがこの学校に転入生した場合のルールブックがあるとか何とか言ってた様な…。
転入生「え…と確か。王道はとにかく目立つから外敵に注意だっけ?」
姉「そうそう、それ。
王道学園は、兎に角『転入生』と言うワードに弱いから、絶対にメインキャラ達と絡むと目の敵にされがちだし!」
転入生「何それ大丈夫か?」
姉「王道だからこそ良い!超人気コンテンツだから何しても大丈夫!」
転入生「それで良いんだ」
姉「それに、やっぱり王道学園は『主人公』が魅力あるキャラだからね。
だから皆、『主人公』じゃなくても人気が出るようにメインキャラとの絡みを期待する訳よ。」
転入生「つまり、メインキャラと絡むことが必須って事か」
姉「そう!だって王道学園に転入したけど、メインキャラと絡まないんじゃ、何しに学園に来たのか分からなくなっちゃうもん。」
(って、アンタは俺を犠牲にしてまで何を期待してんだよ)
転入生「そっか……じゃあ俺には無理があるなソレ。
俺元々人見知りだし、そんなポンポン知らない人と絡めねーよ俺」
姉「何言ってんのアンタって子は。
確かに人見知りは直さなきゃいけないけど、その分、王道学園では転入生が注目される機会もたくさんあるじゃない!」
転入生「……」
(そのせいで、イジメにあったのでは?)
姉「 メインキャラと絡むことは外せないけどさ、他にもサブキャラや脇役にも必ずスポットが当たるわよ!だって王道は群像劇みたいなところあるもん。
『メインじゃなくても良いからサブキャラと絡んで欲しい』と言う欲求が皆にあるんだから。
『主人公』じゃなくても人気が出れば全然オッケー!的な」
楽しいそうに語る姉と、さっきから時折電話の向こうでガサガサと言う音が気になる俺。「何してるの?」って何気なく聞いてみると、さっき迄楽しそうな声が一変し、同様の声に変わる。
姉「あ、いやちょっとトイレへ」
転入生「トイレ?…………ああ、なるほど。だからさっきからガサガサ音聞こえんのか」
音の現因も分かりスッキリしていると、急に姉が。
姉「ちょ、何聞いてるのよ!変態!」って言ってきた。
転入生「は?どっちがだよ!!」
うちの姉は理不尽だ。
姉「ま、まあとにかくね。男同士でも恋に落ちれば関係ないってことよ!それが王道よ!」
(話を逸らしたな)
転入生「……ふーん」
姉「分かった?」
(正直あんまり聞いて無かった事は、秘密にしとこ)
俺「分かった、分かった。ありがとう」
姉「なにー、急にお礼とか気味悪いわねー。お姉ちゃんの解説がそんなに分かりやすかった?」
そう言いながらも、何だか嬉しそうな姉。
転入生「まあ それはそうと。今度からトイレで電話するのやめてくれよ。こっちにまで音聞こえるんだからな」
姉「……はい」
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