色彩色盲

カミーユ R-35

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待ちに待った新入生歓迎会

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放送員「みんな~新入生歓迎会楽しんでる?今年は去年よりも盛り上がるように指令台に立ってる私達放送委員は頑張ってるよ~ん!!絶対に逃げ切ることの出来ない鬼を今回特別に一名雇ったから楽しみにしててね!それでは挨拶と説明の方に戻ろうか」

そして今回のルールを簡単に説明し始める。新入生歓迎会は全学年で一斉に行う。生徒会企画『地獄の鬼ごっこ』合図と共に散らばり鬼が襲い掛かってくる簡単なゲーム。新入生を捕まえていくことでポイントを獲得でき、制限時間以内に一番ポイントを獲得した者が優勝というもの。
今回は上級生の鬼たちにタッチされるともれなく罰ゲーム付と言うおまけも盛れなく付いてくる後付設定もあり、心躍るゲームとなっている。
全生徒が均等に楽しめる様にとルール少し変えており、新入生には容赦のない内容でもある。
既にくじ引きで逃げる側と追う側は決まっている。

新木「逃げ切れば優勝って素晴らしいルールじゃないか!これでこそ『歓迎会』って感じ」

水埜「当たり前です。この企画は生徒会が考えた案とは名ばかり。わたくし共が風紀委員会が練になった案ですのよ。これならわたくし共だけでは無く、新入生も楽しめる様にとの気遣いです」

隣で風紀委員会メンバーの二人が何か言ってると、少し離れた場所に立っていた会長が話を聞き気付けた会長が待ったをかけた。
会長「その言葉、少し誤差あるな。

鬼ごっこやかくれんぼなど昔からある遊びで盛り上がることが出来き、俺もこのルールには満足している。それに去年は逃げることに必死で新入生を楽しませることは出来なかったからな……。この機会に少しでも楽しんで貰えたら幸いだと思ってのこの企画、お前ら風紀委員会の案では無いだろ。そもそもお前ら風紀委員会は面倒臭がって『今年もいつものやつで』と言ってたじゃないか⁉」

新木「あ、確かにそうだ!」

水埜「なっ!!」

『あっはははは』と笑う新木を見て呆れて物も言えない会長。
そんな姿を俺は黙ってみる。すると俺の横を通り過ぎて行く見慣れた後姿に視線を向ける。
そこには少し心配そうな表情の副会長が歩いており、俺はその姿を眺めていた。

それから簡単にルール説明が終わり、いよいよ鬼ごっこ開始。 

放送員「よーい……スタート!」
の掛け声と同時に皆が蜘蛛の子を散らすように散って行った。

「お、おいっ!そっちは逆方向だぞ!」と慌てながら逃げる奴や「あちゃー」と言いながらしゃがみ込む奴。皆それぞれ楽しんでいるようだ。
僕は1人になりたくてその場から離れて行く。誰も来ないような校舎裏まで行くと、木にもたれ掛かるようにして座る。そのまま空を見上げると雲一つない青空が広がっていた。
遠くで聞こえる喧騒を聞きながら目を閉じると微かに人の気配を感じる。
誰か来た……と思いながらも目を開けずにいると、その気配はゆっくりとした足取りで近づいて来た。
そして、僕の近くまで来ると話しかけてきた。

副会長「相変わらずサボっているんですか?」
聞き覚えのある声に俺は目を瞑ったまま答える。

「ちょっと休憩中……」
その答えにクスクスと笑う声が聞こえる。

ゆっくりと目を開けると目の前には見慣れた顔があった。
副会長はいつもとで僕の顔を見ている。
そんな副会長の顔を見て僕は何も言わず空を見上げた。

「……副会長」
そう呟くと再び目を閉じる。すると副会長はそのまま僕の横に座ったようだ。少しの沈黙の後副会長は口を開く……。

副会長「ここは落ち着きますね」
そう言って副会長は微笑んだが、僕は何も言わずにただ空を見上げていた……。

副会長「椋橋はさ。」
僕は副会長の言葉に反応して目を開く。「ん?」と聞き返すと副会長は少し間を置いてから再び口を開いた。

副会長「椋橋って生きていて、不安になったコトって無いですか?」
突然の質問に僕は思わず固まってしまう。そして少し考えた後、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。「……ある」そう答えると副会長は少し驚いたような表情を浮かべた後、小さく微笑みそして副会長は静かに口を開く。

副会長「そっか……君もあるんですね」
どこか安心した様な優しい口調で「それってどんな時でしたか?」って聞かれ、質問の糸が分からずに僕は思わず固まってしまう。「え?」

副会長は僕の反応を見て小さく微笑み。
副会長「難しい質問でしたね」
そう言って副会長はまた空を見上げた。

椋橋「不安ってのはさ、きっと自分が思っている以上に大きいから…」
そう呟く僕に、副会長は少し間を置いてから「それはどういう意味ですか?」と聞かれ。僕は少し考えそしてゆっくりと言葉を選びながら話を続けた……。

椋橋「自分の知らないところで、色んな出来事が起きているかもしれない。そしてその中には自分の望まない結果や、自分自身の望まないような状況になっていることもある…。それに気づいた時に、『ああ、自分って何てちっぽけなんだろう…』って思うんだ……」
僕はそこまで言うと口を閉じた。
副会長は何も言わずにただ空を見上げているだけだったが、僕の言いたい事はなんとなく分かってくれたのかもしれない。

副会長「ありがとうございます」
そう言って副会長は微笑むと再び空を見上げる。
それからしばらくの間沈黙が続いた後、「では、私はそろそろ行きますね。鬼ごっこの最中ですし」等と言って腰を持ち上げた。

副会長「また一緒にお話ししましょうね?」
去り際にそんな言葉を残す副会長。(僕と話して楽しいだろうか…)ふとそんな事を思った。






(この後、どうやって時間を潰そう…)
まだ鬼ごっこは始まったばかり。次々と捕まっていく生徒達を遠目に、僕は欠伸をしながら独り歩いていた。

椋橋「疲れた……」
あれから暫くして外でなく僕は人気のない教室に逃げ込んでいた。(早く終わらないかな…)椅子に座って外を眺めていたその時だった。ガラッとドアが開いて誰かが入ってくる気配がした。
??「あら?まだ残っている方がいたんですね」
聞き覚えのある声が聞こえ振り返るとそこには風紀委員会の水埜が立っていた。(ああ、確か彼も参加していたね。追う側で…)心の中で呟きつつ彼を改めて眺めてみる。
風紀委員会の新木とは異なり、落ち着いた雰囲気を持っている。また彼の場合はその容姿だけではなく性格的にも大人っぽく見える部分があるが、中身は結構ガキだそうだ。(新木情報)

何故か水埜は無言のまま僕を見つめている。
(何か用があるのだろうか?)そう考えていると彼はゆっくりとこちらに近づいてきた。(僕を捕まえる気?)そう思ったがそうじゃないらしい。

水埜「あの……ちょっとお聞きしたい事があるんですけど……」

椋橋「なに…?」
警戒しつつ、話を聞くコトにした。
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