色彩色盲

カミーユ R-35

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逃走中

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放送員「鬼ごっこもそろそろ大詰めを迎えてきました!残り5分を切りましたが、聞く所によると未だに6人の生き残りがいるそうです。これは結構凄い事ですね~。 さて、そろそろ本当にやばくなってきたので、ここで一つお得情報~!絶対に逃げ切れない鬼は今現在三階に上がっていま~す。三階に隠れている"人達は"早急に逃げて下さいw」

野間「何だこのふざけた放送わ?三階??何処だここ?」
そう野間が首を傾げ俺達全員に問いかけてきた。俺も必死に逃げてきたせいで此処が何処か分からない。けどさっきの放送員情報で俺は少し違和感を感じた。『三階に隠れている"人達は"早急に逃げて下さいw』三階に隠れている人達……。え!?まさか⁉

転入生「なぁ⁉此処ってまさか…⁉」
西園寺「三階ですね、此処」
野間「は?何言ってんだよ!俺達のこの教室は四階だろ?」

西園寺「いいえ、此処三階ですよ?」
野間「そんな訳……な!?」

言われて俺は今いる教室見回し、そして理解する。そう此処が三階だと言う事を。何故なら俺達の教室には"3ー5"と書いてあるからだ。
野間「じゃあ早く此処から出ないと⁉」
転入生「うん、そうしよう!皆さんダッシュで‼」

放送員「残り4分を切りました~!生き残る為なら人を蹴落としても問題無いので頑張って下さいね~!」
(放送員怖いこと言うな…)焦る俺達に追い打ちかける放送員の言葉に、その場の空気が張り詰める。

野間「もうこんな所出てやる!!俺が全員倒してやるぞ!!」そういい教室を出ようとする野間を俺は止める。

転入生「待って!今出たら危険だよ!」
野間「……何でだよ」
焦る俺達を他所に、今まで静かだった椋橋が静かに呟く。

椋橋「ベランダから降りよう」
野間「は!?無理に決まってるだろ!!此処三階だぞ!!」
彼の突然の宣言に、当然野間は反論する。そりゃそうだ、無理に決まっている。けど椋橋の目は本気だった。
椋橋は窓を開けてベランダに出ると、そのまま柵に手を掛ける。〇〇は隣のクラスに移ろうとしていたのだ。放送員「おお!大胆にも椋橋様がベランダ降りようしてますね~!でもそれは流石に無理があると思うのですが……」

椋橋「大丈夫……」すると、彼は何の躊躇も無く手すりに足を掛けて飛び降りた。

野間「!?おい!!」放送員「な!?」
俺と野間は急いで窓から顔を出すと、丁度彼が着地した所だった。唖然とする俺と野間に椋橋は、「ほらね」と言い放つ。その余りにも大胆な行動に、俺と野間は言葉を失った。
「嘘だろ!?」飛び降りた恐怖心が一切無い事に俺達は驚いていた。唖然とする俺達に構わず彼は言う。

椋橋「早く来なよ、時間が勿体無い…」
そう言ってスタスタ歩き出す彼の後を追いたいが……。

放送員「いやあ凄いですね椋橋様!流石の私も驚きました!まさか本当に飛び降りるとは!いやぁ勇気がありますねぇ~!拍手~!」
気の抜けた放送員の言葉に俺と野間は混乱していたが、隣でもっと取り乱している者がいた。

西園寺「椋橋様⁉お怪我はございませんか⁉私も直ぐにそちらへ行くのでそこでお待ち下さい!!」
そう言うと、西園寺さんが何の迷いもなく窓から飛び降りた。

西園寺「お待たせして申し訳ありませんでした、椋橋様!」
飛び降りた西園寺は着地と同時に土下座した。しかし、彼は何とも思ってない様子で「気にしないで…」と言った。

放送員「おお!何と椋橋様はあの西園寺君にも優しく接している素晴らしい心の持ち主ですねぇ~!おぉっと!此処で鬼が到着しましたね」
俺達はその言葉に恐る恐る振り向く、すると教室の外に全身黒ずくめの白い仮面を被った鬼がコッチをじっと見ている事に気づく。「「ぎゃああぁ‼‼」」俺達の悲鳴が響く中、鬼はゆっくり扉を開き教室に入ろうとしていた。

転入生「ど、どうしよう…」焦る俺とは裏腹に野間は。
野間「逃げんだよ‼行くぞ、キラ!」(えぇ⁉やだー‼)俺の悲痛な叫びを無視して、野間が俺の手を引っ張る。
(嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!いやあぁぁ‼⁉)ベランダに足を掛けた時、後ろでガタッと音がする。振り返ると、そこには鬼がコッチに向かって片手を突き出していた。

放送員「おーっと!ここで転入生君捕まってしまうのか⁉」
俺は嫌な予感がした。
転入生「野間俺……」(此処で捕まっていい…)そう言いかけた時、俺の手首を引っ張る力がグイッと増した。
転入生「え…?」
野間「こんな所で終われるかああぁ!!‼」
気がついた時には俺は宙を舞っていた。
(あぁ……俺、今。そら飛んでる…)「これが、空か……」俺の体は宙を舞いながら、走馬灯のように今までの事を思い出していた。野間との出会った日。一緒に喋った事。そして……。

転入生「ぎゃあああぁ……‼‼落ちてるぅ!俺落ちてるぅ⁉」俺が悲鳴を奏でている間に、野間が空中で俺を抱えて着地。

(バケモンかよコイツ⁉)
転入生「野間ぁ!何してくれてんだお前!?」
ドサッと音を立てて地面に落とされた俺はそう抗議する。すると野間は俺を見つめながら一言。

野間「キラ……お前少し重たいぞ。痩せろ」
その一言に俺の顔が一気に熱くなるのを感じた。
(俺は平均体重じゃボケえぇ!!‼)声にならない叫び声と野間の冷ややかな目。悲しい…。

西園寺「それより早く、鬼が来る前に行きますよ」
西園寺さんの声にハッとした俺達は先を急いだ。その時俺はさっき迄いたベランダが気になり走りながら振り返ると、身を乗り出した鬼が俺達をじっと見ているコトに気づき、俺は怖くなって歩みを早めた。

野間「キラ……、お前って重いのな。」
俺が再び野間の方を向くと、そこには先程までとは違い、真剣な表情で前だけを見て走る野間がいた。こいつ、さっき迄はふざけてたくせに……俺は少し苛ついた。そんな俺を知ってか知らずか、西園寺さんも真面目な口調で野間に話しかけた。

西園寺「にしても危なかったですね。あと一歩遅れてたら……」野間「あぁ……あと少し遅れてたら本当にヤバかったぜ……。キラがもたついてたせいでハラハラ・ドキドキだったぞ」

(いやいや、あの状況なら誰だってもたつくわッ!)
俺は心の中でそう叫んだが、口に出すのは控えた。
野間「ところで、さっきから気になってたんだけどキラって」野間はそこまで言うと、突然俺の肩をガシッと掴み、自分の方に強引に振り向かせられると、俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
転入生「なッ……なんだよ」
俺は気恥ずかしくなり、目を逸らしながらそう言うと、野間は俺の耳元で囁くようにこう言った。
野間「お前ってさ……よく見たら 意外と女っぽくね?」
それを聞くと、俺はさらに恥ずかしくなり、耳まで真っ赤になった。
転入生「ふ……ふざけんなッ! そんなことあるわけねーだろッ!」
俺は怒りで我を忘れそうになったが、そんな俺を西園寺さんは宥めるように。

西園寺「まぁまぁ、落ち着いて下さい。野間も悪気があって言ったわけではないと思いますよ?」
椋橋もそんな俺の様子を黙って見ていたが、やがて何かを思い出したかのように口を開いた。
椋橋「君ってそう言えば少し前まで、噂がたっていたよね。君がほんとは女じゃないか…って」
西園寺「ええ。ですから私、噂を聞いた時にもしやと思い、一応確認しておこうと思いまして……。でもあの時私はキラくんのことを男だと認識していましたから、そういう情報だったとしても信憑性が低いと思っていましたけど」
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