色彩色盲

カミーユ R-35

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拓海視点 その4

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俺はその元凶を探すため辺りを見回してみた。すると、食堂の入口で何やら人集りが出来ている事に気づき、俺は凝らしてみる。すると二人もようやく気づき、俺が見ている方へと視線を向けた。
拓海「あれは……何やってるんだ?」
食堂の入口に4人の男子生徒が入ってくる姿があった。

チワワ「きゃああぁぁ‼‼生徒会の人達よ!」「そんな!なんでこの食堂に?!」「やだもう格好良い!!」男子生徒が現れると、生徒達が黄色い悲鳴を上げ始める。なぜか皆ウキウキした様子で盛り上がっていた。

篝「ねえねえ!あれって誰!?何て名前の人達なの!?」俺にそう聞いてくる。
(俺に聞かれても…)
拓海「……え?ああ、あの4人か。あの4人は」
俺が答えられずにいると、光輝が「生徒会役員やん」って答えてくれた。

篝「へぇー、そうなんだぁ」
心做しか篝は目をキラキラと輝かせているのは気の所為??
拓海「興味あるのか?」
篝「全然、でも俺もあんな身体になりたい!」
そう言って指を指す篝の視線の先には4人グループの中で一番先頭を歩いている人物だった。

光輝「アレは確か生徒会長の〇〇やった筈やで」

拓海「へ~、光輝お前、結構物知りなんだな」
関心した俺は素直に褒めると光輝は照れたように頬をかく。
光輝「そないなことあらへんよ!こんなの常識や」
そう言いながらも何処か嬉しそうだった。
(その話が本当なら、俺は非常識って事になるんだが…)

すると突然、篝が声を荒げる。「ん?どうした?」
篝「俺、あの人に弟子入りする!」
そう言って指を指す先にいたのは生徒会長だった。「はぁ!?」俺と光輝は同時に声を上げる。

篝「だって、あの人の身体って凄く鍛えられてるじゃん!だから俺もあんな風になりたいんだ!」篝のその目は本気だ。
(確かに……)俺は改めて生徒会長を見る。確かにあの身体付きは凄い。身長も高くて筋肉もしっかりとついているし、制服越しでも分かる綺麗なフォルム。確かに篝の言ってることは一理ある、が。それとこれとは別だ。

光輝「でも、あの生徒会長って確か超ドSで有名やなかった?」光輝がそう呟く。「え?そうなのか?」俺は初めて聞く情報に驚く。

光輝「ああ、何でも気に入らない生徒を退学まで追い込むらしいで」
「マジで!?」俺は驚きの声を上げる。
光輝「うん。だから皆怖がって近寄らないんだ。親衛隊以外はやけど……。まぁ、それでもあの身体付きは憧れるよな」
そう言って光輝は苦笑する。確かにアレだけ鍛えられた身体なら女子にも男子にモテるだろうなぁ……と下衆な考えが頭を過る。……
拓海「じゃあ、生徒会に入るしかないな」俺は諦めたように呟くと、「いや、だから無理だって……今の会長は超ドSだし……」光輝は困った顔をする。まぁ、確かに今の生徒会長に近付くのはかなり危険だろうなぁ……と俺も思う。「諦めろ篝」
俺はそう言って篝の肩をポンと叩く。「……分か…ってる…」(なんとも歯切れの悪い『分かってる』だな)本当分かってんのか?俺は苦笑いをしつつ、ある事に気づく。

拓海「なあ光輝。あの後ろ奥にいる奴って名前分かるか?」
光輝「後ろ奥?あの4人組の?」拓海「ああ…」俺はそう言って4人組を指差す。
光輝「確か……『生徒会書紀』の人やな」
拓海「生徒会…」
光輝「そう、学園内の秩序を守る人達。人形みたいな外見は顔だけじゃないみたいやで。人を寄せ付けない絶対零度って噂や」
拓海「なるほどな……ありがとう、光輝」
俺は礼を言うと、その『生徒会』とやらに近付いて行く。後ろで何やら二人が言っているが無視。


拓海「…すみません」俺が声を掛けると4人組は一斉に俺を見る。一人を除いては……。(まだ俺に気づいてない様だ)興味無さそうに他の連中とは違う方向を見ている。

拓海「憂……」名前を呼ばれようやくこっちを振り返る憂。
椋橋「……拓海」?驚いた顔で俺を見つめる姿に何だが心に暑いものが込み上げてくる…。(可愛いな…)
俺は思わずニヤケそうになる顔を隠す為、口元に手を当てる。

拓海「偶然だな。飯食いに来たのか?」
椋橋「うん…」
憂が言いかけたところで、さっきまで大人しかった4人組がざわつきだした。するとそこへ親密そうな男が憂に話し掛ける。

会長「知り合いか?」
生徒会長が憂にそう尋ね、さり気なく俺達の間に割って入る。(何なんだ? この反応は…)俺は憂と生徒会長達が知り合いかどうかよりも、明らかにさっきまでと態度の変わった4人組が気になった。

会長「それはそうとお前は誰だ? もしかして憂の知り合いか」(友達…とは聞かないんだな)さっきから俺の存在を無視したかの様に話している事に少しムッとするがそれより落ち込む出来事を体験した。

椋橋「…分からない……」
憂の答えに俺はあからさまにガッカリした。(分からない…って。俺とはそう言う間柄じゃないってか…)憂の隣で何故か勝ち誇ったため表情を浮かべる生徒会長に苛立ちをおぼえる。

会長「で? 結局誰なんだ、コイツ」生徒会長は再び質問すると、少し間をおいてから椋橋が言葉を選ぶ。

椋橋「……僕の心の拠り所……」憂はボソッとそう答える。
(憂……お前ってやつは)その返答に憂以外の3人組が驚く。特に生徒会長に関しては相当驚いていた。すると、外見がチャラそうな男が俺の顔を物珍しそうに覗き込み、顎に手を当てながら観察する様に顔を近付けてくる。

星宮「へぇ……結構男前じゃん?」
確かに俺は顔立ちには自信があるが、男に褒められても嬉しくは無い。(あんまジロジロ見んなよ…)

会長「…ふざけんなッ……」唐突に呟いた生徒会長の言葉に、他の連中は一瞬呆気に取られた表情になったが、チャラ男の笑い声で場の雰囲気がもとに戻る。まぁ1人、不満げな顔をしているが…。
星宮「初めまして椋橋くんの『心の拠り所』くん。俺の名前は星宮。何か、面白そうだから宜しくしてネ!」
(どう言う意味だよソレ)と心の中で呟きながら、チャラ男に俺は握手を求めようと手を前に差し出した。「あぁ……宜しく……」差し出された手に一瞬驚いたが、すぐにニコッと笑い俺も手を握った。
星宮「君とは仲良く慣れそうな気がするよ」
意味ありげな笑顔でそんなことを言われ、内心(あんまり仲良くなりたくない)と言う気持ちを押し殺し「ああ…」と短く返事を返した。
会長「お前ら、そろそろ行くぞ。どっかの誰かのせいで、時間が押している」生徒会長の明らかに悪意の籠もった言い方にまたも腹が立つ。(個々が学校じゃなかったら……)下衆な考えが頭を過る。

拓海「それは悪い事をしたな。今度からは憂がの時に声をかける事にする」
皮肉も込めてそう告げると、生徒会長はフンッと鼻で笑うかの様に俺を見ると、さり気なく憂の肩を抱く。まるで憂は自分のものだと言わんばかりの生徒会長の態度が気に入らず俺は我慢の限界だった。「お前ッーーー!」言いかけた俺の言葉を遮るように「拓海……」と呼ばれた。俺の名前を呼ぶ憂に一瞬心が揺らぐが、今は生徒会長達への苛立ちの方が強かった。
(絶対ぶっ飛ばす)と心に誓い、憂の方を見ると心配そうにこっちを見つめる憂の可愛いさに苛立ちも半減してしまう。
(そんな目で見るな)「……わかった……」渋々返事をする自分が情けないが、惚れた弱みだと自分に言い聞かせた。生徒会長はそんな俺を見てまた鼻で笑い、「行くぞ」と言って歩き出した。と言って歩き出した。(ハァ……クソッ)

俺は心の中で悪態をつきながら、憂の心配そうな視線に後ろ髪を引かれつつ俺は光輝達の元へ戻った。戻った時光輝達が心配そうな顔で俺の事を見ていることに気づき、大丈夫と言う意味も込めて力なく笑う。すると、二人は俺の背中をバンッ!と力強く叩き、「早く帰るぞ」と言ってくれた。
俺は内心ほっとして、二人に「…俺も行く」と心から感謝した。(俺は良い友人をもったな)
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