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#03・神威
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あれから数日後、NOAH内のラボにラファエロとオズワルドの姿があった。
食堂での一件から、すっかり仲良くなった2人はラボで現在研究中の実験について、話し込んでいた。
「おかしいよね~……。この数値を変えれば、安定すると思ってたんだけど」
オズワルドは数字の書かれた紙を手に、考えを巡らせている。
「もう1回計算し直そうか」
そう言うとラファエロは1度書いた数式を消し、ホワイトボードに再び数式を書き始めた。
――頭痛ぇ……。
そんな2人のやり取りを近くで眺めていたリヒトは眉間に皺を寄せていた。
「リヒト、大丈夫?」
リヒトの異変に気付いたラファエロがリヒトの顔を覗き込む。
「……お前、頭よかったのな」
「それ、俺に言ってるの?リヒト」
オズワルドが黒い笑みを浮かべ、リヒトを見た。
「リヒト、水飲む?」
ラファエロがラボに設置してある冷蔵庫から、冷えた水の入ったペットボトルを取り出し、リヒトに尋ねた。
「あぁ」
リヒトがラファエロからペットボトルを受け取ろうとした、その時、ラボの天井に付けられたランプが赤く点滅し、スピーカーからは緊急事態を知らせる、サイレンの音が流れてきた。
「ラファエロ、行くぞ」
「了解」
「気をつけてね」
非戦闘員であるオズワルドをラボに残し、リヒトとラファエロは走り出した。
―――――――――――――――
NOAH・地下駐車場。
「初任務って何かワクワクするね」
「遠足じゃないんだぞ」
「分かってる。足は引っ張らないようにするから、任せてよ」
専用車に乗り込みながら、ラファエロは言った。
「遅いぞ」
すると、専用車の運転席には既にスタンバイ済みのイグナシオが座っていた。
「イグナシオも現場に行くんだね」
「お前よりは役に立つからな」
「そっか。じゃあ、期待してるね」
ラファエロはシートベルトをすると、ミラー越しにイグナシオに笑いかけた。
「というか、イグナシオが運転するの?」
「……お前、それは嫌味か?」
イグナシオがギロっとラファエロを睨みつける。
「純粋に気になっただけだろ。んな噛み付くなって」
助手席に座っているリヒトはイグナシオの顔を手で掴むと、無理やり前に向かせた。
「この車は現場まで全自動で動くんだよ」
「へぇ~、そうなんだ」
「NOAHってすごいね」っと子供のように感心するラファエロに対し、イグナシオは「そんな事も知らないのかよ」っと呟いていた。
「ラファエロ、ちゃんとシートベルトしとけよ」
「リヒトってたまにお母さんみたいだよね」
「せめて、父親にしてくれ」っと呟くリヒトを尻目にラファエロはシートベルトを締めた。
それをきちんと確認したイグナシオは、車のエンジンをかけ、車を発進させた。
「今回の任務は、市街地で暴れている不良グループの鎮圧だ」
走る車の中、リヒトはウェアブル端末・タブレット片手に任務内容を読み上げ始めた。
「その不良グループは謎のウイルス・神威に感染しているとの情報があり、見つけ次第捕えろとの事だ」
「また神威絡みかよ……」
神威とは、近年問題視されている、謎のウイルスの事だ。
感染すると、超能力者のような力を得られ、攻撃性が増すという。
感染源は未だ不明で、有効なワクチンもない。
NOAHはそんな神威と対抗する、唯一の組織なのだ。
「神威、か……」
「ラファエロ、無理はするなよ」
「分かってるよ、お父さん」
――……不覚にもちょっとキュンとした。
「着くぞ、準備しとけ」
イグナシオの言葉にリヒトとラファエロはこくんと頷いた。
―――――――――――――
市街地に到着したリヒト、イグナシオ、ラファエロの3人は専用車から降りて、状況を把握するため、近くにいた警察官に声をかけた。
「不良グループはこの場所に逃げ込んだらしい」
警察官から話を聞いたリヒトがタブレット片手に2人に説明する。
「俺はこっちに回るから、お前はこっちから行け。イグナシオ、お前は正面から入れ」
「分かった」
「イグナシオ、正面で大丈夫なの?」
ラファエロがリヒトに尋ねる。
すると、リヒトの代わりにイグナシオが「大丈夫だ。お前に心配される筋合いなんかねぇよ」っと冷たい口調で言った。
――まだ、こいつに言うつもりはないって事か……。
「……大丈夫ならいいんだけど」
「じゃ、行くか」
イグナシオはリヒトに目配せすると、車椅子のまま、進み始めた。
「俺達も行くぞ」
「はーい」
ラファエロは車の中に入っていた、ガンブレードと拳銃を装備し、リヒトに指示された場所へと向かった。
―――――――――――
※Rafaello side
――イグナシオは大丈夫って言ってたけど、どういう意味なんだろう。
持ち場に着いたラファエロは、リヒトからの合図を待ち、物陰に隠れていた。
不良グループが隠れていると言われている建物からは、数人の男の声が聞こえてくる。
『ラファエロ、聞こえるか?』
耳に付けたヘッドセットから、リヒトの声が聞こえてきた。
「聞こえてるよ、リヒト」
ラファエロがそう返した瞬間、建物から突如、無数のナイフがラファエロ目掛け飛んできた。
「うわっ…!」
不意を突かれたラファエロは、声を上げたものの、すぐに立て直し、素早く別の物陰へと移動した。
『大丈夫か?!』
「大丈夫だよ。けど、僕がいるのは気付かれたっぽい。透視能力か感知能力の能力者がいるかも」
『分かった。とりあえず、気をつけて中に入るぞ』
『了解』
「了解」
――神威って思ってたよりもすごいなぁ……。
ラファエロは拳銃に入っている弾数を確認してから、建物に近付いた。
『3、2、1……GO!』
リヒトの声と共にラファエロが建物内に飛び込んだ。
すると、それを待っていたかと言わんばかりに大量のナイフが再び、ラファエロを襲った。
「っと……」
大量に降ってくるナイフを素早くかわし、かわし切れないナイフを腰に下げているガンブレードで弾き返す。
「数あれば勝てると思わないで欲しいね」
「わっ……!」
「あ、見つけた」
ラファエロはガンブレードを握り直すと、不良グループのメンバーであろう女の腹に峰打ちを食らわせた。
「くっ……!」
「こちら、ラファエロ。サイコキネシスと思われる神威感染者を捕捉」
『こちら、リヒト。透視または感知能力と思われる神威感染者を捕捉』
ヘッドセットからは神威感染者の捕捉を伝える報告が次々と流れてくる。
『ラファエロ、お前と俺は先に進むぞ』
「了解」
『待てよ、俺は用なしかよ』
ヘッドセットから不貞腐れたようなイグナシオの声が聞こえてきた。
――イグナシオは車椅子でどうやって、戦ってるんだろ……。
『……分かった。じゃあ、お前も来い』
『まぁ、任せろって』
「じゃあ、イグナシオも行くって事で」
『お前がまとめんな』
――イグナシオ、厳しい……。
そんな会話をしながら、ラファエロは建物の奥へと進んだ。
元工業跡地という事もあり、周りには使われなくなった機材や材料などが積まれている。
「……?」
不意に機械が動くような音がして、ラファエロが足を止める。
「っ!!」
派手な音を立て、積み上げられていた木材や金属板がラファエロの頭上から降り注ぐ。
「わっ……!」
間一髪の所でかわしたものの、降って来た金属板で掌や顔が切れ、血が垂れる。
――エレクトロキネシス……!
血を拭い、ラファエロが前を見ると、そこには無人で動くショベルカーがあった。
ショベルカーは狂った動物のように暴れ回り、辺りにある材料達を薙ぎ払っていく。
「うわっ!!」
ガシャンガシャンっと建物内に衝撃音が響く。
「危ないなぁ……」
降って来る材料達を何とかかわしながら、ラファエロは能力者を捜す。
「こちら、ラファエロ……。エレクトロキネシスと思われる神威感染者と交戦中……うわっ!!」
ズルっと地面に転がっていたパイプを踏みつけ、ラファエロがその場に尻餅をつく。
――足の踏み場もないってこの事だね……。
ショベルカーが薙ぎ払った材料のせいで、前にも後ろにも逃げ場はなくなっていた。
ラファエロはゆっくりと立ち上がると、どうしたものかとショベルカーを見た。
――やっぱり、アドリアーノみたいにはいかないか……。
「ラファエロ!」
声がして、ラファエロが顔を上げるとそこにはガンブレードを構えたリヒトがいた。
「リヒト……」
「悪い。遅れた」
「もう大丈夫だ」っとリヒトがガンブレードを持っていない方の手でラファエロの頭を撫でた。
『リヒト、聞こえるか?エレクトロキネシスと思われる神威感染者は捕捉したぜ』
「あぁ、お疲れさん」
リヒトはイグナシオからの報告を受けると、ラファエロを見た。
ラファエロは申し訳ない気持ちから、顔を上げれずにいた。
「ごめん……。足、引っ張っちゃって」
「いや、初めてでここまで戦えれば上等だ」
「顔とか切れてるな……」っとリヒトがラファエロの顔を覗き込む。
「大した傷じゃないよ」
「そうかもしんねぇが、跡が残ったらマズイだろ」
リヒトはそう言うと、ラファエロの手を引き、車の元へと歩き出した。
――女扱いしないで欲しいんだけど……。
「もっと頑張らないとな……」
「何だ?」
リヒトがこちらに振り返る。
「何でもない」
「イグナシオ、聞こえるか?今から車に戻るから、お前もそっち向かってくれ」
『へーい』
――"期待の大型ルーキー"って言われて、こんな様じゃ……、アドリアーノに笑われる……。
『女のお前に何が守れるんだ』
頭の中で聞き慣れた声が響いた。
食堂での一件から、すっかり仲良くなった2人はラボで現在研究中の実験について、話し込んでいた。
「おかしいよね~……。この数値を変えれば、安定すると思ってたんだけど」
オズワルドは数字の書かれた紙を手に、考えを巡らせている。
「もう1回計算し直そうか」
そう言うとラファエロは1度書いた数式を消し、ホワイトボードに再び数式を書き始めた。
――頭痛ぇ……。
そんな2人のやり取りを近くで眺めていたリヒトは眉間に皺を寄せていた。
「リヒト、大丈夫?」
リヒトの異変に気付いたラファエロがリヒトの顔を覗き込む。
「……お前、頭よかったのな」
「それ、俺に言ってるの?リヒト」
オズワルドが黒い笑みを浮かべ、リヒトを見た。
「リヒト、水飲む?」
ラファエロがラボに設置してある冷蔵庫から、冷えた水の入ったペットボトルを取り出し、リヒトに尋ねた。
「あぁ」
リヒトがラファエロからペットボトルを受け取ろうとした、その時、ラボの天井に付けられたランプが赤く点滅し、スピーカーからは緊急事態を知らせる、サイレンの音が流れてきた。
「ラファエロ、行くぞ」
「了解」
「気をつけてね」
非戦闘員であるオズワルドをラボに残し、リヒトとラファエロは走り出した。
―――――――――――――――
NOAH・地下駐車場。
「初任務って何かワクワクするね」
「遠足じゃないんだぞ」
「分かってる。足は引っ張らないようにするから、任せてよ」
専用車に乗り込みながら、ラファエロは言った。
「遅いぞ」
すると、専用車の運転席には既にスタンバイ済みのイグナシオが座っていた。
「イグナシオも現場に行くんだね」
「お前よりは役に立つからな」
「そっか。じゃあ、期待してるね」
ラファエロはシートベルトをすると、ミラー越しにイグナシオに笑いかけた。
「というか、イグナシオが運転するの?」
「……お前、それは嫌味か?」
イグナシオがギロっとラファエロを睨みつける。
「純粋に気になっただけだろ。んな噛み付くなって」
助手席に座っているリヒトはイグナシオの顔を手で掴むと、無理やり前に向かせた。
「この車は現場まで全自動で動くんだよ」
「へぇ~、そうなんだ」
「NOAHってすごいね」っと子供のように感心するラファエロに対し、イグナシオは「そんな事も知らないのかよ」っと呟いていた。
「ラファエロ、ちゃんとシートベルトしとけよ」
「リヒトってたまにお母さんみたいだよね」
「せめて、父親にしてくれ」っと呟くリヒトを尻目にラファエロはシートベルトを締めた。
それをきちんと確認したイグナシオは、車のエンジンをかけ、車を発進させた。
「今回の任務は、市街地で暴れている不良グループの鎮圧だ」
走る車の中、リヒトはウェアブル端末・タブレット片手に任務内容を読み上げ始めた。
「その不良グループは謎のウイルス・神威に感染しているとの情報があり、見つけ次第捕えろとの事だ」
「また神威絡みかよ……」
神威とは、近年問題視されている、謎のウイルスの事だ。
感染すると、超能力者のような力を得られ、攻撃性が増すという。
感染源は未だ不明で、有効なワクチンもない。
NOAHはそんな神威と対抗する、唯一の組織なのだ。
「神威、か……」
「ラファエロ、無理はするなよ」
「分かってるよ、お父さん」
――……不覚にもちょっとキュンとした。
「着くぞ、準備しとけ」
イグナシオの言葉にリヒトとラファエロはこくんと頷いた。
―――――――――――――
市街地に到着したリヒト、イグナシオ、ラファエロの3人は専用車から降りて、状況を把握するため、近くにいた警察官に声をかけた。
「不良グループはこの場所に逃げ込んだらしい」
警察官から話を聞いたリヒトがタブレット片手に2人に説明する。
「俺はこっちに回るから、お前はこっちから行け。イグナシオ、お前は正面から入れ」
「分かった」
「イグナシオ、正面で大丈夫なの?」
ラファエロがリヒトに尋ねる。
すると、リヒトの代わりにイグナシオが「大丈夫だ。お前に心配される筋合いなんかねぇよ」っと冷たい口調で言った。
――まだ、こいつに言うつもりはないって事か……。
「……大丈夫ならいいんだけど」
「じゃ、行くか」
イグナシオはリヒトに目配せすると、車椅子のまま、進み始めた。
「俺達も行くぞ」
「はーい」
ラファエロは車の中に入っていた、ガンブレードと拳銃を装備し、リヒトに指示された場所へと向かった。
―――――――――――
※Rafaello side
――イグナシオは大丈夫って言ってたけど、どういう意味なんだろう。
持ち場に着いたラファエロは、リヒトからの合図を待ち、物陰に隠れていた。
不良グループが隠れていると言われている建物からは、数人の男の声が聞こえてくる。
『ラファエロ、聞こえるか?』
耳に付けたヘッドセットから、リヒトの声が聞こえてきた。
「聞こえてるよ、リヒト」
ラファエロがそう返した瞬間、建物から突如、無数のナイフがラファエロ目掛け飛んできた。
「うわっ…!」
不意を突かれたラファエロは、声を上げたものの、すぐに立て直し、素早く別の物陰へと移動した。
『大丈夫か?!』
「大丈夫だよ。けど、僕がいるのは気付かれたっぽい。透視能力か感知能力の能力者がいるかも」
『分かった。とりあえず、気をつけて中に入るぞ』
『了解』
「了解」
――神威って思ってたよりもすごいなぁ……。
ラファエロは拳銃に入っている弾数を確認してから、建物に近付いた。
『3、2、1……GO!』
リヒトの声と共にラファエロが建物内に飛び込んだ。
すると、それを待っていたかと言わんばかりに大量のナイフが再び、ラファエロを襲った。
「っと……」
大量に降ってくるナイフを素早くかわし、かわし切れないナイフを腰に下げているガンブレードで弾き返す。
「数あれば勝てると思わないで欲しいね」
「わっ……!」
「あ、見つけた」
ラファエロはガンブレードを握り直すと、不良グループのメンバーであろう女の腹に峰打ちを食らわせた。
「くっ……!」
「こちら、ラファエロ。サイコキネシスと思われる神威感染者を捕捉」
『こちら、リヒト。透視または感知能力と思われる神威感染者を捕捉』
ヘッドセットからは神威感染者の捕捉を伝える報告が次々と流れてくる。
『ラファエロ、お前と俺は先に進むぞ』
「了解」
『待てよ、俺は用なしかよ』
ヘッドセットから不貞腐れたようなイグナシオの声が聞こえてきた。
――イグナシオは車椅子でどうやって、戦ってるんだろ……。
『……分かった。じゃあ、お前も来い』
『まぁ、任せろって』
「じゃあ、イグナシオも行くって事で」
『お前がまとめんな』
――イグナシオ、厳しい……。
そんな会話をしながら、ラファエロは建物の奥へと進んだ。
元工業跡地という事もあり、周りには使われなくなった機材や材料などが積まれている。
「……?」
不意に機械が動くような音がして、ラファエロが足を止める。
「っ!!」
派手な音を立て、積み上げられていた木材や金属板がラファエロの頭上から降り注ぐ。
「わっ……!」
間一髪の所でかわしたものの、降って来た金属板で掌や顔が切れ、血が垂れる。
――エレクトロキネシス……!
血を拭い、ラファエロが前を見ると、そこには無人で動くショベルカーがあった。
ショベルカーは狂った動物のように暴れ回り、辺りにある材料達を薙ぎ払っていく。
「うわっ!!」
ガシャンガシャンっと建物内に衝撃音が響く。
「危ないなぁ……」
降って来る材料達を何とかかわしながら、ラファエロは能力者を捜す。
「こちら、ラファエロ……。エレクトロキネシスと思われる神威感染者と交戦中……うわっ!!」
ズルっと地面に転がっていたパイプを踏みつけ、ラファエロがその場に尻餅をつく。
――足の踏み場もないってこの事だね……。
ショベルカーが薙ぎ払った材料のせいで、前にも後ろにも逃げ場はなくなっていた。
ラファエロはゆっくりと立ち上がると、どうしたものかとショベルカーを見た。
――やっぱり、アドリアーノみたいにはいかないか……。
「ラファエロ!」
声がして、ラファエロが顔を上げるとそこにはガンブレードを構えたリヒトがいた。
「リヒト……」
「悪い。遅れた」
「もう大丈夫だ」っとリヒトがガンブレードを持っていない方の手でラファエロの頭を撫でた。
『リヒト、聞こえるか?エレクトロキネシスと思われる神威感染者は捕捉したぜ』
「あぁ、お疲れさん」
リヒトはイグナシオからの報告を受けると、ラファエロを見た。
ラファエロは申し訳ない気持ちから、顔を上げれずにいた。
「ごめん……。足、引っ張っちゃって」
「いや、初めてでここまで戦えれば上等だ」
「顔とか切れてるな……」っとリヒトがラファエロの顔を覗き込む。
「大した傷じゃないよ」
「そうかもしんねぇが、跡が残ったらマズイだろ」
リヒトはそう言うと、ラファエロの手を引き、車の元へと歩き出した。
――女扱いしないで欲しいんだけど……。
「もっと頑張らないとな……」
「何だ?」
リヒトがこちらに振り返る。
「何でもない」
「イグナシオ、聞こえるか?今から車に戻るから、お前もそっち向かってくれ」
『へーい』
――"期待の大型ルーキー"って言われて、こんな様じゃ……、アドリアーノに笑われる……。
『女のお前に何が守れるんだ』
頭の中で聞き慣れた声が響いた。
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