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第16回『ブロッコリー 純真無垢 ホットコーヒー』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第16回『ブロッコリー 純真無垢 ホットコーヒー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=xlGpq03S-HU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第16回『ブロッコリー 純真無垢 ホットコーヒー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題は太字にしてます。
所要時間は約58分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
新聞を読みながらトーストを食べていると、パジャマを着たまま髪の毛をぼさぼさにした娘がのそのそと2階から降りてきた。
「おはよう。」
娘からは低く小さい声でおはようという声が聞こえた。
いや、そう聞こえたのは私の願望であって本当はうーんという生返事をしただけなのかもしれない。
ここで何かを言うのも娘の機嫌を損ねかねないので、父としての威厳を保つべく娘の存在を気にしてないかのようにすぐに新聞に目を移した。
本当はもっと早く起きるよう注意するべきなのかもしれないが、学校には遅刻していないようなのでいつもその一言を口にすることができないでいた。
だらしないようでは社会に出て苦労するのではないかと私は気が気でなかった。
父と娘の関係は難しいことはわかっていたが、やはり私一人では限界がありこの子にはまだ母親が必要なのではないかという考えが何度も頭の中をよぎった。
娘はカップを取り出すと、ちゃっちゃっとホットコーヒーを作り出した。
インスタントコーヒーをティースプーンで3杯入れ、砂糖ミルクなし。
それが娘の朝のコーヒーだ。
パンをトースターにセットしコーヒーを一口飲むと、娘は冷蔵庫を開けた。
「うげ、ブロッコリーまだ残ってんじゃん。」
ブラックコーヒーを平気で飲む娘が苦そうな顔をして言った。
「父さんは自分の食べたぞ。」
「わかってるって。この間私が残した分でしょ。」
娘は気落ちした様子でブロッコリーの乗ったお皿とマヨネーズを取り出した。
テーブルに座ると娘はブロッコリーに向けて片手でマヨネーズをしぼり始めた。
娘は小さなころからブロッコリーが嫌いだった。
小さく刻んだり、調味料の味でごまかしたりと娘にブロッコリーを食べさせるのはいつも苦労した。
娘が小学校に上がる前なぜブロッコリーが嫌いなのか聞いたことがあったが、そのときはブロッコリーは小さな森でその森には妖精さんが住んでるから妖精さんのおうちを食べちゃだめなのと娘は言った。
ブロッコリーを食べたくない一心でついた嘘であることはわかっていたが、当時娘が夢中になっていたアニメには森の中で妖精に出会うシーンがあったことは知っている。
そんなことを思い出している間も娘はまだマヨネーズをしぼっていて、ブロッコリーはどんどん黄色いマヨネーズにおおわれ、もはや緑色は見えずブロッコリーの原型もとどめていなかった。
「そんなにかけたら妖精さんのおうちが壊れちゃうんじゃないか。」
私は娘のマヨネーズの摂りすぎを心配した。
「はあ? 何言ってんの?」
そのままブロッコリーfeaturingマヨネーズをほおばった娘の一言は、昔のことなので無理もないということはわかっていたが父には結構痛かった。
ブロッコリーを飲み込み、親のかたきのようにもう一つのブロッコリーにフォークを刺した娘は言葉を続けた。
「ブロッコリーのもこもこってしたのを見るのがいやなんだ。子どものころ社会の時間にビデオで見た爆弾でわきあがった雲みたいで。」
娘はむぐむぐと噛みながらカップを口に近づけた。
ブロッコリーを妖精の家と言った純真無垢な娘はもういない。
今私の目の前にいるのはホットコーヒーを飲みながらトーストを取り出す17歳の娘だ。
私と娘の距離はこのままでもいいのかもしれないと思った。
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「おはよう。」
娘からは低く小さい声でおはようという声が聞こえた。
いや、そう聞こえたのは私の願望であって本当はうーんという生返事をしただけなのかもしれない。
ここで何かを言うのも娘の機嫌を損ねかねないので、父としての威厳を保つべく娘の存在を気にしてないかのようにすぐに新聞に目を移した。
本当はもっと早く起きるよう注意するべきなのかもしれないが、学校には遅刻していないようなのでいつもその一言を口にすることができないでいた。
だらしないようでは社会に出て苦労するのではないかと私は気が気でなかった。
父と娘の関係は難しいことはわかっていたが、やはり私一人では限界がありこの子にはまだ母親が必要なのではないかという考えが何度も頭の中をよぎった。
娘はカップを取り出すと、ちゃっちゃっとホットコーヒーを作り出した。
インスタントコーヒーをティースプーンで3杯入れ、砂糖ミルクなし。
それが娘の朝のコーヒーだ。
パンをトースターにセットしコーヒーを一口飲むと、娘は冷蔵庫を開けた。
「うげ、ブロッコリーまだ残ってんじゃん。」
ブラックコーヒーを平気で飲む娘が苦そうな顔をして言った。
「父さんは自分の食べたぞ。」
「わかってるって。この間私が残した分でしょ。」
娘は気落ちした様子でブロッコリーの乗ったお皿とマヨネーズを取り出した。
テーブルに座ると娘はブロッコリーに向けて片手でマヨネーズをしぼり始めた。
娘は小さなころからブロッコリーが嫌いだった。
小さく刻んだり、調味料の味でごまかしたりと娘にブロッコリーを食べさせるのはいつも苦労した。
娘が小学校に上がる前なぜブロッコリーが嫌いなのか聞いたことがあったが、そのときはブロッコリーは小さな森でその森には妖精さんが住んでるから妖精さんのおうちを食べちゃだめなのと娘は言った。
ブロッコリーを食べたくない一心でついた嘘であることはわかっていたが、当時娘が夢中になっていたアニメには森の中で妖精に出会うシーンがあったことは知っている。
そんなことを思い出している間も娘はまだマヨネーズをしぼっていて、ブロッコリーはどんどん黄色いマヨネーズにおおわれ、もはや緑色は見えずブロッコリーの原型もとどめていなかった。
「そんなにかけたら妖精さんのおうちが壊れちゃうんじゃないか。」
私は娘のマヨネーズの摂りすぎを心配した。
「はあ? 何言ってんの?」
そのままブロッコリーfeaturingマヨネーズをほおばった娘の一言は、昔のことなので無理もないということはわかっていたが父には結構痛かった。
ブロッコリーを飲み込み、親のかたきのようにもう一つのブロッコリーにフォークを刺した娘は言葉を続けた。
「ブロッコリーのもこもこってしたのを見るのがいやなんだ。子どものころ社会の時間にビデオで見た爆弾でわきあがった雲みたいで。」
娘はむぐむぐと噛みながらカップを口に近づけた。
ブロッコリーを妖精の家と言った純真無垢な娘はもういない。
今私の目の前にいるのはホットコーヒーを飲みながらトーストを取り出す17歳の娘だ。
私と娘の距離はこのままでもいいのかもしれないと思った。
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