47 / 174
第47回『パンケーキ 宗教戦争 近視』
しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第47回『パンケーキ 宗教戦争 近視』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=de8dcKN34rY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
人には宗派というものがある。
それは幼いころより刻み込まれたものであり、あとから強制的に変えることは容易ではない。
そして困ったことに人は自分が信じる宗派を絶対的に正しいものだという考えに固執し、他者にも勧誘し共感を求めてしまう。
だから異なる宗派と宗派が出会うとき、両者はいがみ合い、争ってしまう。
それが歴史上数多く繰り返されてきた宗教戦争である。
我が家でも宗教戦争はよく起こる。
というよりもパンケーキを前にして私と夫は宗教戦争の真っ最中である。
「練乳をかけて食べたこともないくせにわかった風なこと言わないでよ。」
「別に普通にバターとメイプルシロップでいいだろ。」
私が練乳のボトルを持ってにじり寄るも、夫はバターとメイプルシロップを冷蔵庫にしまう気配がない。
バターは早く冷蔵庫にしまわないと溶けちまうだろ!
ここからも夫はバターとメイプルシロップをやめる気はないということがありありとわかる。
すちゃっ。
私は練乳のボトルを横にして胸の前にかざした。
今にも発射しますよという構えだ。
「とにかく一度だけっ。一度だけでいいから食べてみて!」
「昔ジャムで食べたことあるからいいって。」
「ジャムと練乳は違うやんけ!」
「その一回でパンケーキはメイプルシロップで充分だと思ったの。」
夫は私の相手をするのに面倒そうになってきたのがわかった。
仕方ない。
私だっていい歳をした大人だ。
ここは天岩戸作戦だ。
ぶりゅりゅっ。
私は速攻でパンケーキに練乳をかけた。
そしてすかさずたっぷりと練乳のかかったパンケーキを口に運んだ。
「ん-、おいしー! やっぱパンケーキには練乳だなー!」
どうだ、私の見事な食レポ。
とたんに練乳をかけたて食べたくなっただr夫はバターのフタを開けようとしていた。
「んあー、待ってー、お願いだからこれかけてー!」
私はとっさにボトルを力いっぱい差し出した。
しかしボトルはフタが開いたままだったため、辺り一面に練乳が飛び散ってしまった。
テーブルや床はもちろん、私と夫まで練乳まみれになってしまった。
練乳はメガネにもかかっていた。
メガネをはずして、近視の夫は少しぎこちない足取りで台所にふきんを取りに行った。
二人で練乳を拭きながら私ははしゃぎすぎてしまったことを謝った。
「それだけパンケーキは楽しいメニューってことだな。次は俺も練乳にしてみるよ。」
子どものように食べ物を無駄にしてしまった私を夫は怒りもせずにむしろこちらに歩み寄ってくれた。
私は夫の器の広さに胸がいっぱいになった。
だがそれでも私には後悔の念が消えなかった。
「いいえ、私は本当に取り返しのつかないことをしてしまったわ。」
「練乳はまた買ってくればいいし、部屋はこうして掃除すれば元通りさ。」
「ううん、違うの。私実はメガネフェチなの。なのに私が練乳をかけてしまったばかりにあなたは今メガネをはずしてしまって全然萌えない。」
すると夫は私の手を握ってきた。
「いいや、君は素晴らしいことをしてくれたよ。なんせ今俺は頭から白い練乳をかかぶっている君にむちゃくちゃ萌えてるからね。」
人には宗派というものがある。
概して人の宗派はわかりがたいものだ。
本日私は宗教戦争がなくならない一因を見た気がした。
~・~・~・~・~
~感想~
宗教戦争は陰惨な話にしたくなかったので、パンケーキには何をかけるかという話にしました。
当初はメガネフェチというオチで書いていましたが、途中で夫のフェチも加えました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第47回『パンケーキ 宗教戦争 近視』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=de8dcKN34rY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
人には宗派というものがある。
それは幼いころより刻み込まれたものであり、あとから強制的に変えることは容易ではない。
そして困ったことに人は自分が信じる宗派を絶対的に正しいものだという考えに固執し、他者にも勧誘し共感を求めてしまう。
だから異なる宗派と宗派が出会うとき、両者はいがみ合い、争ってしまう。
それが歴史上数多く繰り返されてきた宗教戦争である。
我が家でも宗教戦争はよく起こる。
というよりもパンケーキを前にして私と夫は宗教戦争の真っ最中である。
「練乳をかけて食べたこともないくせにわかった風なこと言わないでよ。」
「別に普通にバターとメイプルシロップでいいだろ。」
私が練乳のボトルを持ってにじり寄るも、夫はバターとメイプルシロップを冷蔵庫にしまう気配がない。
バターは早く冷蔵庫にしまわないと溶けちまうだろ!
ここからも夫はバターとメイプルシロップをやめる気はないということがありありとわかる。
すちゃっ。
私は練乳のボトルを横にして胸の前にかざした。
今にも発射しますよという構えだ。
「とにかく一度だけっ。一度だけでいいから食べてみて!」
「昔ジャムで食べたことあるからいいって。」
「ジャムと練乳は違うやんけ!」
「その一回でパンケーキはメイプルシロップで充分だと思ったの。」
夫は私の相手をするのに面倒そうになってきたのがわかった。
仕方ない。
私だっていい歳をした大人だ。
ここは天岩戸作戦だ。
ぶりゅりゅっ。
私は速攻でパンケーキに練乳をかけた。
そしてすかさずたっぷりと練乳のかかったパンケーキを口に運んだ。
「ん-、おいしー! やっぱパンケーキには練乳だなー!」
どうだ、私の見事な食レポ。
とたんに練乳をかけたて食べたくなっただr夫はバターのフタを開けようとしていた。
「んあー、待ってー、お願いだからこれかけてー!」
私はとっさにボトルを力いっぱい差し出した。
しかしボトルはフタが開いたままだったため、辺り一面に練乳が飛び散ってしまった。
テーブルや床はもちろん、私と夫まで練乳まみれになってしまった。
練乳はメガネにもかかっていた。
メガネをはずして、近視の夫は少しぎこちない足取りで台所にふきんを取りに行った。
二人で練乳を拭きながら私ははしゃぎすぎてしまったことを謝った。
「それだけパンケーキは楽しいメニューってことだな。次は俺も練乳にしてみるよ。」
子どものように食べ物を無駄にしてしまった私を夫は怒りもせずにむしろこちらに歩み寄ってくれた。
私は夫の器の広さに胸がいっぱいになった。
だがそれでも私には後悔の念が消えなかった。
「いいえ、私は本当に取り返しのつかないことをしてしまったわ。」
「練乳はまた買ってくればいいし、部屋はこうして掃除すれば元通りさ。」
「ううん、違うの。私実はメガネフェチなの。なのに私が練乳をかけてしまったばかりにあなたは今メガネをはずしてしまって全然萌えない。」
すると夫は私の手を握ってきた。
「いいや、君は素晴らしいことをしてくれたよ。なんせ今俺は頭から白い練乳をかかぶっている君にむちゃくちゃ萌えてるからね。」
人には宗派というものがある。
概して人の宗派はわかりがたいものだ。
本日私は宗教戦争がなくならない一因を見た気がした。
~・~・~・~・~
~感想~
宗教戦争は陰惨な話にしたくなかったので、パンケーキには何をかけるかという話にしました。
当初はメガネフェチというオチで書いていましたが、途中で夫のフェチも加えました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
24hポイントが0だった作品を削除し再投稿したらHOTランキング3位以内に入った話
アミ100
エッセイ・ノンフィクション
私の作品「乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる」がHOTランキング入り(最高で2位)しました、ありがとうございますm(_ _)m
この作品は2年ほど前に投稿したものを1度削除し、色々投稿の仕方を見直して再投稿したものです。
そこで、前回と投稿の仕方をどう変えたらどの程度変わったのかを記録しておこうと思います。
「投稿時、作品内容以外でどこに気を配るべきなのか」の参考になればと思いますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる