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第48回『ビッグバンド 村八分 お祭り騒ぎ』

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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第48回『ビッグバンド 村八分 お祭り騒ぎ』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約36分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=TtHbDvpPns0

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

を組むぞ!」
過疎化に悩む村の集会でのQの発言にみんなが驚いた。
「小さな村で生まれたはきっと日本中で話題になるぞ! そうすりゃ全国から人が集まってくる! この村も人が増えて安泰だ!」
「でも楽器できる奴なんているのかよ。」
「ああ。鍬を持ったことはあってもトランペットを持ったことがある奴なんてこの村には一人もいないだろうよ。」
村人たちは顔を見合わせた。
「練習すればいい!」
Qの発言は力押しとしか思えなかった。
考えるよりもやってみるが信条のQは決断力と行動力だけはあり、村で新しい作物を栽培するのはいつも彼が最初だった。
ところがQが始めた作物で村に根付いたものはほとんどなかったので、今回のQの発言にもみんな乗り気ではなかった。
だが、一人の男がぼそりと言った。
「いやあ、いいかもしんねえぞ。幸い村は畑や田んぼばかりだから練習場所はいくらでもある。練習時間なら毎週開かれるこの時間を使えばいい。どうせいつも何も決まらねえんだから、だったら楽器を練習したほうがいい。」
みんなが静まった。
自分が言ったときはみんなが懐疑的だったことにQは少し不満を感じつつも、この機を逃すつもりはなかった。
「よし! やろうぜ、!」
Qの掛け声にみんながいっせいに拍手をした。
ところがその中で拍手をしていないグループがあった。
「俺は反対だね、なんか。」
腕組みをして壁にもたれかかっている男だった。
Qはかっとなった。
「なんだと! 俺たちは村のためを思ってやってるんだぞ! てめえなんかだ!」
すると男はゆらりと立ち、3人の男と目を合わせた。
? 上等だよ。そんなだせえもんに付き合ってられるかよ。俺たちはこの村の合唱部を作るぜ!」
合唱部!
村人の、特に女性陣の目が色めき立った。
「はいはーい、私合唱部に入りまーす。」
「私も、私もー!」
合唱部に次々と手が挙がり、Qの顔が引きつっていった。
「ふっ、このままじゃされるのはそっちの方なんじゃないか?」
すると集会の間ずっとおとなしかった男がおずおずと手を挙げた。
「あの~、俺は雑技団を作ったら面白いと思う。」
その言葉に集会はいっせいに沸いた。
中にはすでに技を競おうと頭にコップを乗せたり、ペットボトルでジャグリングのまねごとをする者まで現れた。
やんややんやと集会は盛り上がり、狂騒は静まる気配もなかった。
部屋の隅に座っていた村長は目を細めて独り言をつぶやいた。
「やれやれ、結局集会は今日もか。ふふ。いつまでもこんな村であってほしいものだ。」


~・~・~・~・~

~感想~
とりあえずビッグバンドに参加しないために村八分されるという設定から考えていきました。
そこからビッグバンドを作るのは話題作りのため、また、村八分された人たちはどうするか、別のバンドを作るだろう、そしてそれこそが話題作りなんていらないくらいのお祭り騒ぎだろうという連想で作りました。

私事ですがこの直前に話を1本作っていたのですが、録画に失敗していました。
連続でもう1本作るのは疲れるため、短くてもいいやという思いで書きました。
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