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第50回『阿吽の呼吸 濃霧 選挙権』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第50回『阿吽の呼吸 濃霧 選挙権』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約44分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=aztCU-q3mjY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「僕らはいつも一緒だよ。」
「当たり前さ。生まれてから死ぬまで僕らはずっと一緒さ。」
「僕らならきっと乗り越えられる。」
「もちろんだとも。僕たち二人が力を合わせてできなかったことなんて今まであるかい?」
ミストンはそっと左手を差し出した。
フォグンは右手を差し出し、二人は手をつないだ。
二人の周りは濃霧が包んでいた。
二人だけではない。
町中が記録的な霧に覆われていた。
辺り一面真っ白で視界は1メートル先もおぼつかなく、まるで雲の中にいるような気分になった。
「絶対に手を離しちゃだめだよ。」
「大丈夫。僕は絶対に離さないよ。」
二人は手を固く握りながら白い闇の中へと脚を踏み出した。
霧で視界が奪われているせいか、ブーツを通して足底に伝わる地面の感覚がとても鋭かった。
二人は残った手で前を探りながら、慎重に歩を進めていかねばならなかった。
時々ちらつく見覚えのある建物と記憶だけが頼りだ。
溝に足を踏み入れてしまったらどうしよう。
できれば花は踏みたくないな。
もしもどちらか一人が転んでしまい手を離したら、もう二度と会えなくなる気がした。
「もうどれくらい歩いたかな?」
「100メートルくらい?」
「じゃあそろそろ。」
「うん、右に曲がろう。せーの。」
二人はつないだ手を中心にしてゆっくりと右へと体の向きを変えた。
少し右に曲がりすぎた気がしたので、左に戻した。
方向が決まると、二人は再び阿吽の呼吸で歩きだした。
「いい感じだ。まるで僕らは一人の人間のようだ。」
「うん。二人だって心は一つさ。」
顔はよく見えなかったが、二人はお互い笑顔になっていることを確信していた。
二人にはすでに無事にたどり着くことができるという希望が見えていた。
このまま息を合わせて前進するのみだ。
なにものだろうと僕ら二人の仲を引き離すことはできない。
手をつないで歩いていることが楽しい。
気が付けば二人の歩みは普段と変わらないほどの速さになっていた。
「ほら、目的の建物が見えてきたよ。」
「うん、あとはあの中で用事を済ませるだけだ。」
5分もしないうちに二人が建物から出てくると、さっきまでの霧が嘘のようになくなっていた。
二人はぽかんとしたあと、顔を見合わせて笑った。
確かに濃霧は大変だったが、それすら二人のきずなの強さを証明するものに過ぎなかったからだ。
二人は濃霧に勝ったという気持ちでいっぱいだった。
その日の夜、テレビで開票結果を見て二人は大ゲンカをした。
どうやら二人の選挙権は別の方向を向いていたようである。
~・~・~・~・~
~感想~
お題に対して素直に濃霧の中阿吽の呼吸で歩いて選挙権を行使しに行くという話にしました。
オチはすぱっと短くしましたが、これでよかったのかまったくわかりません。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第50回『阿吽の呼吸 濃霧 選挙権』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約44分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=aztCU-q3mjY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
「僕らはいつも一緒だよ。」
「当たり前さ。生まれてから死ぬまで僕らはずっと一緒さ。」
「僕らならきっと乗り越えられる。」
「もちろんだとも。僕たち二人が力を合わせてできなかったことなんて今まであるかい?」
ミストンはそっと左手を差し出した。
フォグンは右手を差し出し、二人は手をつないだ。
二人の周りは濃霧が包んでいた。
二人だけではない。
町中が記録的な霧に覆われていた。
辺り一面真っ白で視界は1メートル先もおぼつかなく、まるで雲の中にいるような気分になった。
「絶対に手を離しちゃだめだよ。」
「大丈夫。僕は絶対に離さないよ。」
二人は手を固く握りながら白い闇の中へと脚を踏み出した。
霧で視界が奪われているせいか、ブーツを通して足底に伝わる地面の感覚がとても鋭かった。
二人は残った手で前を探りながら、慎重に歩を進めていかねばならなかった。
時々ちらつく見覚えのある建物と記憶だけが頼りだ。
溝に足を踏み入れてしまったらどうしよう。
できれば花は踏みたくないな。
もしもどちらか一人が転んでしまい手を離したら、もう二度と会えなくなる気がした。
「もうどれくらい歩いたかな?」
「100メートルくらい?」
「じゃあそろそろ。」
「うん、右に曲がろう。せーの。」
二人はつないだ手を中心にしてゆっくりと右へと体の向きを変えた。
少し右に曲がりすぎた気がしたので、左に戻した。
方向が決まると、二人は再び阿吽の呼吸で歩きだした。
「いい感じだ。まるで僕らは一人の人間のようだ。」
「うん。二人だって心は一つさ。」
顔はよく見えなかったが、二人はお互い笑顔になっていることを確信していた。
二人にはすでに無事にたどり着くことができるという希望が見えていた。
このまま息を合わせて前進するのみだ。
なにものだろうと僕ら二人の仲を引き離すことはできない。
手をつないで歩いていることが楽しい。
気が付けば二人の歩みは普段と変わらないほどの速さになっていた。
「ほら、目的の建物が見えてきたよ。」
「うん、あとはあの中で用事を済ませるだけだ。」
5分もしないうちに二人が建物から出てくると、さっきまでの霧が嘘のようになくなっていた。
二人はぽかんとしたあと、顔を見合わせて笑った。
確かに濃霧は大変だったが、それすら二人のきずなの強さを証明するものに過ぎなかったからだ。
二人は濃霧に勝ったという気持ちでいっぱいだった。
その日の夜、テレビで開票結果を見て二人は大ゲンカをした。
どうやら二人の選挙権は別の方向を向いていたようである。
~・~・~・~・~
~感想~
お題に対して素直に濃霧の中阿吽の呼吸で歩いて選挙権を行使しに行くという話にしました。
オチはすぱっと短くしましたが、これでよかったのかまったくわかりません。
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