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第156回『数え歌 トレジャーハンター アラサー』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第156回『数え歌 トレジャーハンター アラサー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=tkeiy799apk
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
俺の名はジョー。
もちろんトレジャーハンターだ。
今日も今日とてお宝を探して世界中を大冒険だ。
本日の舞台はここだ。
アマゾンの奥地にある洞窟だ。
ここの最深部は古代の部族の王の宝物庫だったという情報を得たからだ。
道なき森をかきわけ、毒蛇やヒルに悩ませながら俺たちはやっと洞窟の入り口にたどり着いた。
「なるほど。確かに他の洞窟とは違う、いかにもお宝の匂いのする洞窟ね。」
彼女の名はマリー。
俺の頼れる相棒だ。
彼女とは今まで数多くの冒険を共にし、死の危険を乗り越えて、誰も見たことのないようなお宝を見つけてきた。
俺たちは洞窟の中を進んだ。
アマゾンの中にいることを忘れるくらい、ひんやりとしていた。
歩むスピードの遅さを見れば、君は俺たちのことを臆病者と笑うかもしれない。
しかし仕方ないのだ。
不用意に地面を踏んだり、壁を触るわけにはいかないのだ。
なぜなら古代の部族の仕掛けた罠が作動してしまうかもしれないからだ。
お宝のあるところには罠もある。
トレジャーハンターの常識だ。
今まで何度もこの類の罠に邪魔されてきたし、時には命を落としそうになったこともある。
実際に亡くなった同業者もいる。
だから一歩進むのにも細心の注意を怠るわけにはいかないのだ。
そう、俺たちが今まで数多くの財宝を手にしてきた理由はここにあるのかもしれない。
俺たちは冒険をする前には必ず入念な下調べを重ねてきた。
今回だってこの洞窟を攻略するにあたり、山と積んだ本を調べ、地元の住民にも詳細な聞き込みを行った。
その成果が収められた一冊のメモ帳はどんな装備よりも心強く、今日一日で何回もそのページを開いてきた。
その甲斐あってか、ついに俺たちは最深部に到達した。
しかしそこは行き止まりだった。
「どういうことだ?」
俺は目の前に立ちはだかる壁にライトを照らした。
「ジョー、よく見て!」
壁にはいくつもの穴がくりぬかれてあった。
そしてそれぞれの穴の上には記号のようなものが刻まれていた。
同じ記号は一つとしてない。
そしてそれは6×6で合計36マスの正方形になっていた。
ふとライトを足元に照らしてみると、いくつもの石が大量に転がっていた。
「これは彫像か?」
拾い上げてみた石は自然のものではなく、明らかに人の手により加工された跡があった。
それはなんだかカエルのように見えた。
もう一つ拾い上げてみると、そっちはバナナのようだった。
そのとき俺ははっとした。
「そうか、数え歌だ。」
冒険に出る前に地元の村で聞き込み調査をしていたとき、古老から古くから伝わる数え歌を教えてもらった。
「そう言われてみれば、ここの穴の上にある記号はどれも古代に使われていた数字だわ。これは、1,これは……2,ほら、まちがいないわ。」
数え歌の中にはカエルはバナナもあったはずだ。
きっと数え歌に歌われているどおりに、数字の場所に彫刻を置いていけば宝物庫への扉は開かれるのだ。
そして間違った物を一つでも置けば罠が作動するのだろう。
俺は確信した。
「マリー、数え歌の歌詞は君が記録していたよな。読み上げてくれ。俺が彫刻を置くから。」
マリーは興奮気味にメモ帳を取り出して、読み上げた。
「1は手。2は蛇。」
やはりだ。
よく探すと手や蛇をかたどった彫刻が落ちていた。
俺はマリーが読み上げるとおりに、次々と彫刻を探し穴に置いていった。
「9はバナナ。」
「19はカエル。」
「23は剣。」
もう半分以上過ぎた。
順調だ。
もうお宝を見つけたも同然だ。
俺は彫刻を探し穴に置くのが楽しくなってきていた。
メロディーさえわかれば古代の部族の数え歌を一緒に歌いたい気分だ。
しかしメモ帳を読み上げるマリーの声はだんだん小さくなってきた。
そしてマリーはぱったりと読み上げるのをやめてしまった。
「どうしたんだ、マリー。まだ途中だぞ。」
「ごめんなさい、ジョー。私、32から記録するのをやめてしまったの……。」
記録してないだって?
俺は驚いた。
残り6つだというのに、歌詞が分からなければ彫刻を正確に置くことなんてできやしない。
つまり宝物庫への扉は開かれないということだ。
俺はマリーを責めた。
「マリー、なんで32から先を記録しなかったんだ!」
「32から先はもう数えたくなかったの!」
マリーは泣き崩れた。
あー。
古代の部族のトラップを踏まないように努力してきたが、いつの間にかアラサーの地雷は踏んでしまっていたようだ。
~・~・~・~・~
~感想~
数え歌とアラサーに数字という共通項があったのでそこから考えていきました。
またミステリーの謎解きとかでわらべ歌を使われたりしているので、それをトレジャーハンターに置き換えてやってみました。
冒険部分に体力が落ちている描写を入れて、年齢への伏線を入れておいてもよかったかなと思ってます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第156回『数え歌 トレジャーハンター アラサー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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~・~・~・~・~
俺の名はジョー。
もちろんトレジャーハンターだ。
今日も今日とてお宝を探して世界中を大冒険だ。
本日の舞台はここだ。
アマゾンの奥地にある洞窟だ。
ここの最深部は古代の部族の王の宝物庫だったという情報を得たからだ。
道なき森をかきわけ、毒蛇やヒルに悩ませながら俺たちはやっと洞窟の入り口にたどり着いた。
「なるほど。確かに他の洞窟とは違う、いかにもお宝の匂いのする洞窟ね。」
彼女の名はマリー。
俺の頼れる相棒だ。
彼女とは今まで数多くの冒険を共にし、死の危険を乗り越えて、誰も見たことのないようなお宝を見つけてきた。
俺たちは洞窟の中を進んだ。
アマゾンの中にいることを忘れるくらい、ひんやりとしていた。
歩むスピードの遅さを見れば、君は俺たちのことを臆病者と笑うかもしれない。
しかし仕方ないのだ。
不用意に地面を踏んだり、壁を触るわけにはいかないのだ。
なぜなら古代の部族の仕掛けた罠が作動してしまうかもしれないからだ。
お宝のあるところには罠もある。
トレジャーハンターの常識だ。
今まで何度もこの類の罠に邪魔されてきたし、時には命を落としそうになったこともある。
実際に亡くなった同業者もいる。
だから一歩進むのにも細心の注意を怠るわけにはいかないのだ。
そう、俺たちが今まで数多くの財宝を手にしてきた理由はここにあるのかもしれない。
俺たちは冒険をする前には必ず入念な下調べを重ねてきた。
今回だってこの洞窟を攻略するにあたり、山と積んだ本を調べ、地元の住民にも詳細な聞き込みを行った。
その成果が収められた一冊のメモ帳はどんな装備よりも心強く、今日一日で何回もそのページを開いてきた。
その甲斐あってか、ついに俺たちは最深部に到達した。
しかしそこは行き止まりだった。
「どういうことだ?」
俺は目の前に立ちはだかる壁にライトを照らした。
「ジョー、よく見て!」
壁にはいくつもの穴がくりぬかれてあった。
そしてそれぞれの穴の上には記号のようなものが刻まれていた。
同じ記号は一つとしてない。
そしてそれは6×6で合計36マスの正方形になっていた。
ふとライトを足元に照らしてみると、いくつもの石が大量に転がっていた。
「これは彫像か?」
拾い上げてみた石は自然のものではなく、明らかに人の手により加工された跡があった。
それはなんだかカエルのように見えた。
もう一つ拾い上げてみると、そっちはバナナのようだった。
そのとき俺ははっとした。
「そうか、数え歌だ。」
冒険に出る前に地元の村で聞き込み調査をしていたとき、古老から古くから伝わる数え歌を教えてもらった。
「そう言われてみれば、ここの穴の上にある記号はどれも古代に使われていた数字だわ。これは、1,これは……2,ほら、まちがいないわ。」
数え歌の中にはカエルはバナナもあったはずだ。
きっと数え歌に歌われているどおりに、数字の場所に彫刻を置いていけば宝物庫への扉は開かれるのだ。
そして間違った物を一つでも置けば罠が作動するのだろう。
俺は確信した。
「マリー、数え歌の歌詞は君が記録していたよな。読み上げてくれ。俺が彫刻を置くから。」
マリーは興奮気味にメモ帳を取り出して、読み上げた。
「1は手。2は蛇。」
やはりだ。
よく探すと手や蛇をかたどった彫刻が落ちていた。
俺はマリーが読み上げるとおりに、次々と彫刻を探し穴に置いていった。
「9はバナナ。」
「19はカエル。」
「23は剣。」
もう半分以上過ぎた。
順調だ。
もうお宝を見つけたも同然だ。
俺は彫刻を探し穴に置くのが楽しくなってきていた。
メロディーさえわかれば古代の部族の数え歌を一緒に歌いたい気分だ。
しかしメモ帳を読み上げるマリーの声はだんだん小さくなってきた。
そしてマリーはぱったりと読み上げるのをやめてしまった。
「どうしたんだ、マリー。まだ途中だぞ。」
「ごめんなさい、ジョー。私、32から記録するのをやめてしまったの……。」
記録してないだって?
俺は驚いた。
残り6つだというのに、歌詞が分からなければ彫刻を正確に置くことなんてできやしない。
つまり宝物庫への扉は開かれないということだ。
俺はマリーを責めた。
「マリー、なんで32から先を記録しなかったんだ!」
「32から先はもう数えたくなかったの!」
マリーは泣き崩れた。
あー。
古代の部族のトラップを踏まないように努力してきたが、いつの間にかアラサーの地雷は踏んでしまっていたようだ。
~・~・~・~・~
~感想~
数え歌とアラサーに数字という共通項があったのでそこから考えていきました。
またミステリーの謎解きとかでわらべ歌を使われたりしているので、それをトレジャーハンターに置き換えてやってみました。
冒険部分に体力が落ちている描写を入れて、年齢への伏線を入れておいてもよかったかなと思ってます。
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