十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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研修4

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「んっ・・・、ふじさき・さん」

藤崎は美咲との口づけを辞めようとしない。
更に深い口づけをすると身体のラインをを撫でられる。

「ふっ・・・だめっ!」

「駄目じゃないでしょ?如月さんの身体こんなに熱を持って喜んでるよ?」

耳元で甘く囁かれると、身体がビクリと反応する。

美咲の耳朶を軽く噛み、舌で毒のような甘い言葉を囁く。

「やっ、、藤崎・・さん。」

「如月さん、本当に可愛い。俺に身体を預けて?」

もう一度、キスをしようとすると美咲の携帯が鳴った。藤崎は動きを止めた。

「如月さん?電話だよ?」

涙が薄っすら溜まった美咲の顔を覗き込む。

「はっ・・・・。」

美咲は息も絶え絶えで携帯を取り出すと、久堂からの電話だった。

『もしもし?久堂だけど今大丈夫?』

「・・っつ、はい。お疲れ様です。」

『もう寝てるかと思ったよ。』

「久堂さんは今終わりですか?」

藤崎は、久堂という名前を聞いてピクリと反応して美咲の首筋に顔を埋めた。

「あっ・・・。」

『どうかした?』

慌てて平静を装う。

「いえっ!なんでも無いです!」

『誰かと一緒に居るの?』

「・・・一人ですよ?」

『そう?』

「はい。」

咄嗟に藤崎の顔を見ると、悪戯っぽい笑顔を向けられた。
藤崎の手が美咲の頬に伸びて優しく目元を撫でた。

『明日から研修頑張ってね?』

「は・・い。頑張りますっ。」

『・・うん。じゃ、明日も早いからユックリと寝て?おやすみ。』

「はい・・・、おやすみ・なさい。」

電話を切ると藤崎の顔を見上げた。

「ごめん。何か悔しくてさ・・。久堂さんに如月さんを取られるんじゃないかって思ったけど・・、結婚してるしそれはないか?」

藤崎の言葉に胸がズキンと痛んだ。

「俺の気持は本気だよ?如月さんの事が好きだ。返事はすぐじゃなくて良い。少し考えてもらえたら嬉しい。」

「私はっ!・・・・。」

その後何て言ったら良いか、次の言葉が出なかった。

「・・・少し、時間を下さい。」

「もちろん。良い返事を期待してる。」

藤崎は、美咲に触れるだけのキスをした。

「・・・、明日も早いので自分の部屋に帰りますね?」

「うん。お疲れ様。」

「お疲れ様です。」

そそくさと藤崎の部屋を出て自分の客室に戻った。
自分の部屋について安堵のため息をついた。
ベッドに横になると先程の事を思い返す。

「・・・・・。」






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