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とまり木
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泣き疲れたひなこは葵の腕の中で眠ってしまった。
葵の服をしっかり握ったまま。
優しく抱き上げると子供達が近付いてきた。
「ひなこ大丈夫?」
控え目に聞いてきた。
「大丈夫。疲れて眠っちゃっただけだから。皆は司とエリックと遊んでて?」
頭を優しく撫でながら笑った。
「うん。」
司とエリックの元に駆けていく。
「葵ちゃん。中で休んで?」
「はい。ありがとう、園長先生。」
園長室のソファーに座るとお茶を出してくれた。
「ひなこちゃん、泣けて良かったわ。ここに来てから一度も泣いた事が無いから心配してたのよ。」
「そうなんですか・・。」
「ひなこちゃんは父親に育児放棄と暴力を受けてたの。もともと、家庭内暴力が酷くてね母親が家を出てしまってからは食事も満足に与えられてなかったの。おまけに、酒に酔ってはひなこちゃんに暴力を・・。」
「・・・。」
「保護された時は酷い状態でね。暫く入院してたのよ。」
「そうだったんですね・・。」
葵は腕の中でスヤスヤと眠るひなこを見つめた。
こんなに小さな身体で残酷すぎる日常を過ごしたのかと思うととてつもない怒りが込み上げた。
子供は親を選べない。
親に成りきれない大人が、子供に暴力を振るう。
ストレスの捌け口に、自分より弱い者を虐げる。
そんな、世の中の不条理は嫌という程見てきた。
ひなこを抱く腕に力が入った。
「ここに居る子供達は大人に酷い扱いを受けてきた。最初は大人を怖がる子供達が多いわ。それでも強く生きていくあの子達の『とまり木』の様な場所になれたら良いと思ってこの園を始めたの。」
窓の外では、子供達が元気よく遊んでいる。
この子たちの人生が少しでも幸せに満ちたものになることを願わずには居られなかった。
園長室の前で『コトン』と物音がした。
エリックが入ってくる。
「あの、絆創膏と消毒液ありますか?転んで膝を擦りむいた子がいて・・。」
「まぁ、そうなの?ちょっと待っててね。」
園長先生は隣の部屋に救急箱を取りに行った。
葵の腕の中で眠るひなこをチラリと見た。
「この子の事気になる?」
「・・・。」
「きっと、大丈夫よ。この子は強い子だわ。」
ひなこの頬を優しく撫でながら呟いた。
「どうしてそう言える?」
「勘・・かな?」
「・・・。アオイは本当に変わったな?」
「そう?」
エリックを見上げると、ジッと見つめた。
「人は周りに居る人間で変わるものよ?エリックだってそうじゃないの?」
「俺は・・。」
その時、園長先生が救急箱を手に入ってきた。
「これで大丈夫かしら?」
「はい。ありがとうございます。」
救急箱を受け取ると園長室を後にした。
エリックの背中を見送ると
「あの人・・。」
何かを言いかけたが、
「いえ。何でもないわ・・。」
ソファーに座り直した。
「・・・。」
葵の腕の中のひなこが目を開けた。
「おはよう、ひなこちゃん。」
とびっきり優しい笑顔をひなこに向けた。
「おねーちゃん?」
「うん?どうした?」
ひなこを抱っこすると目線を合わせた。
「おねーちゃん、ママみたい。ママみたいに温かい。」
葵の服を握りしめて抱きついてきた。
「ふふっ、ママみたいか・・。ありがとう、ひなこちゃん。」
優しく抱きしめた。
葵の服をしっかり握ったまま。
優しく抱き上げると子供達が近付いてきた。
「ひなこ大丈夫?」
控え目に聞いてきた。
「大丈夫。疲れて眠っちゃっただけだから。皆は司とエリックと遊んでて?」
頭を優しく撫でながら笑った。
「うん。」
司とエリックの元に駆けていく。
「葵ちゃん。中で休んで?」
「はい。ありがとう、園長先生。」
園長室のソファーに座るとお茶を出してくれた。
「ひなこちゃん、泣けて良かったわ。ここに来てから一度も泣いた事が無いから心配してたのよ。」
「そうなんですか・・。」
「ひなこちゃんは父親に育児放棄と暴力を受けてたの。もともと、家庭内暴力が酷くてね母親が家を出てしまってからは食事も満足に与えられてなかったの。おまけに、酒に酔ってはひなこちゃんに暴力を・・。」
「・・・。」
「保護された時は酷い状態でね。暫く入院してたのよ。」
「そうだったんですね・・。」
葵は腕の中でスヤスヤと眠るひなこを見つめた。
こんなに小さな身体で残酷すぎる日常を過ごしたのかと思うととてつもない怒りが込み上げた。
子供は親を選べない。
親に成りきれない大人が、子供に暴力を振るう。
ストレスの捌け口に、自分より弱い者を虐げる。
そんな、世の中の不条理は嫌という程見てきた。
ひなこを抱く腕に力が入った。
「ここに居る子供達は大人に酷い扱いを受けてきた。最初は大人を怖がる子供達が多いわ。それでも強く生きていくあの子達の『とまり木』の様な場所になれたら良いと思ってこの園を始めたの。」
窓の外では、子供達が元気よく遊んでいる。
この子たちの人生が少しでも幸せに満ちたものになることを願わずには居られなかった。
園長室の前で『コトン』と物音がした。
エリックが入ってくる。
「あの、絆創膏と消毒液ありますか?転んで膝を擦りむいた子がいて・・。」
「まぁ、そうなの?ちょっと待っててね。」
園長先生は隣の部屋に救急箱を取りに行った。
葵の腕の中で眠るひなこをチラリと見た。
「この子の事気になる?」
「・・・。」
「きっと、大丈夫よ。この子は強い子だわ。」
ひなこの頬を優しく撫でながら呟いた。
「どうしてそう言える?」
「勘・・かな?」
「・・・。アオイは本当に変わったな?」
「そう?」
エリックを見上げると、ジッと見つめた。
「人は周りに居る人間で変わるものよ?エリックだってそうじゃないの?」
「俺は・・。」
その時、園長先生が救急箱を手に入ってきた。
「これで大丈夫かしら?」
「はい。ありがとうございます。」
救急箱を受け取ると園長室を後にした。
エリックの背中を見送ると
「あの人・・。」
何かを言いかけたが、
「いえ。何でもないわ・・。」
ソファーに座り直した。
「・・・。」
葵の腕の中のひなこが目を開けた。
「おはよう、ひなこちゃん。」
とびっきり優しい笑顔をひなこに向けた。
「おねーちゃん?」
「うん?どうした?」
ひなこを抱っこすると目線を合わせた。
「おねーちゃん、ママみたい。ママみたいに温かい。」
葵の服を握りしめて抱きついてきた。
「ふふっ、ママみたいか・・。ありがとう、ひなこちゃん。」
優しく抱きしめた。
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