【完結】はじまりの奇蹟 ~君に出会った瞬間に恋をした~ 【恋と瑠璃色の弾丸】

朔良

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すれ違い

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「流石は王子サマだな。プライベートジェットとはな。」

羽田に着いた樹が言った。

「ああ、そうだな・・・。」

「到着まで後30分位か。」

「ああ。」

「・・・・。司、お前昨日の夜から何か変だぞ?」

顔を覗き込みニヤリと笑う。

「もしかして・・・恋でもしたか?」

「っつ、何言ってるんだ?お前じゃないんだからそんな事・・・」

慌てた様子で取り繕う司を真剣な顔で見つめる。

「お前も人間だって事だよ。恋はいいぞ~!生活にハリが出る。」

「だから、違うって言ってるだろ!それよりもうすぐ到着だろっ!行くぞ!」

はいはいと言いながら後を付いてくる樹を見ながら考え込む。

(俺が恋愛なんてガラじゃない。一体どうしたらそういう発想になるんだよっ!)

滑走路を見ると一機の飛行機が着陸したところだった。

「来たか。」

気持ちを改めて入れ直した司が呟いた。



特別通路から来日したレオン・ハークライド王子と3人の従者が出てきた。
司が前に進み出ると、従者が王子を護る様に立ち塞がった。

『アルミナ国のレオン・ハークライド王子ですね?我々は警察庁の桜葉司と橘樹と申します。王子の警備をさせて頂きますので宜しくお願い致します。』

二人は警察手帳を提示した。
従者達が二人の警察手帳を確認する。

『今回の来日はあくまでプライベートなものです。ですので警備の必要はありませんよ。』

『ですが、来日中に何かあってもいけませんのでご了承願えませんか?』

司は一切引かない様子で食い下がる。

『ここでお話する事でもありませんね。私達は、帝都ホテルに滞在する予定ですので続きはそちらでお願い出来ますか?』

そう言うと、王子達は待っていたハイヤーに乗り込み空港を後にした。

「帝都ホテルねぇ~。泊まるところも一流だねぇ。」

樹が歩き出しながら言った。

「王子は何で警備を嫌がるんだろうな?」

「さぁな、自由に観光したいんじゃねぇーの?」

「とりあえず、俺達も帝都ホテルに向かおう。」




********




帝都ホテル、VIPルーム。

『早速ですが、警備について了承はしていただけませんか?』

樹が説得を試みていた。

『・・・滞在中はこちらで手配したボディーガードがおりますので、わざわざ貴方方の手を煩わせる事ありませんよ。』

『民間のですか・・?大丈夫ですかね本当に。』

『ええ。とても信頼の出来る人ですし、ボディーガードとしても優秀な人物ですよ。』

『しかしっ!』

「申し訳ありませんが、来客がありますのでそろそろお引き取りを。」

王子はにっこり微笑むけれど有無を言わせない雰囲気だ。

「・・・仕方ない、今日は失礼しよう。」

納得のいかない樹に司が言った。

「だけどっ・・・。っつ、今日は失礼します。」

二人揃って客室を後にした。


「あの王子サマ、食えねぇな!」

樹が憤りながら言い放つ。

「民間のボディーガードまで手配してたとはな・・。でも何故そこまでして我々の介入を拒むんだろうな?」

「知らねぇよ!もう良いんじゃねぇの?あそこまで拒否されたらこっちだってやりずらいしな!」

「そういう訳にはいかないだろ!また明日だ。」

ちょうど、エレベーターの扉が開いた。二人でエレベーターに乗り込むと1階を押した。その時もう1基のエレベーターが到着し扉が開いた。
中からは一人の女性が降りてきたが、司達は気付くことはなかった。


レオン・ハークライドの客室のベルが鳴る。

『レオン王子、お客様がおみえになりました。』

『そうか、お通しして下さい。』

客室に姿を現したのは、昨日司が公園で見掛けた女性だった。

『はじめまして、レオン・ハークライド王子。世良葵です。』

丁寧にお辞儀をすると、綺麗な銀髪と金色の瞳の美しい青年が立ち上がり葵に近付いて来た。

「Miss セラ、お会いできて光栄です。やはり写真で見るより美しい。」

葵の手を取ると、手の甲にキスをしてニッコリと微笑んだ。

「・・・日本語が堪能なんですね。レオン王子。」

「ええ、日本には縁があるものでね。」
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