青年A

宇佐川 昭俊

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第1章

高校生活

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 高校生とは、色々と、多感な時期である。いよいよ、誰が誰に告白するのか。そして、誰と誰が付き合うのか。そんな噂に、色めき立つ時分であった。

 そんな中、青年A(以降、A君)は、片思いをしていた。相手は、Bさん。同じクラスの、マドンナ的存在だ。正直、異性を寄せ付けない雰囲気さえなければ、クラス中の男子が告白するだろう。

 Bさんの魅力と言えば、やはり、清純派で整った顔立ち。スタイルの良さ。そして、異性と話す時は、懇切丁寧に応対する。恋には、興味がなさそうではあるが、男子からの受けは良かった。

 一方、他にクラスの男子から注目を集めていた女子がいる。

 実家がお金持ちのお嬢様であるCさん。育ちやマナーも良く、決して他人を見下さない。しかし、見た目の受けがあまり良くなく、
「彼女と付き合うのは、金目当ての男だけ」
という風潮が、高まっていた。

 それ故、美貌かお金か。男子高校生は、みんな、ゆれにゆれた。A君もその一人である。誰が最初に、BさんかCさんに告白するか? 誰が最初に射止めるか?

 そんなことで、男子は盛り上がっていた。女子は女子で、自分もイケメンに告白されたい。だから、意中の人には、色目を使っていた。そして、Bさん、Cさんに、嫉妬していた。

 そんな、若さゆえの学園生活は、紆余曲折しながら、あるべき道へと向かっていく。
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