青年A

宇佐川 昭俊

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最終章

インテリジェンス

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 遂に、共通テストが始まった。雪が積もる、冬の寒い日だった。A君は、防寒対策をバッチリ整え、それでも、寒さと試験で、身が引き締まる思いだった。武者震いではなく、寒さに震えている。

 A君は、朝の空に願掛けし、足元が滑らない様に、慎重に試験会場へと向かった。早くに出発したおかげで、会場までの道に、受験生と思われる人は、ほとんどいなかった。

 いざ、案内された部屋に入ると、やはり、人はまばら。最後の追い込みをするのには、絶好のチャンスだった。

 A君は早速教科書を開き、まだ人が少ない教室で、ブツブツと声に出して、脳みそに少しでも多くの情報を詰めていった。

 後から、続々と受験生が来ると、心の中で重要な単語。問題の解き方。過去問等にも、目を通していった。

 何としても、国立大学に受かりたい! 何故なら、Cさんみたいに、大金持ちで、優しくて、人を助けられる人になりたい。・・・勿論、私立に比べて、授業料が安いことも、大きな要因だ。

 そうか。急に、Cさんとの思い出が恋しくなった。「恋」とは、こういう事をいうのかもしれない。昔は、「逆玉の輿」なんて考えていたが、それが、二人を引き裂いた原因だった。

 やっぱり、こうして自分で稼げる力を身に着けた方が良い。寄りかかろうなんて、馬鹿な話だった。

 そうして、集中力とモチベーションを高めていくA君だった。

 いざ試験が始まると、A君は、全身全霊で挑み、全ての教科で、精根尽き果てるまで、頭をフル回転させて、全てをぶつけた。

 休憩時間は抜け殻となり、帰り道の記憶はない。そして、共通テストが終わると、数日間。家で「寝食のみ」の回復期間を過ごした。

 久々に、家を出たのは、合格発表の時だ。あれだけやったのだ。合格しているはず。

 それでも、道中は不安だらけだった。もし、落ちていたら・・・。そんな事を口にする度に、同行していた母が、励ましてくれた。

 そして、待ち遠しかった合格者発表のボードが掲載された。途端に、わっと人が集まり、天国と地獄に分かれていった。一番乗りで見る勇気がなかったA君は、周りが落ち着いた頃に、恐る恐る、自分の番号を探した。

「あった!」

 先に見つけたのは、母だった。A君は、何度も何度も、手持ちの受験票と照らし合わせて確認し、安心すると、その場にへたり込んでしまった。

「嗚呼、良かった」

 そんな言葉を漏らしながら。

 その年の4月。いよいよ、入学式が行われた。そこで、偶然。ある人物に出会った。

「Cさん!」

 A君は、驚いて駆け寄った。勿論、Cさんもびっくりして、こちらを、まじまじと見ていた。

「A君?」

「そうだよ! ずっと、こうして再会できる日を待っていたんだ!

 Cさんの表情が緩み、二人で抱き合った。そして、手をつないで入学式の会場へと、二人で歩いて行った。ここがゴールじゃない。全ての始まりだ!
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