2 / 82
第1章 世界の半分をやろう
第2話 瞬間移動した先は見覚えある風景
しおりを挟む「しゅ、瞬間移動ッ!!」
ブルーノさんこと青野さん、そして魔王の合体攻撃をかわすべく僕は魔法を唱えた。とっさの事だったので行き先なんかは考えてなかった、とにかく攻撃をかわす…それだけを考えて…。
どさっ!!
「い、いたたた…」
気がつくと僕はどこか硬い地面に僕は投げ出されていた。異世界での生活に慣れてきたところだったので石畳の上にでも落ちたか…、そんな風に思った。
「い、いや、違う。これ…、コンクリートだ。…いや、アスファルトって言うべきか」
倒れていた身を起こすと僕のすぐ真ん前にはガードレール、どうやらここは歩道のようだ。その脇には電信柱があり、その上には歩行者用信号が灯っている。
「夜か…、時間は…九時…二十分過ぎか…。あ…、ここは…」
自動車用信号灯の横に付いた交差点名を見て僕は地球に…日本に帰ってきた事を次第に実感してくる。
『鴫田南交番前』
見上げた先にある現在地を示してくれているプレート、馴染みがある地名だった。埼玉県中部にあるかつては小江戸と呼ばれた地方都市、僕はこの街で生まれ育った。
そしてこの鴫田南交番前の交差点、ここが僕の異世界転移に至ったきっかけになった場所だ…。
……………。
………。
…。
高校入学をきっかけに始めたアルバイト、その帰り道に僕はこの交差点を横断していた。その時に僕はトラックに轢かれそうになったのだ。
「君ッ、危ないッ!!」
その時、飛びつくようにして助けてくれたのが青野さんだった。
渋滞しがちな国道の迂回路、それがこの交差点を横切る県道…。鴫田南交差点はその県道が横切るいくつもの交差点の一つだ。
僕はこの交差点の歩行者用の信号が青になって渡り始めた。すると、そこに横合いからトラックが突っ込んできた。完全なノーブレーキ、ドライバーが信号を見落としていたのかあるいは居眠りか…とにかく人を殺す事が出来る凶器が僕に迫っていた。
青野さんにより間一髪の所で僕は難を逃れた。しかしトラックはかわせたけれど勢いは止まらない、車道を外れそのまま歩道に叩きつけられる…そう思ったのだがそうはならなかった。次の瞬間、僕と青野さんは見慣れない西洋風の神殿のような場所にいた。そして、その石畳のような所に僕らは投げ出された。
「う、うう…」
「間に合った…、良かった…。だ、だが…ここは…」
トラックに轢かれる危機を免れ僕は胸を撫で下ろしたが見えている風景は見慣れた鴫田地区のものではない。
「あ…あなた方は…?」
そこに声がかかった。声がした方を見ると瞳を閉じた女性がいた。わずかに紫がかった白い髪。そして肌も…、簡素な服…なんて言うか古代ギリシャの女性が着ていた服のような…。
それが僕らの異世界転移だった。彼女は神殿に仕える巫女でサマルムーンさん、魔王の脅威にさらされている国を憂いて一心不乱に祈りを捧げていたのだという…。彼女いわく、自分には召喚魔法の知識は無いのでただ一心不乱に祈っていたのだという事だ。
「きっとその祈りが天に通じたのだと思います…」
あれから異世界エニッスウェアはどうなったのだろうか…。サマルムーンさんは無事だろうか…。
「それにしても…、午後九時二十分過ぎか…。あのトラックに轢かれそうになったのも同じくらいの時間だったよな…。九時にバイトが終わって…帰り道でトラックに…。って事は…僕はあの瞬間に戻ったのか…、だとすると異世界にいた約1年半の時間はどうなるんだろう?あっちでの時間は経過してないのかな?」
青野さんと共に異世界エニッスウェアでの魔王を倒す旅…、それには一年半の時間を要した。もしあれが夢なら僕もかなり想像力が豊かなものだ、命の危機があったのも一度や二度ではない。思わず独り言も洩れるというものだ。
僕が信号脇の歩道に佇んでいると何か光るものが近づいてきた。どうやら懐中電灯の光のようだ、それを持った人物がこちらを照らしながら歩いてやってくる。
「あの、地面にしゃがみこんでどうしましたー?そこの交番の者でーす。ご気分が悪いとか、怪我をされたりとかされてませんかー?」
近づいてくるのは警察官の制服姿の女性だった。そうか、この交差点は名前通り交番前にある。きっとそこの婦警さんだろう。
「あ、はい。大丈夫です。ちょっと転んでしまったみたいで…。あ、学ランが汚れちゃった…」
そう言って僕は地面に倒れた時に服に付いた土埃をぱんぱんと手で払いながら立ち上がった。着ているのは学校指定の制服、いわゆる黒の学ランだ。ちゃんと汚れを払っておかないと目立つもんね。
「学ラン?え、ええっ!?」
立ち上がった僕のすぐ近くに来た婦警さんは僕の姿を見て目を真ん丸にして驚いている。
「お、おとッ…男ッ!?あなた、男の人ですかッ!?」
先程までののんびりとした口調とは違う切羽詰まったような必死さで婦警さんは僕に尋ねたのだった。
26
あなたにおすすめの小説
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:50の世界に転生したけど、前世の感覚で普通に接してたら幼馴染も姉妹もお嬢様もみんな沼にハマっていった件 ~ダンジョンにも潜ります〜
ベリーブルー
ファンタジー
男女比1:50――この世界で男は、守られ、大切にされ、穏やかに生きることを求められる存在。
だけど蓮は違った。
前世の記憶を持つ彼には、「男だから」という枷がない。女の子にも男の子にも同じように笑いかけ、距離を詰め、気負いなく手を差し伸べる。本人にとってはただの"普通"。でもこの世界では、その普通が劇薬だった。
幼馴染は気づけば目で追っていた。姉は守りたい感情の正体に戸惑い始めた。名家のお嬢様は、初めて「対等」に扱われたことが忘れられなくなった。
そして蓮はと言えば――。
「ダンジョン潜りてえなあ!」
誰も見たことのない深淵にロマンを見出し、周囲の心配をよそに、未知の世界へ飛び込もうとしている。
自覚なき最強のタラシが、命懸けの冒険と恋の沼を同時に生み出す、現代ダンジョンファンタジー。
カクヨムさんの方で先行公開しております。
男女比5対1の女尊男卑の世界で子供の頃、少女を助けたら「お嫁さんになりたい!」と言って来た。まさか、それが王女様だったなんて……。
楽園
恋愛
「将来、あなたのお嫁さんになりたい」
10年前、俺は魔法の力で一人の少女を救った。
……そして現在。ここは男女比5:1の女尊男卑の世界。
男は女に「選ばれる」ためだけの存在する。
俺、アルトは、前世の記憶と女でさえ持っていない無限の魔力を隠し、父と静かに暮らす「モブ」になるはずだった。
「待っていましたわ、アルト」
学園で再会したあの時の少女は、驚くべきことにリリアーナ王女だった。
どうやら彼女、あの日の「約束」を本気で果たしに来たらしい。
(俺の平穏なモブ生活が……!)
最強を隠したい男と、その秘密ごと彼を手に入れたい王女の、すれ違い学園ファンタジー!
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる