シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜

ミコガミヒデカズ

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第2章 天然男子を巡る思惑とそうはさせない佐久間修

第17話 エリート官僚とやらが来た。

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「まずは七日間、佐久間修さんには当方指定の施設で『新しい日常復帰プラン』を受けていただきます」

 政府の聞き慣れない部署からやってきた一人の女性がそんな事を言っている。年齢は30歳過ぎくらい、いわゆる派手髪をしており注意して見れば身につけている時計には宝石があしらわれている。

(あれはかなりの高級品だよな、百万とか二百万てレベルじゃない。確か…、異世界に行く前に銀座の高級時計店に強盗が入ったニュースがあったな)

 その時計店の一番高価な品は五千万、それにも宝石が散りばめられていた。それで興味を持って高価な時計の一覧をスマホで眺めたんだっけ…。その時に見たうちの一つがその腕にあった。

 真希子さんや真唯ちゃんとの再会から一夜明け翌朝…、僕は郊外である鴫田警察署から街の中心部にあるホテルに宿泊していた。すると、朝一番に僕宛ての連絡が来た。政府から今後の事について打診がある、それですぐに警察署に来てくれとの事だった。政府の役人、そして今現在の警備を担当している鴫田警察署並びに埼◯県警の面々が同席するとの事でこのホテルで集まるには手狭であった為だ。

 そんな訳で朝からパトカーに揺られる。警備の意味もあり車両によるちょっとした大名行列だ。かつては小江戸とも呼ばれた城下町、今も古刹などがある観光地として名の知れた街なので宿泊施設も充実している。

 ただ、鴫田警察署から距離はそんなでもないのに江戸時代から続く街なのでその道は狭い。すぐに渋滞し移動にも時間がかかる。およそ5キロほどの道のりに小一時間もかかった。おまけにマスコミが待ち構えていたり車で後をついてきたりする。さらには空にはヘリが飛んでるし…、移動だけで疲れるって初めてだよ。

 警察署に着き、昨日と同じ第一会議室に入るとくだんの女性がいた。『朝早くから御足労をおかけして…』の一言も無い、とても嫌な感じだ。

 会議室内には他にも警察幹部の人もいてその表情は苦虫を噛み潰したようで物々しさすら感じる。先程渡された名詞には何やら長々と所属が書かれているが、肩書きも相まって正直読むのが面倒くさい。

「男性が受ける研修を当方指定の施設で…って、それはどこで受ける事になるんですか?」

「はい。函館、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の七都市を予定しております」

「えっ?一つの場所じゃないんですか?まあ研修内容によっては研修場所が変わるのかも知れませんが…。しかも男性の為の『新しい日常復帰プラン』って七日間ですよね。それで七都市ですか?一日一都市?移動だけで時間がかかりますよね、大丈夫なんですか?」

「ええ。復帰プランにつきましては特殊でも難解なものでもありませんし、移動の事などはご心配ありませんよ」

 ははは、と笑いながら政府からの役人は語る。身につけている物や名刺にあった肩書きから考えるといわゆるエリート役人なんだろうな。

「全施設きヘリポートがあり、宿泊機能もあります。佐久間さんにおかれましては移動については建物の屋上から屋上へ、ヘリコプターによる空の旅をお楽しみいただくような形になります」

 え?空の旅を楽しむ?それじゃ何の為の研修なのさ?研修自体も難解ではないし、その土地に行かなきゃ研修できない特別な物でもない?じゃあ、どうしてそんな全国行脚ぜんこくあんぎゃみたいなマネをしなくちゃならないのさ。その事を政府から来た役人の人に聞いてみた。最早、名前を覚える気も無い。

「研修は難解でも特別でもないんですよね?なら、そんな移動しなくても良いんじゃないですか?」

「ええ、そこなんです。今回は研修の他に各地でお顔を見せていただくと言うのが大事な目的です。各地におります我々の上層部はもちろん、有力な方々にお会いになる事は決して佐久間さんにおかれましてもプラスとなるでしょう。どうです、コレを機に全て我が省に全てお任せいただくというのは…?」

 三日月のように唇の両端を上げながら言葉を続ける。

「きっとより良い待遇になりますよ、佐久間さんにとっても我々にとっても…ね」

 いわゆるウィンウィンの関係ですよ、最後には満面の笑みでその人は言った。だが、僕にはそれがとてもおぞましいものに見えた。

 確かにこの誘いに乗れば甘い汁とやらを吸う人生が待っているのかも知れない。だけど、操り人形みたいに利用される人生ってのも嫌だ。

「署長さん」

 僕は真賀里さんに声をかけた
 
「ん、なんだ?少年」

「その復帰プランというのは県内で…。どこか近所で…、それこそこちらの署内で受けられたりはしないんでしょうか?」

「いや、出来るぞ。男性がある程度の年齢になったらやる一般的な研修でもあるしな。ウチだったらヤマさんとかハルさんが出来るな」

「それならこちらでお願い出来ませんでしょうか?人員配置とかご無理をおかけしない程度に…」

 僕がそう言うと県の警察幹部の人達が破顔一笑、歓声を上げたり中にはガッツポーズを取っている人もいる。一方で慌てている人がいる。

「な、何を言っているのです!あなたは選ばれた人間なのですよ!私達についてくれば一生安泰、言わば上級国民としての生活が約束されます。人生思うがまま、そしてその功績で私もそこに足を踏み入れる事ができる!良いから来るんだッ、こんなちっぽけな警察署なんかでなく中央へ!ただ、それだけの事なんだッ!!」

 政府中央から来た人は凄まじく興奮し、本音を隠す事なく撒き散らした。おそらくこの人は僕を連れ帰り、その手柄を片手にさらなる出世や地域地域の有力者とのコネでも狙っているのだろう。僕という存在が認識され、それを利用してやろうと現れた…そんな所か。

「それにこんな地方の警察署なんかで…」

「お言葉ですが…」

 僕は相手の言葉を遮り口を挟んだ。

「鴫田署の皆さんは熱心に警護をしてくれました。それこそ不眠不休で。言うなれば寝食を共にするような感じで。こういうのに一番大切なのは信頼だと思いますし…」

「し、寝食…だと…」

 政府の人も、警察のお偉いさん達も驚きを持って呟いているがとりあえず話を続けるか。

「だから研修は是非こちらの鴫田警察署さんにお願い出来ればと思います」

「ま、待って下さい。この一警察署では規模も人員も限られているでしょうッ!」

 中央からの役人がまくしたてる。

「それなら心配いらんッ!」

 県警のお偉いさん達が椅子から立ち上がる。

「警備に必要な人員なら我ら埼○県警がいくらでも周辺署から増援を送る!場合によっては本部からでも構わない。ゆえに安心して中央さんにはお帰り頂いて結構ですぞ」

「それに聞けばすでに寝食を共にするほどに信頼を得ている署員もおるようですからな。どうやら拒絶された中央さんとは違い、我々をご指名のようだ。中央さんはどうぞ安心してお帰り下さい、我々の方で滞りなく研修も警護も行いますので」

「バ、バカな…。この件は…も、もう上にも、各地のトップにも有力者にも決定事項として報告し伝わっているんです!会談をし、その方々に連なる年頃の御息女達にもこの機会に顔合わせをしていただくスケジュールも昨夜一晩で組んでいるんですよ!!く、工夫して分刻みの最大限に面会できるようにしたスケジュールを…。ど、どうなるんです、それは!?」

 錯乱したように叫ぶ政府からの女性。いい加減、頭に来る。

「それはそちらの勝手な…、いやあなたの身勝手な計画プランでしょう?何が『新しい日常復帰プラン』ですか。やってる事はただ単にいきなりやって来て僕にあなたの出世の為の道具、あるいは人身御供《ひとみごくう》になれという事じゃないですか?」

 僕はいったん息継ぎをする、そして『それに』と一言吐いて言葉を続けた。

「研修はいつやるんですか?ハッキリ言ってそんな分刻みの面会メインのスケジュール、研修する時間なんて無いじゃないですか!?」

「そ、それは空いた時間に…」

「どこにそんな時間がある!?夜も寝ずに学習しろって事ですか、寝る時間も削って…。それとも移動中のヘリの中ででも寝てろとでも言うんでしょうか?いや…、そのヘリの中でも寝ずに誰かと面会しろとか言うんじゃないですか?」

 怒りもあったのか思わず僕は叩きつけるように言った。



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