【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

文字の大きさ
76 / 311
第二章 人神代理戦争 予兆

二十七章 聖女の行進 其の拾玖

しおりを挟む
 トオルはそう言うとユースを守っていた六機の鉄を吸収し、割れていた武装を補った。トオルの武器である黑鎧武装コクガイブソウ、それは自動変態型記憶合金を用いて凡ゆる兵器に対応出来るものであるが、弱点がある。

 自動変態型記憶合金は破壊されるとそれっきりで一日に使える量は限られている事。現在、第三階層での攻撃から第四、第五階層の悪魔を退け、結果、自動変態型記憶合金の消費を余儀なくされており、ユースを守っていた六機を自身に戻し、修復させた。

 故に、残り三度破壊されれば、自動変態型記憶合金が尽き、トオルは戦闘不可能となる。

「ユース! ここからは俺もメインだがお前も同様! 一蓮托生、命預けっから任せたぞ!」

 日下部くさかべトオル、彼は誰よりも人を信じ、そして、人に信頼される男であり、その言葉を聞き、ユースは答えた。

「承知しました、自分もここからが本領発揮です。我、運命は闘士! 猛る闘争、握るは剣! 共鳴器・グロウよ、我が運命の導に従い解き放て! その真なる姿を!」

 ユースの言葉に呼応して、彼が右腕に持つレイピアが長刃の剣となり、商人からもらった赫い刃の剣を握り締め、構える。そして、ユースとトオルは全ての準備が終わると同時に、一気にカラスに向けて走り出した。

 カラスは折られた腕を気にする事なく、片腕で十字架を握りしめており、その場から動こうとしなかった。

 氷獄コキュートスは無数に合わさる腕が獣の様な形をしており、向かい来るユースとトオルに目掛けて咆哮する。

 その咆哮を聞いた途端、ユースの体が硬直した。第六階層悪魔、それは一般人であれば見ただけで気を失い、立つことの許されない存在モノ。強者ですら、その咆哮を受ければ、硬直を産んでしまい、バサラですらもその動きを止めれる。

 ユースが足を止めた瞬間、トオルは咆哮に原因があることに気づいた。彼の顔にはマスクがつけられており、それはただのマスクでは無く、黑鎧武装コクガイブソウにより、生み出されたものであるからこそだった。

 だが、ユースを信じて戦うと決めたトオルは彼に目を向けず、全力で駆けた。自動変態型記憶合金を変化させ、両手に剣を握ると氷獄コキュートスの首目掛けて一直線に振るう。

 氷獄コキュートスの首に刃が到着するも、それは幾つものある腕が止めるとトオルに目掛けて獣の咆哮ではないものが飛び出した。

氷刃ブレイド

 氷獄コキュートスが放った言葉、それは紛れもなく肉声であり、カラスが放った言葉ではない。そして、それと同時にトオルの体に目掛けて氷の刃が放たれた。

 剣を手放し、ギリギリのところでそれを掴むもトオルは再び遠ざかってしまう。

 だが、そんな中をユースは狙って追撃を仕掛けていた。氷獄コキュートスの首を追っていたのは二人であり、一人ではない。もう一人に割かれていた意識の虚を突き、ユースは氷獄コキュートスの首にグロウの刃を振り下ろした。

 獣の首を断ち、断末魔もなく転がるも二人は勝利を感じる事はなく、寧ろ、彼らの背筋をねっとりと弄り、恐怖心を煽った。

「首を断たれるとは、恐れ入ったよ、坊主ら。第六階層十字二段階解放、振え、八寒氷獄スカーレット・コキュートス

 カラスの一言で切られた首から無数の手が飛び出すとそこに獣であったモノの輪郭が変わり、龍を思わせる姿へと変貌する。主人カラスよりも大きくなった八寒氷獄スカーレット・コキュートスはユース達を見下げると再び咆哮を放った。

 その咆哮は硬直などで済むモノではなく、その場の人間に対して、絶対零度の吹雪を与え、カラス以外の物を凍らせる。

 それは、ユース、トオルだけで無く、その場、半径20メートルの気温を生物が生きていくには不可能なものとする。

絶対零度アイスエンド

 ユース、トオル、彼らは、その悪魔と対峙した時点で、敗北していた。その事実は間違いなく、覆せぬ結果であり、二人の戦士は悪魔を見上げながら彼らの記憶は途絶えている。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...