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第二章 人神代理戦争 予兆
三十二章 聖女の行進 其の弍拾肆
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玉座に座り込み、自分の障害となるモノを待ち続ける。誰が来るであろうとも、誰が現れようとも今の自分は万全且つ負ける気は一切無く、むしろ、現れた者を蹂躙し、そして、救済の手すらも伸ばそうともした。
だが、その考えは玉座の間の前にある扉に立ったそれに対して目が見えないが故に、感じた危機感と殺気。
「ラヴァル、護って」
黒鉄の浮遊騎士はダルクの言葉を聞き、彼女を覆い守りに入った。
扉から動かず、そこに立ち尽くすだけ。
それが逆に、不気味であり、何をするのか、何をしてくるのか、一切不明。
守りに入ったラヴァルはダルクよりも、早く、自身に起きるこの後の出来事を一瞬で理解し、ダルクから遠ざかった。
「ラヴァル? なんで、遠くに行くの? もしかして、あなたも私を置いて」
ダルクの問いに浮遊騎士は答えず、扉に目掛けて飛んで行く。先手必勝、それが勝つための唯一の方法であり、ラヴァルは扉の向こうにいる、破壊の運命を宿す者に突撃した。
扉を突進で破壊しようとした瞬間、それよりも早く、扉が粉々になり、ラヴァルの体には黒い刀が突き刺さった。
そして、それと同時に刀の投擲の威力を抑えられず、ラヴァルの体は一気に吹き飛ばされ、ダルクの真横の壁に叩き付けられた。
「ラヴァル? あらあら、そんな風に扉が開かれるのは予想しなかったわ」
涅焔による投擲。
カツラギ・バサラ、彼が選んだ初手はそれであった。
「バサラのおじ様、意外と荒々しいのね?」
「ダルク、か。そうだね、今の僕は気立ってるんだ。早めに退いてくれるなら傷つけずに済むんだけど」
「それだけは決してない。決してないのよ、おじ様。私とあなたは戦う運命、あなたを殺して、他も殺して、私は私の国を今度こそ、救ってみせる」
バサラは片腕に握られた涅槃静寂の刃をダルクに向けると彼女に向けて声を上げた。
「なら、戦うのみだ。この前見たく行かないから覚悟しといて」
そして、その言葉を放つと同時に壁に打ち付けられたラヴァルがバサラ目掛けて突き刺さっていた涅焔を投げ返した。
バサラは投げ返された涅焔を必要最低限の動きで避けるとそのまま柄を握り締め、二刀流となり、駆けた。
目指すはダルクへ一直線であるがそんな彼の道を防ぐためにラヴァルは立ち塞がる。巨大な腕を振り翳し、バサラを潰そうとするものの彼にとってラヴァルは敵としては見られていなかった。
涅槃静寂と涅焔の両方に自身の力を全力で込めるとその一撃を切り裂いた。
鉄の腕は真横に上半分を切り裂かれ、地面に落ちると次はラヴァルの腕が切り落とされた。黒鉄の浮遊騎士に痛みはない。かつて、聖女を見殺しにした罪悪感から自らをこの鉄の騎士に魂を封じ込めた。
故に、痛みも恐怖も無く、ダルクを守りながら己の嗜虐を満たす存在であった。だが、それは今、初めて、魂の単位で感情を抱いた。
切り裂かれたことはある。
この地に呼ばれる以前も首を断たれ、この地に来ても体は無く、鉄の体を何度も割かれては簡単に回復させられた。
だが、今、この瞬間、ラヴァルは魂の新陳代謝の様な波、揺さぶられる様な感覚、そう、恐怖をこの体になって抱いたのだ。
右腕は落とされ、左腕で攻撃を放つも、次は涅槃静寂の一撃で縦に切り裂かれた。だが、そんなことがあってもラヴァルは止まらない。
己の全てを懸けてダルクを守る。
それが今の彼が背負った最後の、
「我流、一閃斬り乱れ」
希望。
バサラは涅槃静寂を地面に突き刺し、涅焔を鞘に収めると襲いくる鉄の塊に抜刀する。
それは一撃でありながら、十の斬撃となる技。涅焔の黒い炎を抜刀時に放出させると同時に、一撃に割く炎の量を減らすが、その分、斬撃の数を増やすと言う物であった。
防御を無視する黒い炎、それが涅焔であり、バサラがその技を作るまでに至った時間はおよそ一日。
黒い炎の斬撃は一瞬の抜刀で格子状に飛ばされ、ラヴァルの体をサイコロの様にした。
カツラギ・バサラ、今、彼はユースを傷つけられ、何も出来ずにいた自分に怒りを持っており、それを持って、聖女へと立ち塞がる最大の障害となった。
だが、その考えは玉座の間の前にある扉に立ったそれに対して目が見えないが故に、感じた危機感と殺気。
「ラヴァル、護って」
黒鉄の浮遊騎士はダルクの言葉を聞き、彼女を覆い守りに入った。
扉から動かず、そこに立ち尽くすだけ。
それが逆に、不気味であり、何をするのか、何をしてくるのか、一切不明。
守りに入ったラヴァルはダルクよりも、早く、自身に起きるこの後の出来事を一瞬で理解し、ダルクから遠ざかった。
「ラヴァル? なんで、遠くに行くの? もしかして、あなたも私を置いて」
ダルクの問いに浮遊騎士は答えず、扉に目掛けて飛んで行く。先手必勝、それが勝つための唯一の方法であり、ラヴァルは扉の向こうにいる、破壊の運命を宿す者に突撃した。
扉を突進で破壊しようとした瞬間、それよりも早く、扉が粉々になり、ラヴァルの体には黒い刀が突き刺さった。
そして、それと同時に刀の投擲の威力を抑えられず、ラヴァルの体は一気に吹き飛ばされ、ダルクの真横の壁に叩き付けられた。
「ラヴァル? あらあら、そんな風に扉が開かれるのは予想しなかったわ」
涅焔による投擲。
カツラギ・バサラ、彼が選んだ初手はそれであった。
「バサラのおじ様、意外と荒々しいのね?」
「ダルク、か。そうだね、今の僕は気立ってるんだ。早めに退いてくれるなら傷つけずに済むんだけど」
「それだけは決してない。決してないのよ、おじ様。私とあなたは戦う運命、あなたを殺して、他も殺して、私は私の国を今度こそ、救ってみせる」
バサラは片腕に握られた涅槃静寂の刃をダルクに向けると彼女に向けて声を上げた。
「なら、戦うのみだ。この前見たく行かないから覚悟しといて」
そして、その言葉を放つと同時に壁に打ち付けられたラヴァルがバサラ目掛けて突き刺さっていた涅焔を投げ返した。
バサラは投げ返された涅焔を必要最低限の動きで避けるとそのまま柄を握り締め、二刀流となり、駆けた。
目指すはダルクへ一直線であるがそんな彼の道を防ぐためにラヴァルは立ち塞がる。巨大な腕を振り翳し、バサラを潰そうとするものの彼にとってラヴァルは敵としては見られていなかった。
涅槃静寂と涅焔の両方に自身の力を全力で込めるとその一撃を切り裂いた。
鉄の腕は真横に上半分を切り裂かれ、地面に落ちると次はラヴァルの腕が切り落とされた。黒鉄の浮遊騎士に痛みはない。かつて、聖女を見殺しにした罪悪感から自らをこの鉄の騎士に魂を封じ込めた。
故に、痛みも恐怖も無く、ダルクを守りながら己の嗜虐を満たす存在であった。だが、それは今、初めて、魂の単位で感情を抱いた。
切り裂かれたことはある。
この地に呼ばれる以前も首を断たれ、この地に来ても体は無く、鉄の体を何度も割かれては簡単に回復させられた。
だが、今、この瞬間、ラヴァルは魂の新陳代謝の様な波、揺さぶられる様な感覚、そう、恐怖をこの体になって抱いたのだ。
右腕は落とされ、左腕で攻撃を放つも、次は涅槃静寂の一撃で縦に切り裂かれた。だが、そんなことがあってもラヴァルは止まらない。
己の全てを懸けてダルクを守る。
それが今の彼が背負った最後の、
「我流、一閃斬り乱れ」
希望。
バサラは涅槃静寂を地面に突き刺し、涅焔を鞘に収めると襲いくる鉄の塊に抜刀する。
それは一撃でありながら、十の斬撃となる技。涅焔の黒い炎を抜刀時に放出させると同時に、一撃に割く炎の量を減らすが、その分、斬撃の数を増やすと言う物であった。
防御を無視する黒い炎、それが涅焔であり、バサラがその技を作るまでに至った時間はおよそ一日。
黒い炎の斬撃は一瞬の抜刀で格子状に飛ばされ、ラヴァルの体をサイコロの様にした。
カツラギ・バサラ、今、彼はユースを傷つけられ、何も出来ずにいた自分に怒りを持っており、それを持って、聖女へと立ち塞がる最大の障害となった。
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