【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

一話 誰を英雄と讃えるのか 其の壱

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 三十年前、異界ゴルドバレー、そこは神による統治のなされた国であった。

「はは、やっぱり美しいね、人間は!」

 そして、ゴルドバレーに住まう人間は神により、人生を一種の劇の様に扱われる。口を開いたそれは目の前に広がる人の死体の山を見て、楽しそうにしていた。彼が起こしたのは人間同士の殺し合い、統治する地域にいる者達に嘘と真実を混ぜ込みながら疑心暗鬼を生み出してお互いを殺し合わせた。

 流した嘘は実に簡単な嘘であるが常に神による統治がなされた地域の人間にその様な嘘を見抜く事など出来ず、小さな火種は一瞬にして広がる。

 そして、簡単に殺し合った。相手に殺意を向け、生存を勝ち取るために意地汚く、騙し、女子供にすら容赦なく得物を突き刺す。

 神にとっての最上の劇場、それこそが人の争い。

 自身には一切汚れをつけず、太陽の絵が書かれたローブに身を纏った青年の様な神アポロンは血溜まりをパシャリパシャリと音を立てて歩くとそこにいる生存者を探した。

 彼のもう一つの趣味、それは自身の起こした殺戮で生きている人間に手を伸ばし、自分の下で育てる事。自分に従順で、何をしても許してくれる肉の人形の人生を鑑賞し、それをみながら酒を飲む。

 それこそが人とは時間の感覚が全く違う神であるアポロンにとっての最上の楽しみであった。

「今回は念入りに死んでるなー、面白くない! 一人くらい生きてろよ、全く」

 独り言を呟いた瞬間、アポロンの背後から唐突に斧の様な物を彼の体に振り下ろした者がいた。

 神にすら気配を気取られなかったそれは次に、腰に差していた剣をアポロンに向けて投擲した。虚を突かれるもそこからアポロンはすぐに建て直しており、剣の投擲は自身のローブを使い叩き落とす。

「不意打ちとは美しくないね、なんだい? 君は」

 ローブを脱ぐと人とは明らかに違う感性で生まれた服を着ており、両手を前に構え、戦う意思を示した。アポロンの声掛けに少年は応じず、背負っていた漆黒の両刃剣を取り出すと彼は無言でアポロンとの距離を詰めてきた。

 距離を詰めながらも手斧を使い投げつけるも正面からのそれは一切通じず、逆にそれを掴み少年へと投げ返す。投げ返された手斧を最低限の動きで避け、少年は両手で剣を握り締めた。

 アポロンはそれを真っ向から潰そうと突きを放つと少年も同様に剣を振るう。剣と拳がぶつかった瞬間、アポロンの腕の表部分が綺麗に切り裂かれた。

「なっ?!」

 神として生まれて2000年、一度たりとも敗北はなく、自身に迫る脅威など同じ神のみであったのにも関わらず、それが齢十五にも満たない少年により壊される。

神技グランスキル偉大な太陽グレイテスト・ショー

 アポロンの切り裂かれた腕はすぐに再生し、両腕には太陽同様の熱を帯びた炎を纏った。神技グランスキル、それは神のみに許された権能であり、神が神たる所以の秘技。アポロンの神技グランスキルは擬似的な太陽を両腕に纏う事でその場にいる凡ゆる存在を融解させる。

 だが、少年はモノともせず、アポロンの前に立つと自身の得物を構えて振るう準備をした。

「オイオイ! 不敬だな! でも、何だい? 君、私の拳を切り裂き、神技グランスキルが通じない。人間じゃないだろう、それは!」

「人をお前の尺度で測るなよ、クソ神が」

 アポロンは目の前に立つ少年に興味が湧いていた。自身の権能の象徴たる太陽を前にしても少年は焼き切れず、平然としており、プライドを傷つけられたはずなのに今は寧ろ、自分と対等に渡り合おうとする人の姿を見て、見た事もない光を見つけた、そんな気になった。

 そして、アポロンも眼中にもなかった人間と言うおもちゃが自分を追い詰めようとしていることを全力で潰すために両腕を構える。

「太陽神アポロン! 君も名乗れよ、人間。私にとって最高の経験をさせてくれる少年よ!」

「死ぬヤツに名前言っても口無しだしな。いいよ、名乗ってやる。バサラ、カツラギ・バサラ、全ての神を殺す者だよ」

 これがバサラにとって初めての神殺し。そして、2023年続いた創神期の終わりの始まりである。
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