【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

十話 誰を英雄と讃えるのか 其の拾

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 燃え盛る建物と人の骸の上で、少年は神を殺すに至る。

 バサラは目の前に横たわる神の首元に黒い刃を置くと神はその自身に至った剣を見て、彼に喋りかけた。

「なぁ、少年、お前は何なんだ?」

「あ? 知らねえよ。俺が何なのかなんてお前に関係あるのか?」

「いや、そうか、そうだな。私は君に今、興味と興奮、何とも言えない初めての感覚を味わっている。なぁ、少年、俺に教えてくれ、これを与えてくれる君は何なんだと」

 バサラはその言葉を聞いてすぐに神の首を切り裂いた。それは喋ることは無くなり、自分が殺した相手の後悔の無い表情を見て、呟く。

「さあな、俺はそれを知らない」

***

 バサラは自分の体についた血を落とさず、拠点に戻るとそこには彼の帰りを待ってはいない男が一人で武器を打っていた。

「ヴォルガ、師匠じじいは?」

 使った手斧や、涅槃静寂ニルヴァーナをテーブルの上に置いているとヴォルガと呼ばれたため息をついて答えた。

「ロンベルグなら出たったぞ」

「はぁ? 急になんで?!」

「お前に教えることはもう無いとよ」

 ヴォルガはそれ以上は何も言わずに淡々と武器を打っており、その姿を見て、彼の氣が嘘でないことを理解するとため息をついた。

「唐突すぎんだろ。礼くらいさせろよクソ師匠じじい

 一人で呟くもヴォルガにはそれが聞こえており、彼はテーブルの上に置いてあった涅槃静寂ニルヴァーナに手をつけた。

「何する気だ? ヴォルガ」

「刃こぼれしてないか見るんだよ。お前も、ロンベルグも剣の振り方が荒いんだ。俺が作った最高の武具達が全部壊れちまうからな定期的に見ておかないと」

 そう言うと無造作に置いてあった涅槃静寂ニルヴァーナを鞘から取り出して、その漆黒の刃を見つめた。

 涅槃静寂ニルヴァーナ、それはヴォルガ自身が鍛治士として最高の一振りと豪語出来るほどの逸品。

 ヴォルガはその刃が一切こぼれていないことを確認し始めるとバサラはとあることに気付き、彼にそれを聞いてみた。

「あのさ、ヴォルガ」

「なんだ、気色の悪いな」

「言い過ぎだろ、ただ、喋りかけただけなのに」

「がはは! 冗談だ! どうした?」

「そのー、俺、師匠じじいと一緒に訓練してたからここに置かせて貰ってたんだけど師匠じじいいなくなったらいちゃダメとかあるか?」

 バサラの問いにヴォルガはきょとんとすると再び笑い出し、答えた。

「がはは! そりゃそうだろ!」

「やっぱりか、そうか、そうだよな。二年間やっかいになったな、ヴォルガ」

「冗談冗談、待て待て待て」

 思ったよりも素直に聞き入れ、テーブルにあった手斧を手をつけるとヴォルガがそれを慌てて止める。

「んだよ、出てけって意味じゃねえの?」

「冗談だよ、アホ! もうお前の家みたいなもんだ、好きに使え」

「いや、でも、俺が神殺してたら、迷惑かかるかもだし」

「バカ言え、それくらいで迷惑なら散々かけられたわ! 好きにここに帰って来い。それくらい当たり前だろう?」

 ヴォルガは出て行こうとするバサラを止めると彼は少しだけ嬉しそうにしており、照れ臭そうにする。自分が二度目にここに居ていいと言われたことに対しての喜び。何処か懐かしく、自分が失っていた何かをほんの少しだけ取り戻せた、そんな気がした。

「ヴォルガ、そんだけ言うなら、ここに居ようかな」

「どうせ、おれがいなきゃ剣をみれもしないだろうに、全く、それはそうと夕飯は出来てるから早く食って寝ろ。疲れてるだろうに」

 ヴォルガに言われるがままバサラは食事を摂るとすぐに寝室に篭り、目を閉じる。彼はその日、神を殺したのにも関わらず、全くそのことを気にしない自分に少しばかり嫌気をさしながら眠りについた。
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