179 / 311
第三章 人神代理戦争 勃発
五十二話 五大王国会議 其の拾捌
しおりを挟む
人神代理戦争対策会議、それは白熱し、互いに疲弊しながらも全ての決定をするために王達は三日三晩止まることはなかった。
ターニャは度々休憩をとりながら、それ以外の面々は心身のリフレッシュのための風呂と食事以外では寝ることを惜しんで会議を進めた。
体力も限界だが、それでも彼らは王としての責務を果たすために取り決めとこれからの予定を組み立てる。全てが決まるとそれの確認を取るためにスカンダが口を開いた。
「まとめるぞ! はじめに前の五大王国会議、そこにあったヴェープルの諸々に対しての罰の全ての国への技術提供、これは執行する。代わりに、他四国は自国の優秀な人財をヴェープルに送り、ダラモスの修復に尽力する。つづいて、各国の国民は全てミレニアムに残りの日数をかけて集め、ミレニアム王国を砦として戦闘準備を進める。加えて、これより一週間で全ての国の兵士をミレニアムに集合し、合同訓練を行う! これには冒険者協会にも協力を仰ぎ、今も持てるもの全てを打つける! いわゆる、総力戦だ! 最後に! ミレニアム王国として各国王に誓いを立てる! うちの国は落とさせない、何があってもお前らの国の民もお前達の命も全部守り切る! 以上! 文句のある奴は今から言え!」
「ルーヴェン、異議なし!」
「バンコクも異議なし」
「ヴェープルも異議なしですわ」
「シャルルも異議なしだ」
全員の確認が取れるとスカンダは笑顔を浮かべ、再び声を上げた。
「よし! これより人神代理戦争対策本部を設置し、五大王国連合軍を組む! 各国準備を!」
その一言で会議が終わるとターニャ以外の王達は自国に戻らず、彼らはそのままミレニアムに向かうことが決まった。
「と言う訳で、ヴェープルに向かうシンク以外は帰国の準備だ」
スカンダの一言で、準備を始め様とした時、ジータが各国の王がいる中、突然喋り出した。
「王よ、突然の申し出ですがよろしいでしょうか?」
「ん? なんだ?」
「ありがとうございます。それでは、私、ジータ・グランデ及び四護聖、そして、ルーヴェン王国騎士団長エイブラハム・ルーデウスは本日、ミレニアム王国剣術指南役カツラギ・バサラに決闘を申し込みます」
唐突な決闘の申し出に、スカンダは一瞬だけ戸惑うとバサラに視線を向けた。名指しで決闘を申し込まれたのに対して表情を一切変えず、知っていたかの様な落ち着きを見せ、スカンダも戸惑う素振りを見せまいとこほんも咳払いをしてそれに応えた。
「ダメだ。ダメに決まってるだろう。何故今なんだ、ジータ。この大変な時期に、急に決闘なんて」
「分かってます、分かってるからこそ、必要なことなのです。王よ、この決闘、私の全てを賭けて臨みたいもの。親友として見届けてくれない? スカンダ」
王としてではなく、親友としての頼み。それを聞き、スカンダは悩ましいと言うのがわかる表情を浮かべる。だが、そんなスカンダの肩をローズが掴んだ。
「スカンダ、悩む必要あるか?」
「いや、悩むだろう。悩むどころか速戦即決だ。大切な兵士を」
「うちのやつも急に昨日言い出してな。最初は困惑したがあいつらにも理由がある。なら、王としてそこはどしんと構えるべきだぞ」
ローズに耳うちされ、スカンダは考えた。いつもの自分ならすぐにでも許可を出す。だが、今は戦争の前、体験したことのないことの前にもしもがあっても困る、そう思うと乗り気にはなれなかった。
「シャロン、ジャン、ターニャあんた達はどう思う?」
「私は賛成~。大丈夫、うちのヴィクターが死ぬ以外は治してくれる」
「ふむ、自分もいざこざがあってから衝突するよりも今それを消化できるならしてしまった方がいいと思うぞ」
「私はノーコメントで」
三人の王も概ね、賛成の意見であり、スカンダは再びため息を吐くも覚悟を決めたのかジータの申し出の答えを出した。
「分かった、スカンダ・アポカリプスが了承する。一応聞くぞ、バサラ、あんたはこの決闘受けるのか?」
スカンダの問い、それにバサラは迷い無く応えた。
「勿論、スカンダ殿、あなたが了承すれば受けるつもりだ。そして、それが下りたと言うのであれば、ジータ・グランデ、彼女の決闘の申し出、受け入れよう」
ターニャは度々休憩をとりながら、それ以外の面々は心身のリフレッシュのための風呂と食事以外では寝ることを惜しんで会議を進めた。
体力も限界だが、それでも彼らは王としての責務を果たすために取り決めとこれからの予定を組み立てる。全てが決まるとそれの確認を取るためにスカンダが口を開いた。
「まとめるぞ! はじめに前の五大王国会議、そこにあったヴェープルの諸々に対しての罰の全ての国への技術提供、これは執行する。代わりに、他四国は自国の優秀な人財をヴェープルに送り、ダラモスの修復に尽力する。つづいて、各国の国民は全てミレニアムに残りの日数をかけて集め、ミレニアム王国を砦として戦闘準備を進める。加えて、これより一週間で全ての国の兵士をミレニアムに集合し、合同訓練を行う! これには冒険者協会にも協力を仰ぎ、今も持てるもの全てを打つける! いわゆる、総力戦だ! 最後に! ミレニアム王国として各国王に誓いを立てる! うちの国は落とさせない、何があってもお前らの国の民もお前達の命も全部守り切る! 以上! 文句のある奴は今から言え!」
「ルーヴェン、異議なし!」
「バンコクも異議なし」
「ヴェープルも異議なしですわ」
「シャルルも異議なしだ」
全員の確認が取れるとスカンダは笑顔を浮かべ、再び声を上げた。
「よし! これより人神代理戦争対策本部を設置し、五大王国連合軍を組む! 各国準備を!」
その一言で会議が終わるとターニャ以外の王達は自国に戻らず、彼らはそのままミレニアムに向かうことが決まった。
「と言う訳で、ヴェープルに向かうシンク以外は帰国の準備だ」
スカンダの一言で、準備を始め様とした時、ジータが各国の王がいる中、突然喋り出した。
「王よ、突然の申し出ですがよろしいでしょうか?」
「ん? なんだ?」
「ありがとうございます。それでは、私、ジータ・グランデ及び四護聖、そして、ルーヴェン王国騎士団長エイブラハム・ルーデウスは本日、ミレニアム王国剣術指南役カツラギ・バサラに決闘を申し込みます」
唐突な決闘の申し出に、スカンダは一瞬だけ戸惑うとバサラに視線を向けた。名指しで決闘を申し込まれたのに対して表情を一切変えず、知っていたかの様な落ち着きを見せ、スカンダも戸惑う素振りを見せまいとこほんも咳払いをしてそれに応えた。
「ダメだ。ダメに決まってるだろう。何故今なんだ、ジータ。この大変な時期に、急に決闘なんて」
「分かってます、分かってるからこそ、必要なことなのです。王よ、この決闘、私の全てを賭けて臨みたいもの。親友として見届けてくれない? スカンダ」
王としてではなく、親友としての頼み。それを聞き、スカンダは悩ましいと言うのがわかる表情を浮かべる。だが、そんなスカンダの肩をローズが掴んだ。
「スカンダ、悩む必要あるか?」
「いや、悩むだろう。悩むどころか速戦即決だ。大切な兵士を」
「うちのやつも急に昨日言い出してな。最初は困惑したがあいつらにも理由がある。なら、王としてそこはどしんと構えるべきだぞ」
ローズに耳うちされ、スカンダは考えた。いつもの自分ならすぐにでも許可を出す。だが、今は戦争の前、体験したことのないことの前にもしもがあっても困る、そう思うと乗り気にはなれなかった。
「シャロン、ジャン、ターニャあんた達はどう思う?」
「私は賛成~。大丈夫、うちのヴィクターが死ぬ以外は治してくれる」
「ふむ、自分もいざこざがあってから衝突するよりも今それを消化できるならしてしまった方がいいと思うぞ」
「私はノーコメントで」
三人の王も概ね、賛成の意見であり、スカンダは再びため息を吐くも覚悟を決めたのかジータの申し出の答えを出した。
「分かった、スカンダ・アポカリプスが了承する。一応聞くぞ、バサラ、あんたはこの決闘受けるのか?」
スカンダの問い、それにバサラは迷い無く応えた。
「勿論、スカンダ殿、あなたが了承すれば受けるつもりだ。そして、それが下りたと言うのであれば、ジータ・グランデ、彼女の決闘の申し出、受け入れよう」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる