【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

五話 High voltage! 其の肆

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「何故、笑える? 何が可笑しい」

 ヴォルカヌスはそう言うと距離を取ると地面に突き刺さっていた得物を手にし、構えた。

 ヴォルカヌスの問いに対して、血だらけで腕がない状態ながら、嬉しそうに答える。

「何故、君は分かっていないのかい? 私の手から離れた神と言う存在が、人の様に成長している! 人として生きた神はこうも成長するのか! この事実だけで私にとっては喜ばしい事なのだよ。ヴォルカヌス、分かるかい? 手放した混沌が芽吹き、それが私に刃を向ける、素晴らしい、素晴らしいじゃぁないか! 次に世界を作り変える時は人の中に神を生もう。そうすれば君達はより良い種族となるぞ~! 今から楽しみだ!」

 翡翠の美しい目からはありえざるほど、ドス黒い何かを奥に宿しており、ヴォルカヌスはそれに気圧された。ここまでやってもまだ、自分の先を考えており、彼女にとっての死が近付いていない、いや、近付けていないと感じるとヴォルカヌスの頭にジワジワと黒いモヤが過ぎる。

 (迷うな、まだ、奥の手はある。今ある手札を切れ! 全力で殺せ!)

 ヴォルカヌスが次の神器に宿る神技グランスキルを解放させようとした時、それよりも速くナナシが口を開いた。

「我が運命は聖者、施すは真愛、目覚めるは救世主。共鳴器・救世真愛セイヴァーよ、我が運命の導に従い解き放て。その神なる姿を」

 主の言葉に応じて、救世の剣は真の姿を現す。両刃の剣はナナシの背丈同様に大きくなり、彼女を覆うほどの大剣へと変化する。

 ヴォルカヌスはその言葉を聞いた瞬間、切り札である神技グランスキルの使用を決めた。

偽技フェイクスキル全知全能の神G・オールマイティ

 手に握ったのはユピテルの持っていた神器。

 そして、ヴォルカヌスは見せる。
 かつてバサラを追い詰めた最強の神技グランスキル、その模倣。

 ヴォルカヌスが剣を握った瞬間、その時が止まる。ゆっくりと流れる時間の中、右手で剣を携え、ナナシとの距離を詰めた。

(終わらせる、今ここで!)

 首元目掛けて剣を振るうもそれは壁の様な物に阻まれた。

「防御魔術か!?」

 時間の圧縮、それが終わり、目の前に急現れたヴォルカヌスにナナシは視線を送る。その視線には狂気共捉えられる様な好奇心が滲んでおり、血塗れでありながらヴォルカヌスは自分が追い詰められている様に感じた。

「おや、距離を詰めたのかい。なら、ちょっとばかり、乱暴しようか」

 その一言が終わるとヴォルカヌスは吹き飛ばされる。

 突き刺さった数々の武器達がバキバキとおられ、ヴォルカヌスは壁際に打ち付けられていた。

 (く、そ。なんだ、いまの)
 
 唐突に何かに弾き飛ばされたヴォルカヌスはチカチカとする意識の中、目の前のナナシから目を逸らさない様に彼女の方を見た。

 黒いフリフリとした服に、身を包んでいたナナシは人身の取れた両腕を見ながら、何かを呟く。すると、彼女の腕が宙に浮き、体にぐちゃりと音を立ててくっつけた。

「さてさて、ヴォルカヌス。君は私をとても満足させてくれた。褒美をやろう、何が欲しい」

 傷だらけであったナナシの体は完全に治っており、それを見てヴォルカヌスは思わず笑ってしまった。

(治癒魔術も使えるのか。ここまでして、届かない。いや、逆か。ここまでさせてくれたが正しい、か。クソ、なら、まだ、足掻くぜ)

 昔の自分なら、頑張るなんて事はなかった。人として三百年の時を生きたからこそ成長した結果、ヴォルカヌスは神技グランスキルを進化させた。

 人としての生が彼を、自分を成長させてくれたのだと、ヴォルカヌス自身が感じていた。

 だからこそ、そんな人を護りたい、そんな人が紡ぐ未来が見たい。

 ヴォルカヌスはそう思うと立ち上がると手に握る剣を前にし、声を上げる。

「なら、お前が死んでくれよ」

「太々しい神様だ。いいよ、なら、殺してあげる! ああ! 良い体験だ! 神殺し、自分の作品を壊す瞬間! 全て最高の体験だよ! ヴォルカヌス、見せてあげる。私の本気を」
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