199 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂
五話 High voltage! 其の肆
しおりを挟む
「何故、笑える? 何が可笑しい」
ヴォルカヌスはそう言うと距離を取ると地面に突き刺さっていた得物を手にし、構えた。
ヴォルカヌスの問いに対して、血だらけで腕がない状態ながら、嬉しそうに答える。
「何故、君は分かっていないのかい? 私の手から離れた神と言う存在が、人の様に成長している! 人として生きた神はこうも成長するのか! この事実だけで私にとっては喜ばしい事なのだよ。ヴォルカヌス、分かるかい? 手放した混沌が芽吹き、それが私に刃を向ける、素晴らしい、素晴らしいじゃぁないか! 次に世界を作り変える時は人の中に神を生もう。そうすれば君達はより良い種族となるぞ~! 今から楽しみだ!」
翡翠の美しい目からはありえざるほど、ドス黒い何かを奥に宿しており、ヴォルカヌスはそれに気圧された。ここまでやってもまだ、自分の先を考えており、彼女にとっての死が近付いていない、いや、近付けていないと感じるとヴォルカヌスの頭にジワジワと黒いモヤが過ぎる。
(迷うな、まだ、奥の手はある。今ある手札を切れ! 全力で殺せ!)
ヴォルカヌスが次の神器に宿る神技を解放させようとした時、それよりも速くナナシが口を開いた。
「我が運命は聖者、施すは真愛、目覚めるは救世主。共鳴器・救世真愛よ、我が運命の導に従い解き放て。その神なる姿を」
主の言葉に応じて、救世の剣は真の姿を現す。両刃の剣はナナシの背丈同様に大きくなり、彼女を覆うほどの大剣へと変化する。
ヴォルカヌスはその言葉を聞いた瞬間、切り札である神技の使用を決めた。
「偽技、全知全能の神」
手に握ったのはユピテルの持っていた神器。
そして、ヴォルカヌスは見せる。
かつてバサラを追い詰めた最強の神技、その模倣。
ヴォルカヌスが剣を握った瞬間、その時が止まる。ゆっくりと流れる時間の中、右手で剣を携え、ナナシとの距離を詰めた。
(終わらせる、今ここで!)
首元目掛けて剣を振るうもそれは壁の様な物に阻まれた。
「防御魔術か!?」
時間の圧縮、それが終わり、目の前に急現れたヴォルカヌスにナナシは視線を送る。その視線には狂気共捉えられる様な好奇心が滲んでおり、血塗れでありながらヴォルカヌスは自分が追い詰められている様に感じた。
「おや、距離を詰めたのかい。なら、ちょっとばかり、乱暴しようか」
その一言が終わるとヴォルカヌスは吹き飛ばされる。
突き刺さった数々の武器達がバキバキとおられ、ヴォルカヌスは壁際に打ち付けられていた。
(く、そ。なんだ、いまの)
唐突に何かに弾き飛ばされたヴォルカヌスはチカチカとする意識の中、目の前のナナシから目を逸らさない様に彼女の方を見た。
黒いフリフリとした服に、身を包んでいたナナシは人身の取れた両腕を見ながら、何かを呟く。すると、彼女の腕が宙に浮き、体にぐちゃりと音を立ててくっつけた。
「さてさて、ヴォルカヌス。君は私をとても満足させてくれた。褒美をやろう、何が欲しい」
傷だらけであったナナシの体は完全に治っており、それを見てヴォルカヌスは思わず笑ってしまった。
(治癒魔術も使えるのか。ここまでして、届かない。いや、逆か。ここまでさせてくれたが正しい、か。クソ、なら、まだ、足掻くぜ)
昔の自分なら、頑張るなんて事はなかった。人として三百年の時を生きたからこそ成長した結果、ヴォルカヌスは神技を進化させた。
人としての生が彼を、自分を成長させてくれたのだと、ヴォルカヌス自身が感じていた。
だからこそ、そんな人を護りたい、そんな人が紡ぐ未来が見たい。
ヴォルカヌスはそう思うと立ち上がると手に握る剣を前にし、声を上げる。
「なら、お前が死んでくれよ」
「太々しい神様だ。いいよ、なら、殺してあげる! ああ! 良い体験だ! 神殺し、自分の作品を壊す瞬間! 全て最高の体験だよ! ヴォルカヌス、見せてあげる。私の本気を」
ヴォルカヌスはそう言うと距離を取ると地面に突き刺さっていた得物を手にし、構えた。
ヴォルカヌスの問いに対して、血だらけで腕がない状態ながら、嬉しそうに答える。
「何故、君は分かっていないのかい? 私の手から離れた神と言う存在が、人の様に成長している! 人として生きた神はこうも成長するのか! この事実だけで私にとっては喜ばしい事なのだよ。ヴォルカヌス、分かるかい? 手放した混沌が芽吹き、それが私に刃を向ける、素晴らしい、素晴らしいじゃぁないか! 次に世界を作り変える時は人の中に神を生もう。そうすれば君達はより良い種族となるぞ~! 今から楽しみだ!」
翡翠の美しい目からはありえざるほど、ドス黒い何かを奥に宿しており、ヴォルカヌスはそれに気圧された。ここまでやってもまだ、自分の先を考えており、彼女にとっての死が近付いていない、いや、近付けていないと感じるとヴォルカヌスの頭にジワジワと黒いモヤが過ぎる。
(迷うな、まだ、奥の手はある。今ある手札を切れ! 全力で殺せ!)
ヴォルカヌスが次の神器に宿る神技を解放させようとした時、それよりも速くナナシが口を開いた。
「我が運命は聖者、施すは真愛、目覚めるは救世主。共鳴器・救世真愛よ、我が運命の導に従い解き放て。その神なる姿を」
主の言葉に応じて、救世の剣は真の姿を現す。両刃の剣はナナシの背丈同様に大きくなり、彼女を覆うほどの大剣へと変化する。
ヴォルカヌスはその言葉を聞いた瞬間、切り札である神技の使用を決めた。
「偽技、全知全能の神」
手に握ったのはユピテルの持っていた神器。
そして、ヴォルカヌスは見せる。
かつてバサラを追い詰めた最強の神技、その模倣。
ヴォルカヌスが剣を握った瞬間、その時が止まる。ゆっくりと流れる時間の中、右手で剣を携え、ナナシとの距離を詰めた。
(終わらせる、今ここで!)
首元目掛けて剣を振るうもそれは壁の様な物に阻まれた。
「防御魔術か!?」
時間の圧縮、それが終わり、目の前に急現れたヴォルカヌスにナナシは視線を送る。その視線には狂気共捉えられる様な好奇心が滲んでおり、血塗れでありながらヴォルカヌスは自分が追い詰められている様に感じた。
「おや、距離を詰めたのかい。なら、ちょっとばかり、乱暴しようか」
その一言が終わるとヴォルカヌスは吹き飛ばされる。
突き刺さった数々の武器達がバキバキとおられ、ヴォルカヌスは壁際に打ち付けられていた。
(く、そ。なんだ、いまの)
唐突に何かに弾き飛ばされたヴォルカヌスはチカチカとする意識の中、目の前のナナシから目を逸らさない様に彼女の方を見た。
黒いフリフリとした服に、身を包んでいたナナシは人身の取れた両腕を見ながら、何かを呟く。すると、彼女の腕が宙に浮き、体にぐちゃりと音を立ててくっつけた。
「さてさて、ヴォルカヌス。君は私をとても満足させてくれた。褒美をやろう、何が欲しい」
傷だらけであったナナシの体は完全に治っており、それを見てヴォルカヌスは思わず笑ってしまった。
(治癒魔術も使えるのか。ここまでして、届かない。いや、逆か。ここまでさせてくれたが正しい、か。クソ、なら、まだ、足掻くぜ)
昔の自分なら、頑張るなんて事はなかった。人として三百年の時を生きたからこそ成長した結果、ヴォルカヌスは神技を進化させた。
人としての生が彼を、自分を成長させてくれたのだと、ヴォルカヌス自身が感じていた。
だからこそ、そんな人を護りたい、そんな人が紡ぐ未来が見たい。
ヴォルカヌスはそう思うと立ち上がると手に握る剣を前にし、声を上げる。
「なら、お前が死んでくれよ」
「太々しい神様だ。いいよ、なら、殺してあげる! ああ! 良い体験だ! 神殺し、自分の作品を壊す瞬間! 全て最高の体験だよ! ヴォルカヌス、見せてあげる。私の本気を」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる