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第四章 人神代理戦争 霹靂
六話 High voltage! 其の伍
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治癒した左腕を前にして、ナナシはその指を鳴らした。パチリと音を立てるとその瞬間、ヴォルカヌスの体に切り傷が生まれる。
「救世真愛、その本質は親愛。君が最初に打ち、最初に産んだ最高傑作」
そう言うと再びパチリと指を鳴らし、ヴォルカヌスの体に傷がついた。
「能力は単純明快、斬撃を放つ。見えない斬撃をね」
パチリ、指を鳴らしてはヴォルカヌスは切り刻む。
「舐めるなよ!」
ヴォルカヌスはユピテルの神技を使う為に口を開いた。
「偽技、全知全能の神!」
時を圧縮し、世界の動きを止める。
ヴォルカヌスは止まった世界の中、ナナシを刻もうとするとその瞬間、彼の右腕が吹き飛んだ。
「な!?」
右腕にはユピテルの神器が握られており、それが手放された時、時間の圧縮は強制的に絶たれ、世界は元通りに動き出す。
「隣人を愛せよ。だが、愛と憎は表裏一体。この剣は愛を語るからこそ、相手に切り傷を施す。矛盾の中で産まれたのは凡ゆる事象を無視して刻む。ヴォルカヌス、君は自分が生んだ武器である救世真愛とは違う能力になっていると思っているね。違う、それは違うぞ。この剣は魂を知覚する。氣を捉えてるんだ。だから、私の斬撃は世界を圧縮しようが君を刻む。魂の世界の時は止めれっこないだろうしね」
余裕綽々と高弁を垂れるナナシ。しかし、ヴォルカヌスはそんなことを聞いても尚、残った腕ですぐさま次の武器を抜いた。
「だからと言って諦めるわけないだろ」
ヴォルカヌスはまだ諦めておらず、そんな彼を見て、ナナシは微笑むと救世真愛を自身の魔術で宙に浮かす。
そして、そこからは一方的であった。
全ての神器、そこに備わる神技、それらを用いてナナシにヴォルカヌスは立ち向かうも、一つまた一つと失っていく。
光速の一撃は防御魔術に阻まれ、海水の槍は斬撃に割かれ、神殺しの剛腕も自身が産んだ剣に刻まれた。幾十重にも重ねた攻撃が一切通じず、一切通されず、ただただ追い詰められる。
肉体は削られ、左足は無くなり、切り裂かれた箇所から大量の出血をしており、つい先ほどまで自分と相手の立場が逆転していた。
ヴォルカヌスは戦いの最中、自身が彼女に勝てないことを理解している。理解していても尚、抗った。
残った腕で神器を拾い、何度も何度もナナシにその刃を突き立てようとするもののその健闘虚しく否定された。
(なんとなく分かった。あの斬撃を喰らえば俺は死ぬ。涅槃静寂同様の能力が備わっている。片腕が回復しない)
殆どの武器が失われ、僅かに残った武器では彼女を傷つけるに至らないことは見ずとも知っていた。
たが、それでもヴォルカヌス、彼のその瞳に宿る炎は尽きない。
「今、俺がお前を倒せる手段は無い! だが! 俺は諦めない。鍛治士ヴォルガ、鍛治神ヴォルカヌスとして、最後の大勝負、最後の大仕事だ! 見せてやるよ、創造主!」
ヴォルカヌスの宣言にナナシは何も答えず、笑顔で指を鳴らした。
迫る斬撃、それに向かってヴォルカヌスは避けようとせず、いつのまにか残った腕には剣を打つための鎚が握られていた。
(魂の知覚、ナナシが言っていた言葉。俺、いや、俺達神であれば、それを捉えれる!)
***
ヴォルカヌスが魂というものを意識して目を瞑った瞬間、目の前に真っ白な空間が広がった。音も感じぬ静寂の中、ヴォルカヌスは呟いた。
「ここは。そうか、ここが魂の世界か。ここでならば、打てるのであろう、俺の最後の一振りが。素材は俺の魂、一太刀浴びせてやるよ」
意識すれば魂の世界は変化して、鍛冶場となる。そして、自分の身を焦がしながら、ヴォルカヌスは神として、人としてその剣、かつて神を殺した少年に託した剣を打った。
***
ヴォルカヌス、彼の腕には鎚では無く、その手には涅槃静寂が握られていた。
「バサラ、最後に力を貸してくれ」
ヴォルカヌスはそう言うと見えない斬撃を弾いた。もう一つの涅槃静寂、それはヴォルカヌスが自身の魂で生み出した究極の一振り。
魂を知覚することでヴォルカヌスは救世真愛の見えない斬撃を見ると彼は最後の一撃を加える為に構えた。既に足は無く、走ることなど出来ないからこそ、彼は仕掛けるのでは無く、ナナシを待った。
「ヴォルカヌス、君は今まで生み出した神の中でも最高傑作だ。褒美に受けて立ってあげる」
そんな、彼に己が生んだ刃の一撃をぶつけようとナナシは走り出す。神なる愛を与える為に、小細工一つも無しにヴォルカヌスとの距離を詰めた。
救世真愛に彼の魂を傷つけ、殺そうとする意思を込めると間合いに入った瞬間、ナナシは振るう。
殺意と愛が混ざり合う一太刀を。
ヴォルカヌスもまた、涅槃静寂を振るった。
そこに込めたのはかつての自分と今の自分。
二つの己を解き放つ。
涅槃静寂が救世真愛の刃を弾いた。
「うおおおおおお!!!!」
ナナシの重心がぐらりと揺れ、手元が空いた時、振り上げた涅槃静寂を彼女の体に叩き込む。
「救世真愛、その本質は親愛。君が最初に打ち、最初に産んだ最高傑作」
そう言うと再びパチリと指を鳴らし、ヴォルカヌスの体に傷がついた。
「能力は単純明快、斬撃を放つ。見えない斬撃をね」
パチリ、指を鳴らしてはヴォルカヌスは切り刻む。
「舐めるなよ!」
ヴォルカヌスはユピテルの神技を使う為に口を開いた。
「偽技、全知全能の神!」
時を圧縮し、世界の動きを止める。
ヴォルカヌスは止まった世界の中、ナナシを刻もうとするとその瞬間、彼の右腕が吹き飛んだ。
「な!?」
右腕にはユピテルの神器が握られており、それが手放された時、時間の圧縮は強制的に絶たれ、世界は元通りに動き出す。
「隣人を愛せよ。だが、愛と憎は表裏一体。この剣は愛を語るからこそ、相手に切り傷を施す。矛盾の中で産まれたのは凡ゆる事象を無視して刻む。ヴォルカヌス、君は自分が生んだ武器である救世真愛とは違う能力になっていると思っているね。違う、それは違うぞ。この剣は魂を知覚する。氣を捉えてるんだ。だから、私の斬撃は世界を圧縮しようが君を刻む。魂の世界の時は止めれっこないだろうしね」
余裕綽々と高弁を垂れるナナシ。しかし、ヴォルカヌスはそんなことを聞いても尚、残った腕ですぐさま次の武器を抜いた。
「だからと言って諦めるわけないだろ」
ヴォルカヌスはまだ諦めておらず、そんな彼を見て、ナナシは微笑むと救世真愛を自身の魔術で宙に浮かす。
そして、そこからは一方的であった。
全ての神器、そこに備わる神技、それらを用いてナナシにヴォルカヌスは立ち向かうも、一つまた一つと失っていく。
光速の一撃は防御魔術に阻まれ、海水の槍は斬撃に割かれ、神殺しの剛腕も自身が産んだ剣に刻まれた。幾十重にも重ねた攻撃が一切通じず、一切通されず、ただただ追い詰められる。
肉体は削られ、左足は無くなり、切り裂かれた箇所から大量の出血をしており、つい先ほどまで自分と相手の立場が逆転していた。
ヴォルカヌスは戦いの最中、自身が彼女に勝てないことを理解している。理解していても尚、抗った。
残った腕で神器を拾い、何度も何度もナナシにその刃を突き立てようとするもののその健闘虚しく否定された。
(なんとなく分かった。あの斬撃を喰らえば俺は死ぬ。涅槃静寂同様の能力が備わっている。片腕が回復しない)
殆どの武器が失われ、僅かに残った武器では彼女を傷つけるに至らないことは見ずとも知っていた。
たが、それでもヴォルカヌス、彼のその瞳に宿る炎は尽きない。
「今、俺がお前を倒せる手段は無い! だが! 俺は諦めない。鍛治士ヴォルガ、鍛治神ヴォルカヌスとして、最後の大勝負、最後の大仕事だ! 見せてやるよ、創造主!」
ヴォルカヌスの宣言にナナシは何も答えず、笑顔で指を鳴らした。
迫る斬撃、それに向かってヴォルカヌスは避けようとせず、いつのまにか残った腕には剣を打つための鎚が握られていた。
(魂の知覚、ナナシが言っていた言葉。俺、いや、俺達神であれば、それを捉えれる!)
***
ヴォルカヌスが魂というものを意識して目を瞑った瞬間、目の前に真っ白な空間が広がった。音も感じぬ静寂の中、ヴォルカヌスは呟いた。
「ここは。そうか、ここが魂の世界か。ここでならば、打てるのであろう、俺の最後の一振りが。素材は俺の魂、一太刀浴びせてやるよ」
意識すれば魂の世界は変化して、鍛冶場となる。そして、自分の身を焦がしながら、ヴォルカヌスは神として、人としてその剣、かつて神を殺した少年に託した剣を打った。
***
ヴォルカヌス、彼の腕には鎚では無く、その手には涅槃静寂が握られていた。
「バサラ、最後に力を貸してくれ」
ヴォルカヌスはそう言うと見えない斬撃を弾いた。もう一つの涅槃静寂、それはヴォルカヌスが自身の魂で生み出した究極の一振り。
魂を知覚することでヴォルカヌスは救世真愛の見えない斬撃を見ると彼は最後の一撃を加える為に構えた。既に足は無く、走ることなど出来ないからこそ、彼は仕掛けるのでは無く、ナナシを待った。
「ヴォルカヌス、君は今まで生み出した神の中でも最高傑作だ。褒美に受けて立ってあげる」
そんな、彼に己が生んだ刃の一撃をぶつけようとナナシは走り出す。神なる愛を与える為に、小細工一つも無しにヴォルカヌスとの距離を詰めた。
救世真愛に彼の魂を傷つけ、殺そうとする意思を込めると間合いに入った瞬間、ナナシは振るう。
殺意と愛が混ざり合う一太刀を。
ヴォルカヌスもまた、涅槃静寂を振るった。
そこに込めたのはかつての自分と今の自分。
二つの己を解き放つ。
涅槃静寂が救世真愛の刃を弾いた。
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