【完結！】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

第四章 人神代理戦争 霹靂

三十三話 人神代理戦争 其の拾捌 双英悪魔④

　辺獄マリーは先ほどの白いワンピースではなく、全身を分厚めのパーカー、両腕が見えなくなるほどのオーバーサイズの物に身を通していた。両手には爪と剣が現れ、背中に黒い翼が生えており、見たことも無い姿をした人形の何かに対して、ユース達は躊躇わずに自身が持つ得物を構えると最初に仕掛けてきたのは辺獄マリーであった。

　片腕の爪を三人に振るうとそれに対して、ユースがアレックスを使い、その角で防ぐ。その瞬間にトオルとラビが動いた。

　ラビは彼らから遠ざかり、トオルは手の中に生み出した剣を握りしめ、辺獄マリーへと振り下ろす。

　辺獄マリーは残った腕を地面に置くとその腕についていた剣の能力を使うために呟いた。

「阿鼻ドラギニャッツォ・剣山スパイン」

　トオルに対して、地面から現れた剣が放たれると彼はそれを手に握る剣で破壊した。トオルは辺獄マリーから遠ざけられると初めにユースから落とそうと大きく伸びた三つの爪を彼に向けて振るった。

　ユースはグロウを使い、防ぐもその瞬間、辺獄マリーは口を開く。

「黒縄ジュデッカ・首吊り男ハングドマン」

　ユースの首は太い紐に括られ、次の瞬間、彼の体が宙に引っ張られた。あまりにも唐突でありながらユースは武器を捨て、自身の指を紐の間に挟めており、何とか生存を繋ぎ止めるも彼の体目掛けて辺獄マリーは容赦無く追撃する。

「叫喚マラコーダ・砲撃インパクト」

　両手を前に構えるとブカブカとした腕の裾が真っ直ぐになり、それから炎の玉が二つ同時に放たれた。無防備なユース目掛けて飛んで行く火の玉、それが当たる直前に、彼を吊るしていた紐が切り裂かれた。

　ラビが放った風の矢が当たる直前を狙って、紐を切り落とすと火の玉は別に場所に当たり、爆発する。辺獄マリーは自身が自由に動けるのが嬉しいのかケラケラと笑いながら落ちているユースに狙いを定めるもの次の瞬間、彼女の左腕が視界から消えた。

「あら」

　辺獄マリーの腕、それを切り落としたの漆黒の鎧に身を包んだトオルであり、先程、剣の山を全て破壊して彼女の下に現れたのであった。

「カラス！　初めて腕が取られちゃった！」

　辺獄マリーはそう言うと既に彼女を倒すためにトオルは倶利伽羅クリカラの能力を使い、一瞬にして武器を生み出す。

「 黑鎧武装コクガイブソウ、大剣ブラックブレイド」

　辺獄マリーを一刀両断出来るほどの大きな剣を作り出すとトオルは右腕目掛けて振るった。

　防ぐには右腕それを使うしか無く、辺獄マリーはそれを受け止め、両腕を失う。

「あらま」

　間の抜けた一言を残すもトオルはユースとラビに叩き上げるために大声を上げた。

「ユース！　ラビ！　畳み掛けるぞ！」

「了解！」

「承知しました！」

　ユースは吊し上げられた痛みを抑え、盾と剣を握り、辺獄マリー達が居る場所へ走り出す。ラビは彼らに狙いを定めると風の矢を番った。

　三人の同時の攻撃が放たれ様としたその時、辺獄マリーは地面に目掛けて踵落としをした。

「割れ、第六階層悪魔重撃ハイデーモンズインパクト」

　衝撃波が近付く二人のみならず、矢を番うラビにすら響くと彼らは同時に教会の壁へと吹き飛ばされた。

「ぐは」

「がは」

　ラビとユースが声が上がるもトオルだけは自身の身を 黑鎧武装コクガイブソウにより厚くすることで痛みをほぼ失くすと辺獄マリーはいつの間にか悪魔祓いエクソシストの横に立っていた。

「ねえ、カラス、十字架ちょうだい」

　辺獄マリーが無くなっていた両腕を前に知ると悪魔祓いエクソシストはトオル達が自分達を殺してくれると信じて彼女に残っていた三つの第六階層悪魔を出した。

「辺獄マリー、存分に楽しんでおいで」

「うん！」

　辺獄マリーは既に持つことは出来なくなっていた十字架をカラスに食べさせてもらうと全てを飲み込んだと同時に声を上げた。

「第七特異階層十字三段階解放、祈れ、私こそが辺獄マリー・堕天サタン。厄災たるその御身であるぞ」