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第四章 人神代理戦争 霹靂
四十話 人神代理戦争 其の弐拾参 拳闘聖女③
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青い炎を纏いし槍が向かい来る拳闘士を迎撃する。青い炎を纏った刃はミカの体を切り裂いた。
(初めて、まともに傷がついた。これなら傷つけられる。出血させながら動き止めて、弱ったところでトドメをさす)
幾つも放ち続け、頬を、太ももを、鎧の無い部分を切り裂き、ミカを傷つける。
しかし、致命になり得る物以外に防御を割かず、ミカは最短距離を進み続けた。
「痛みとか無いんですか?!」
聖処女が声を荒げるながら青い炎での迎撃をやめず、全力で放ち続けた。
(まだ、まだ足りないのですか? このミカという女性、私同様、祈りを捧げる者。それがどうしてこんなにも痛みに強いのです? 私は、私が焼かれた時は痛くて、苦しくて、悲しくて、辛かったのに! 何故! 何故、あなたは進むのです!? 声も無く、悲鳴もなく! どうして!)
聖処女は思い出す。
灼熱に焦がされた、その身を、今も燃やされ続けるその体に宿る炎を。
国中の人が自分を見て、魔女と罵り、石を投げた。
それでも、自分は恨むことなく、その石を受け入れた。それでその人の苦しみが終わるのであれば、自分が受けて、祈る。
聖処女ダルク・ラ=ピュセルであった。だが、幾ら彼女が何も言わなくても限界はあったがその限界などはとうに昔に壊れていた。
そんな彼女が久しく感じていなかった、恐怖。理解を拒みたくなるほどのイカれているとしか思えない、何の恐怖もなく進んでくる敵を前に、人らしい感性が聖処女に戻り始める。
「どうして! 何で!」
失っていた恐れを感じ、肉体を燃やす灼熱に体が蝕まれていく。そんな中、彼女に恐怖を与えた存在は目の前に立っていた。
「ようやく、間合いですね」
切り裂かれた跡は数知れず、しかし、それら全てがミカの肉体の致命に至ることは無かった。
「憎しみ燻り」
「遅い」
ミカ・イゾルデ、彼女の拳は聖処女が放とうとした業火よりも早く振り抜かれる。
手に握っていた槍を挟むも吹き飛ばされると彼女を阻むように壁に叩きつけられた。
「な、に?」
聖処女の背後に現れたのはミカの運命、豊穣により生まれた土の壁。
「お互いに祈りましょう。相手の命を」
そこからは一方的であった。
ミカの間合い、その範囲は狭く、範囲攻撃をする敵とは相性が悪い。
そんな相性を壊し、進むための筋肉、鍛え抜かれた肉体に重ねられた努力の壁。
それらを持って、聖処女に向けて拳が振り下ろされた。
蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃。
重心がブレることは一切有らず、振り込まれる蓮撃はリズミカルなどでは無い、ただ無機質に常に注ぎ込まれる雨のよう。その一撃は四重となり、重なると肉体を揺らし、内臓を響かせ、抵抗を何もできなくさせた。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
防御を取ろうにも取ることすら許されない。動かせる槍を放とうが、剣を放とうが、背中に幾つもの剣と槍が刺さっているのにも関わらず、ミカの蓮撃は止まなかった。
3分間に及ぶ、蓮撃を最後にミカは聖処女に向けて最後の言葉を放つ。
「聖処女に祈りましょう。それが私なりの手向けです」
人の為の祈りを捧げるミカを見て、聖処女の目の前には優しい光が見えた。
(私が救いたかったのは人でも、誰でも、何でもよかった。いや、救われたかったのかな、私が、私自身が誰かに)
カツラギ・バサラとの戦いで触れた人の優しさ、そして、今、その弟子である四護聖ミカ・イゾルデの祈りによって何かに気付かされると彼女の拳を振り翳す姿を見て、悲しげに微笑んだ。
「ありがとう、ミカ・イゾルデ、私、あなたに会えて」
言葉の途中、拳は無慈悲に振り抜かれる。
作り出された壁に打ち付けられ、聖処女の戦意を喪失させる。聖処女の最後の一言は届かず、ミカは燃え続けていたヴィクターに急いで近づいた。
「何か言っていた気がしますが、まぁ、いいでしょう! ヴィクター様大丈夫ですか?」
(初めて、まともに傷がついた。これなら傷つけられる。出血させながら動き止めて、弱ったところでトドメをさす)
幾つも放ち続け、頬を、太ももを、鎧の無い部分を切り裂き、ミカを傷つける。
しかし、致命になり得る物以外に防御を割かず、ミカは最短距離を進み続けた。
「痛みとか無いんですか?!」
聖処女が声を荒げるながら青い炎での迎撃をやめず、全力で放ち続けた。
(まだ、まだ足りないのですか? このミカという女性、私同様、祈りを捧げる者。それがどうしてこんなにも痛みに強いのです? 私は、私が焼かれた時は痛くて、苦しくて、悲しくて、辛かったのに! 何故! 何故、あなたは進むのです!? 声も無く、悲鳴もなく! どうして!)
聖処女は思い出す。
灼熱に焦がされた、その身を、今も燃やされ続けるその体に宿る炎を。
国中の人が自分を見て、魔女と罵り、石を投げた。
それでも、自分は恨むことなく、その石を受け入れた。それでその人の苦しみが終わるのであれば、自分が受けて、祈る。
聖処女ダルク・ラ=ピュセルであった。だが、幾ら彼女が何も言わなくても限界はあったがその限界などはとうに昔に壊れていた。
そんな彼女が久しく感じていなかった、恐怖。理解を拒みたくなるほどのイカれているとしか思えない、何の恐怖もなく進んでくる敵を前に、人らしい感性が聖処女に戻り始める。
「どうして! 何で!」
失っていた恐れを感じ、肉体を燃やす灼熱に体が蝕まれていく。そんな中、彼女に恐怖を与えた存在は目の前に立っていた。
「ようやく、間合いですね」
切り裂かれた跡は数知れず、しかし、それら全てがミカの肉体の致命に至ることは無かった。
「憎しみ燻り」
「遅い」
ミカ・イゾルデ、彼女の拳は聖処女が放とうとした業火よりも早く振り抜かれる。
手に握っていた槍を挟むも吹き飛ばされると彼女を阻むように壁に叩きつけられた。
「な、に?」
聖処女の背後に現れたのはミカの運命、豊穣により生まれた土の壁。
「お互いに祈りましょう。相手の命を」
そこからは一方的であった。
ミカの間合い、その範囲は狭く、範囲攻撃をする敵とは相性が悪い。
そんな相性を壊し、進むための筋肉、鍛え抜かれた肉体に重ねられた努力の壁。
それらを持って、聖処女に向けて拳が振り下ろされた。
蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃、蓮撃。
重心がブレることは一切有らず、振り込まれる蓮撃はリズミカルなどでは無い、ただ無機質に常に注ぎ込まれる雨のよう。その一撃は四重となり、重なると肉体を揺らし、内臓を響かせ、抵抗を何もできなくさせた。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
防御を取ろうにも取ることすら許されない。動かせる槍を放とうが、剣を放とうが、背中に幾つもの剣と槍が刺さっているのにも関わらず、ミカの蓮撃は止まなかった。
3分間に及ぶ、蓮撃を最後にミカは聖処女に向けて最後の言葉を放つ。
「聖処女に祈りましょう。それが私なりの手向けです」
人の為の祈りを捧げるミカを見て、聖処女の目の前には優しい光が見えた。
(私が救いたかったのは人でも、誰でも、何でもよかった。いや、救われたかったのかな、私が、私自身が誰かに)
カツラギ・バサラとの戦いで触れた人の優しさ、そして、今、その弟子である四護聖ミカ・イゾルデの祈りによって何かに気付かされると彼女の拳を振り翳す姿を見て、悲しげに微笑んだ。
「ありがとう、ミカ・イゾルデ、私、あなたに会えて」
言葉の途中、拳は無慈悲に振り抜かれる。
作り出された壁に打ち付けられ、聖処女の戦意を喪失させる。聖処女の最後の一言は届かず、ミカは燃え続けていたヴィクターに急いで近づいた。
「何か言っていた気がしますが、まぁ、いいでしょう! ヴィクター様大丈夫ですか?」
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