【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

五十話 人神代理戦争 其の参拾参 戦鬼召使⑥

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 六波羅蜜パラミータ、その本質は無形。そこには何も無い水であり、それを如何にも変えることが出来る共鳴器。

 その第二共鳴解放セクンド・レゾナントは囚われる事でその姿を現した。

 召使サーヴァントの両腕にはそれぞれが対となる片割れの鋏の様な形をしている双剣が握られており、天空行進曲スカイ・シンフォニーの一撃を防いだ。

「良いね! 召使サーヴァント!」

 エイブラハムが嬉しそうにしているのとは逆に、召使サーヴァントは怒りを彼に向けた。

「良くねえよ、僕はぼんやりと生きていたのに、それなのに今は苦しくて仕方がない!」

「?! お前、さっきまでとキャラ変わったか?」

 エイブラハムがそう言うと彼の一撃を弾いた後、片割れの鋏を重ねて、巨大な一つの形にした。

(鋏?! 急に共鳴器が変わったと思ったらあれが第二共鳴解放セクンド・レゾナントってヤツか! 新しい能力が加わるとかなんとか。さて! どうくるか!)

 弾かれたにも関わらず、エイブラハムは再び天空行進曲スカイ・シンフォニー空間侵食プレデターブレイクを放とうとするも彼の全身に何かが駆け巡った。

 全身に至る違和感、その正体の答えはすぐに現れる。

六波羅蜜パラミータ勅線ライン

 鋏を思いっきり開き、それを閉じた。
 音よりも速く死の線がエイブラハムの肉体を刻もうと放たれる。

 違和感、それは死の危機感、命を脅かす瞬間に過ぎるもの。それを感じ取った瞬間、エイブラハムは体を下げた。次の瞬間、その両刃が閉じ、ジャギンと音を立てると壁を切り裂き、勅線ラインの道が刻まれていた。

 次に召使サーヴァントは縦に鋏を握ると再びその両刃が開かれた。

「まっずい?!」

 目では追えない、だからこそ、勘を頼りに右横にエイブラハムは飛ぶとなんとかその一撃も免れる。

「どいつも、コイツも自分で決めた道を進めて偉いなぁ! それが出来たら苦労もしないよ!」

 召使サーヴァントの言葉には怒りと後悔が混ざっており、彼の過去に何かあったのかをエイブラハムは察するもそんなことをお構いなしにと鋏を開いてはまた閉じた。

 あまりの速さに次、頬を掠め、エイブラハムは血を流すも彼は召使サーヴァントに近付くために徐々に一歩ずつ前に進んでいた。

「エイブラハム、あんたもそうだ! あんたは国を守るために戦えてる! 僕は、僕は何も無い! 何も無いからあの時の選択を下せた! 何かあったら! 彼女の愛を選択出来ていたら!」

 鋏が閉ざされる速度は速くなり、一度音が鳴る頃には二度目の攻撃が放たれ、徐々にエイブラハムの体を刻んでいった。初めに肩、次に肘、次に太もも幾つもの切り傷が生まれ、進んできたはずの距離もいつの間にか遠ざかっている。

(不味い、ここまで来て、あいつの攻撃の速度に追いつけない。空間侵食プレデターブレイクで防げしない、両方からほぼ同時に斬撃が飛んでくるせいで片方のみの空間を歪ませても結果として、もう片方が俺を攻撃してくる! 逆に俺のがあぶねえ。そうは言ってもここまで一瞬で形成逆転とは行かないが相手に持ってかれそうになるのは面倒だな!)

 エイブラハムはそう考えながらも幾つも放たれる鋏の斬撃をギリギリのところで躱し続け、なんとか首の皮一枚をつなげていた。そして、何かを決めたのか、彼は避けるのをやめ、天空行進曲スカイ・シンフォニーを構える。

「さっきから、色々ごちゃごちゃ言ってるがよ~。そんなに後悔し続けるくらいなら全部曝け出せや! 俺が話くらいは聞いてやらぁ! だが、その前にな、お前を今から一撃でのしてやる! いくぜ、俺の大一番! 勝負を下すは必殺の一撃! 構えろ、召使サーヴァント、火力勝負と行こうか!」
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