【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第五章 人神異界最終決戦

二十一話 人神異界最終決戦 其の弐拾壱

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***

 城壁に作り出されたのはその場にいた王達の運命を力に変化する炉心。富豪ミリオネアが共鳴器・金剛コンゴウが創造した装置であり、王達はその場に立つとその一人であるローズが真ん中にエルフの長から借り受けた決戦兵器の紙を置いた。それはただの紙であらず、五人の名だたるエルフが何百年もかけて、作り出すことができる七十二式連結決戦魔導砲ドミニオンバスタードである。それは本来であればエルフたちの魔力を用いて放つものであるが人が使うためにローズはバサラ達が時間を稼いでる間に組み直していた。

帰還者リターナーからの伝言は以上だ。僕は僕の仕事をこなす、そこに私情を挟まない。だから、あいつの意思を無駄にしないでくれ」

 ツツジはそう言うと連絡装置を切り、ローズは瞑っていた目をハッキリと開けた。

帰還者リターナーの覚悟、ちゃんと受け取るぜ。今から放つは王達の矜持、見せるぞ! 俺達、人間の可能性ってやつをよ!」

 その炉心装置には欠陥がある。
 それは使用者の運命の力を想定より、抜き取ってしまうこと。だが、それを五大王国の王たちは躊躇いなく、自分達がそこに立つと名乗りあげた。

 五人の王が囲いながら立ち、真ん中に立つローズはその軌道のための詠唱を始める。

「起動! 第十から第七十魔法陣連結!」

 城壁の外側には幾つもの魔法陣が生まれ、それらがバチリバチリと音を立てながら回転した。王たちの地面から光が溢れ、彼らの運命がエネルギーと変換され、その炉心となる。

 立つ間が長ければ長いほど彼らの力を吸い上げ、最悪、死に至らしめるものであるが王たちはそれに耐えた。自身の国の騎士達が命を削りながらも繋いだこの瞬間のために、自分達が出来ることを全力でやり切ろうと彼らもまた、神との戦いに参戦する。

「創世の終わり、数多の分岐をここに刻む! 砲台固定! 照準良し! ぶちかますぜ!」

 帰還者リターナーが自身の身を犠牲にしながらつなげたここまでの時間、それを無駄にしないためにローズは躊躇うことなく、目の前に現れた魔法陣に突きを放った。

「ドミニオンバスタード、発射ァァァァァァ!!!!」

 放たれた突きが魔法陣にぶつかった瞬間、城壁から全てを飲み込む蒼い光の柱が放たれた。

***

 ナナシはそれが纏う脅威を感じ取っていた。
 その一撃は完全に自身という存在を殺し得るものと。故に、再び自身が放てる最大火力、それをぶつけるために二つの得物に自身の権能を載せた。

「救世残光!!!!」

 ナナシが放つは二度、帰還者リターナーの腕を切り、バサラ達を苦しめた魂と現実の境の斬撃。これまで以上に空気の固定を先鋭化させ、自身の破壊されていた魂の防御機構を不恰好ながらに再構築すると王が放つ蒼き光に真っ向から対峙する。

 帰還者リターナーは既にナナシを逃さないことに全力を使うと力尽きており、ドミニオンバスタードの光に自ら巻き込まれに向かっていた。

 救世残光は魂と現実、その両方に自身が持つ権能全てを載せて放つナナシが作り出した奥義。帰還者リターナーが最初に放った無量辺処アーカシャ循環解脱サーキュレーションですら一方的に追い込み、その形を変え、ジータ、吟千代ぎんちよを戦闘不能に追い込んだ。

 一方、七十二式連結決戦魔導砲ドミニオンバスタード、それは魔法陣の多重連結による魔力の超加速を起こし、一気に解放させる異界ゴルドバレーきっての最終兵器。

 創造主ナナシが見出した極地とエルフが作り、人が見出した極地。その二つが打つかり合い、火花を散らす。蒼い光と黒と白の巨大な斬撃はお互いに引くこと無く、その衝撃が止めどなく溢れると地面を砕き、特殊な防御魔術のなされたミレニアム王国の城壁も同様に砕け始めた。

 そして、それは今、終わりを告げる。
 二つの光は混じり合い、溶け合うと巨大な爆発を起こした。

 空を裂き、青空から陽の光が眩い限りにその地を照らす。

「決戦魔術式も焼き切れてる、これで倒れてないなら」

 ローズはそう言うと自身の残った力で少しの魔術で偵察用の鳥を動かし、外の様子を見た。

 晴天が照らすのはその地に立つ、たった一人の存在であり、ローズは苦笑いする。

「嘘、だろ」

 その一言でその場にいた王たちは察するとスカンダがすぐにツツジに繋がる連絡装置に喋り出した。

「ナナシを仕留めきれなかった! すまない、俺たちの落ち度だ。だが、まだ、戦えると言うのであれば頼む、この世界を救うために、命を燃やしてくれ」

 ナナシはその地に立ちながら、崩れた城壁を捉えていた。自身に幾度も迫る死を前に、まだ見ぬ高揚と引き出せる力の深奥を見たことでナナシは自身の完成を確信する。

「さぁ、蹂躙だ。私が夢見た蹂躙を今、始めよう」

 ナナシが切れた片手と削られた肩を動かし、救世真愛セイヴァー・アガペー救世親愛セイヴァー・フィリアを空に構えた。

 それらを空気の固定化を使い、もう二振り生み出すとナナシは大気すらも切り裂く巨大な刃を四つ作り出す。

 崩れた城壁と誰もいない大地にナナシはその四つのつるぎを人類を滅ぼすために容赦無く振り下ろした。
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