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第4章 大学生、みいちゃんと出会った。
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いつしか存在感の薄まった太陽の下、夜は音もなく忍び寄る。随分と肌寒くなった夕暮れ前、歩き始めた午前とはうって変わって、風は容赦なく三人の肌を刺す。声の主は、老女と呼ぶのは憚られる、見るからに上品な白髪の婦人だった。
「どちら様?」
「おばあちゃん!」
こちらを警戒しているのか、少し距離を置こうとする婦人と、それに駆け寄るみいちゃん。止めようとしたときには既に走り出していたみいちゃんを、周も秀人も、ただ見ていることしか出来なかった。
「こんばんは。私たち、若葉学園の方から歩いて来たんです。」
静止している二人に変わって、琉依は柔らしく挨拶をする。
「あの、このおうちに十歳くらいの女の子はお住まいじゃないですか?」
躊躇いながら、しかし、婦人に言葉を挟む隙を与えずに、琉依は問いかける。一言一句を大切に、婦人に言葉を届けるために。婦人は困惑した表情を浮かべ、
「そんな子供はおらん。」
それを庇うように、いかにも頑固そうな、矍鑠とした殿方が前に出る。眉間に刻まれた皺は濃く、今まで歩んできた年輪を感じさせた。
「ねえねえ、おばあちゃん、おじいちゃん! ただいま!」
そんな空気など全く気にかけず、みいちゃんは一生懸命夫妻に話しかける。しかし……
「ねえ、どうしてこっちを見てくれないの?」
声は届かない。悲しそうに瞳を潤ませるみいちゃんの姿が、固まっていた周の体に再び熱を与えた。
「みいちゃん!」
思わず零れ落ちた、その悲痛な叫びを聞いた瞬間、糸が切れたように妻はその場に崩れ落ち、肩を震わせる。その手からこぼれ落ちた紙の束ーーそのうちの一枚がひらりと、秀人の足元に舞い落ちた。それを手に取ると、秀人は悼むように、静かに目を瞑る。
『みいちゃん、探しています!』
そう書かれた見出しの下にプリントされていたのは、綺麗な毛並みの、黒い猫の写真だったのだ。
「ねえ、みんな、どうしたの?」
訳も分からず泣き出しそうな、みいちゃんの震える声を、春の嵐が拐っていった。
「どちら様?」
「おばあちゃん!」
こちらを警戒しているのか、少し距離を置こうとする婦人と、それに駆け寄るみいちゃん。止めようとしたときには既に走り出していたみいちゃんを、周も秀人も、ただ見ていることしか出来なかった。
「こんばんは。私たち、若葉学園の方から歩いて来たんです。」
静止している二人に変わって、琉依は柔らしく挨拶をする。
「あの、このおうちに十歳くらいの女の子はお住まいじゃないですか?」
躊躇いながら、しかし、婦人に言葉を挟む隙を与えずに、琉依は問いかける。一言一句を大切に、婦人に言葉を届けるために。婦人は困惑した表情を浮かべ、
「そんな子供はおらん。」
それを庇うように、いかにも頑固そうな、矍鑠とした殿方が前に出る。眉間に刻まれた皺は濃く、今まで歩んできた年輪を感じさせた。
「ねえねえ、おばあちゃん、おじいちゃん! ただいま!」
そんな空気など全く気にかけず、みいちゃんは一生懸命夫妻に話しかける。しかし……
「ねえ、どうしてこっちを見てくれないの?」
声は届かない。悲しそうに瞳を潤ませるみいちゃんの姿が、固まっていた周の体に再び熱を与えた。
「みいちゃん!」
思わず零れ落ちた、その悲痛な叫びを聞いた瞬間、糸が切れたように妻はその場に崩れ落ち、肩を震わせる。その手からこぼれ落ちた紙の束ーーそのうちの一枚がひらりと、秀人の足元に舞い落ちた。それを手に取ると、秀人は悼むように、静かに目を瞑る。
『みいちゃん、探しています!』
そう書かれた見出しの下にプリントされていたのは、綺麗な毛並みの、黒い猫の写真だったのだ。
「ねえ、みんな、どうしたの?」
訳も分からず泣き出しそうな、みいちゃんの震える声を、春の嵐が拐っていった。
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