最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第17話

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「お、来たかい。装備は出来てるよ」

名前:大荒熊と荒猪の片手剣
効果:攻撃力+25、筋力+4、敏捷+2
説明
製作者アン:ワイルドベアー亜種とワイルドボアの素材から作られた片手剣。筋力値と敏捷値を上昇。

名前:大荒熊と劣狼の革鎧
効果:防御力+20、頑丈+3、敏捷+1、毒耐性上昇

名前:大荒熊と劣狼の小手
効果:防御力+10、頑丈+2、毒耐性上昇

名前:大荒熊と劣狼のズボン
効果:防御力+18、敏捷+3、頑丈+1、毒耐性上昇

名前:大荒熊と劣狼の靴
効果:防御力+12、敏捷+2、頑丈+1、毒耐性上昇

大荒熊と劣狼シリーズ
説明
製作者アン:ワイルドベアー亜種とレッサーウルフの素材をベースに、ワイルドボアとポイズンスライムの素材も使って作られた防具。頑丈値と敏捷値、毒耐性を上昇。

 なんか思ってたものより強い装備が出来てるな。
 これまで使っていた武器と比べると、約5倍の強さになる。

「これはすごいですね。正直予想外です。こんなに強い武器使っても良いんですかね」
「あんたが倒したのがそれだけ強かったってことさ。ある程度の腕があればあの素材を使って弱い装備になる方が難しい」

 そうは言ってもこれだけ性能の良い装備を作れるのは、アンさんの腕の高さがあってこそだろう。

「ありがとうございます。お金払いたいんですけど、いくらでしたか?」
「8万、いや、亜種だし10万Gくらいかねぇ」
「うっ、た、高い」

 まぁそれくらいするか、これだけ強いんだし

「いや、本気にしないでおくれよ。店で売るならそれくらいの価値ってことさ。素材は全部そっちの持ち込みで、あたしの手も空いてた。更に余った素材もこっちでもらってるし、あんたにもらったスライムと角ウサギの素材の分も少しだがある」

 アンさんは今値段を考えているような様子で、自分の作った装備を見ている。

「まぁざっと5,000Gくらいかね。あたしとしちゃあ4,000Gでも良いくらいさ。あんたが思ってるより鍛冶師は素材を集めるのが面倒くさいんだよ」

 随分と安くなった。もし最初に言われた値段だったら今からモンスター狩りと卵の孵化依頼をしばらくやることになってたな。

「良かったです。もし最初の値段だったら手持ちのお金じゃ足りなかったんで」

 そう言いながら俺は5,000Gを払い、早速自分に装備する。

「似合ってるよ。その装備でどんどん暴れな」
「ありがとうございます!」

 一時はどうなるかと思ったが、無事装備を更新できてよかった。

「じゃあウルとの約束通り、モンスター倒しに行くか」
「クゥ!」

 これなら多少の無理もできそうだし、もしかしたらボスもレベルを上げたらいけるかも?

「俺たちの当面の目標として、北の街への到達がある。だから今から北のエリアをどんどん奥に進んでいきたい」
「クゥ」
「あと良さそうなやつがいたら仲間にしたいって思ってるんだけど、まぁそれは一旦いいや」

 家があって、パーティーメンバーが埋まった後ならテイムはしやすいんだけど、どうしても最初の5枠は連れて歩かないといけないし、慎重に選ばないと。

「もしまた魔獣のタマゴを貰える機会があれば、そこで仲間を増やすのもありだな」
「クゥ!」

 さて、そんなこんなでこの前依頼で来た北の湖辺りまでやってきた。
 前はワイルドベアー亜種なんてモンスターとやりあったが、今回はどうなるかな。

「おいウル、また魚か?」
「クゥ!」

 道中も肉を落とすモンスターは積極的に狩りに行っていたから、本当に食べるのが好きなんだろう。
 俺がもっと美味しい料理を作ってやれれば良いんだが、お金を払えば美味い飯が食えることの多いゲーム世界で、料理スキルを上げる選択肢は無かった。

 今度やってみるか? いや、ウルみたいに食材だけ集めて誰かに作ってもらおう。今は自分で全部やろうとする段階ではない気がする。

「クゥ!」
「よし、じゃあこの先に行くか。注意しないと何があるかわからないからな」

 ゆっくりと先に進んでいく。たぶん出てきたとしてもワイルドベアー亜種レベルのモンスターはいないだろう。

 油断はしないが、過度な警戒もしない。

「おっと、これは強そうだな」

 ワイルドベアーの群れがいる、ように見えたが、実際には仲間っていうような感じでもない。

 ワイルドベアー達が大きな岩の近くに集まって、互いに牽制し合っている雰囲気すら感じる。 
 それはまるで、次は誰がこのエリアのトップになるのにふさわしいのか決めようとしているような。

「あそこを通るのはヤバそうだし、避けてこう」
「クゥ」

 おそらく俺がワイルドベアー亜種を倒したことが影響しているのだろう。
 ゲームだから狩り過ぎてモンスターがいなくなることはないと思うが、こうやってモンスター達にも物語があるのは面白い。

 俺達はワイルドベアー達に気づかれないように先に進んだ。

「おいおいおい、マジですか」
「クゥ……」

 そこに存在していたのは、誰がどう見てもボスだと分かる

 ……黒い獅子

 顔の周りを覆う立派なたてがみに、しなやかな身体は、魅入ってしまうほどの艶やかな黒

 無防備に横向きで寝転がり、顔だけをこちらに向けている

 まるでいつでも相手してやるよというように

 黒い獅子が寝転がっているのは岩の上であり、下から見上げなければならないこの状況は、強者が誰であるかを示しているようにすら感じられる。

「襲ってこないな」

 おそらくボスはある一定の距離に近づけば戦闘が始まるのだろう。
 もう少し進めば、岩1つ以外、木が一切生えていない場所に踏み入れることになる。
 ここがボスと俺たちとの境界線。踏み入れたら最後、倒すか倒されるまで出られない可能性が高い。

「ウル、引き返そう」
「クゥ!?」

 驚いた表情で俺を見た後、少し納得のいかないような、戦いたい気持ちを抑えるような、そんな様子が見られた。

 それでも俺の指示に黙って従ってくれるのは、ウルの優しさだろう。

「ウル、勘違いするなよ。後数時間後にもう一度ここに来る。その時はあいつを俺達で倒す」
「クゥ!」

 黒い獅子は俺たちに興味を無くしたのか、顔も伏せてしまった。
 
「じゃあ、戻ってあのワイルドベアー達全部倒すか」

 おそらく今のままではボスには勝てない。もっとレベルを上げて、出来るだけ勝率を上げたい。

 本来なら6人のパーティーで挑むものだろうが、俺達は2人だ。
 だが無いものを欲しても仕方ない。俺達2人であいつを倒すには、レベルを上げるのが一番手っ取り早くて確実だ。

「俺らは幸せものだな。ワイルドベアー亜種を倒したおかげで、本来まとまるはずの無いモンスターを一気に相手できる。そして何よりも全部自分たちがこれまでに起こした行動で、この状況が作り出されていると思うと、今までやってきたことは間違ってなかった!」
「クゥ!」

 こいつらワイルドベアーはどう考えても複数体同時に相手するモンスターではない。
 
 が、だからこそまとめて相手する必要がある。

「行くぞ! さっき言ったように俺の近くでウルも戦ってくれ!」
「クゥ!」

 ワイルドベアー達の前に俺とウルは突っ込んでいく。

『ガウウゥゥゥ!』
『ガアウゥゥ』
『ガウウウ!』……

 何体も俺達に襲いかかってくるが構わず真ん中の方へと進む。
 
「よし、全方位囲まれたが、逆に言うと俺たちも全方位に攻撃できるってことでもある」
「クゥ」

 もう追い詰めたぞと言わんばかりにワイルドベアー達が攻撃してくるが、その攻撃は単調で避けやすい。

「やっぱり連携はとれないよな。これならステータスを強くしたレッサーウルフの方が脅威だよ」

 そうは言っても、1回でも喰らえばピンチになってしまうのも事実。失敗しないように、慎重にワイルドベアー達と戦う。

「ウルもいいぞ。こいつらには氷魔法も効いてる」
「クゥ!!」

 ウルにも俺と同じようにワイルドベアーと戦ってもらっている。
 これはボス戦を見据えての練習だ。
 俺とウルの2人だけでは、前衛と後衛の役割を決めても、絶対にその通りにはならない。
 ウルにも接近戦で戦える力を磨いてもらわないと、すぐに崩壊してしまうだろう。

「キャウ!」
「ウル! 大丈夫か!」

 少しかすっただけだろうが、ウルにとっては初めての大ダメージ。すぐに動けるか心配だったが、

「クゥ!!」

 ダメージを与えてきたワイルドベアーにすぐさま反撃しているのを見て安心する。

「気を付けろよ。何度ももらっていいような攻撃じゃないぞ」
「クゥ」

 こうして俺達はワイルドベアーに囲まれながら、ボス戦に向けてレベルを上げるのだった。


 
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