最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第136話

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「あぁぁ、もう朝か」

 昨日は夜の9時頃に布団へ入り、今は朝の6時。なかなかすぐに眠れなかったことを考えても睡眠時間はバッチリだ。

「あと6時間後にははじめの街もプレイヤーでいっぱいか」

 俺はやることをやって、すぐにカプセルベッドへと向かう。

「今日は長くなりそうだな」

 言葉ではそう言いながらも、たぶん時間が過ぎていくのは早く感じるんだろうなと思いながら、俺はコネファンの世界へと入る。

「……いつもと違う天井だ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」
「皆おはよう」

 実際は部屋が変わっただけで天井にあまり変化はない。同じ家の天井なんてほぼ同じなのは当たり前だろう。
 ただ、いつもログインしてきた数秒しか見ていない天井でも、部屋が変わればちゃんと違和感を感じるんだなぁと少しだけ感動した。

「ユーマ、起きたのか?」
「あ、モニカさんおはようございます」
「おはよう、そろそろ晩ごはんだがユーマも一緒に食べれるか? お腹が空いてるなら先に食べても良いと思うが」
「皆と食べたいので待ちます」
「あ、ユーマおはよう! 布団貰ったよ、ありがとう!」
「使ってくれた?」
「ううん、まだ寝てないから使った人はたぶん居ないよ」

 そういえば夜が来ない日だったため、ゲーム世界で明日にならないと布団は必要無かった。

「確かにそっか。じゃあ最初に使ったのは俺なんだ」
「使い心地はどうだったの?」
「柔らかくて良かったけど、たぶん俺がプレイヤーだからか、眠たくなることはなかったかな」
「私が幼い頃実家のベッドに夢の羊毛が使われていたから、素晴らしさは知っている」
「え、どうだった?」
「すぐに眠れたな。あまり出回るような商品でもないから十数年で違う布団に変わったが、モルガも楽しみにしておくと良い」
「そっか、明日が楽しみかも」
「寝坊に注意しないといけないぞ」

 モニカさん達と話していると、キプロとハティ、サイさんが家に入ってきた。

「ユーマさん起きたんですか!」
「おはようございます!」
「2人ともおはよう。サイさんも布団を渡してくれてありがとうございました」
「いえいえ、私達はユーマ様からいただいただけですので」
「ユーマさん、今日少しだけ自分とキプロさんもモニカさん達のパーティーに付いて行ったんです!」
「お、どうだった?」
「ゴゴ」「ググ」
「先に席に着こう」

 ハティが今日の探索について話そうとしたが、ゴーさんとグーさんが食事を運んでくれたので、モニカさんの声により一度席へ着くことに。

「いただきます」
「美味しいです」「美味いな」「美味しい」……
「ゴゴ」
「ゴーさん、ベラさんのスイーツ店に新しい商品って出してる?」
「ゴゴゴ」
「まだ出してないのか。出す予定はあるよね?」
「ゴゴ」
「隣の畑はゴーさん1人で管理できる量に抑えてたと思うけど、グーさんも居るしもう全部使っていいから、色々育てたいのは好きに植えてって良いよ。あとこれからプレイヤーも多くなるし、今のうちにゴーさん印の商品も出していきたいから、色々試しに作ってみて」
「ゴゴ!」

 ベラさんにも今度話すが、果物を素材そのまま売るのに加えて、ゴーさんが作ったスイーツも販売させてもらいたい。
 ゴーさんは料理をするのが好きだし、お菓子作りも好きなため、アイスだけではなく色々なものを販売できたら嬉しいだろう。

「また出来たら教えてね。たぶんモルガの住んでた村から持ってきた水の解析もまだだろうし、色々やることはあると思うけど、無理のない範囲でグーさんと協力しながらやってみて」
「ゴゴ」「ググ」

 忘れる前にゴーさんには伝えたいことは伝えた。

「じゃあハティの話を聞いても良い?」
「はい!」

 俺が居なかった時間に、ハティがキプロに頼んで、一度モニカさん達の探索について行ったらしい。

「もう凄かったんですよ、モンスター達も「ハティ、ユーマにはモンスターの情報は言ったら駄目だ。それに場所もな」あ、そうでした」

 話したいことがあったのだろうが、俺がプレイヤーだから色々話せないこともあるのだろう。

「まぁたぶん分かります。結構こういう世界を経験してきたんで。俺達プレイヤーがまだ行けない場所とかの話ですよね。今分かってるので言うと、東の街の奥に俺達は行けないですし、そういう感じでこの街の外にもまだ行けない場所があるのは予想できます」
「……」
「もしかしたら抜け穴みたいなのがあったり、まだプレイヤーが誰も見つけてない道だったり、入ったら駄目な所を進んだら行けたりするのかもしれないですけど、俺はそういうのを探す気ないんで大丈夫ですよ」
「……」
「だからもうハティも気にしないで。俺も今のことは忘れるし、誰にも言わないから」
「……すいません」
「ハティが楽しかったのは伝わってきたから良かったよ」
「……はい」

 ずっとプレイヤーのために作られたこの街に、ベテラン冒険者が意外と多いことに俺は疑問を持っていた。
 フリーのサポーターこそ若い人が多いが、それ以外のパーティーを組んでいるようなNPCの冒険者は、初心者の冒険者には見えない人達ばかりだ。
 そしてそんな人達がこんな場所のモンスターを倒しても稼ぎにならないのになと、街で見かける冒険者の数に対して外で見かける冒険者は少ないなと、そう思っていた。

「こういうのもシステムで縛ってないのは新しいなぁ」

 もしかしたらハティのようなうっかり口が滑ったNPCから情報を拾って、色んな新しい道を見つけるというのがこのゲームの正規ルートの可能性もあるが、モニカさんが俺に言ったら駄目とハティへしっかり言ってたので、俺からはこれ以上聞くことはしない。
 それにたぶんだけど本当にまだ未実装だったりする場所はどうやっても行けないだろうし、ここで気になって北の街の周辺を色々探すのは時間の無駄になる可能性が高い。

「じゃあ言える範囲でどんなことをしたのか聞いても良い?」
「はい! まず自分がキプロさんに我が儘を言って、1回だけ探索に行ってく……」

 ハティが話すのを聞きながら俺達はゴーさんの作ってくれた料理を食べ、それが終わればまた他の人が話題を出して皆で話すという、楽しい夕食の時間を過ごすのだった。



「キプロはこれから装備を大量に作らないといけないのか」
「はい、今から帰ってまた作ります! ユーマさんにいただいた素材のおかげで装備はなんとか作れそうです!」
「あげようとしたらお金を出されたけどね」
「最近は素材を買えない鍛冶師も居るって聞きましたから、売ってもらえるだけでもありがたいですよ」

 プレイヤーの鍛冶師達が素材を買い占めることも少なくないらしく、特に鉱石系の素材は結構NPCの鍛冶師達がカツカツらしい。

「じゃあもう少しだけ時間あるし、グーさんも連れて掘ってくるよ。その後はクランの方で色々することが出てくると思うし、あんまりこっちで色んなことが出来なくなると思うから」
「いえ、そこまでしてもらわな「じゃあそういうことだから」」

 俺も第2陣が来る2~3時間くらい前からはクランメンバーと色々話したいし、先に採掘は終わらせておきたい。
 一応まだその時間までは12時間くらいの余裕はあるけど、このゲームは一瞬で時間が溶けるので早くやるに越したことはない。

「あ、明日だけ朝の訓練を8時、いや、7時半くらいからにしてもらって良いですか?」
「私は良いが、忙しかったらこっちでやっておくぞ?」
「体術を先にやっておきたいなと思って」
「ぼくもユーマの体術の授業は受けたい」
「そんな授業って言うほどのものじゃないけど」
「僕は大丈夫です!」
「ぼくも!」
「自分もいけます!」
「私からエマの方にも伝えておこう」
「じゃあ7時半からでお願いします。俺は今から採掘行って来るので!」

 1名先生役から生徒になってしまった魔術師も居たけど、体術を早いうちに学んでおけば、色々動きやすくなるだろう。

「まぁゲームで培ったものだから、ハティ達に合うかは分からないけど」

 そう思ったがハティ達もゲームの中の住人だし、吸収できることはあるだろうと思い直す。

「よし着いたな」

 そしてそんなことを考えながら歩いていると、採掘ポイントに着いた。

「てことでグーさんお願いします!」
「ググ」

 キプロと鉱石の話をしてた頃にはグーさんが自分の出番だろとでも言うように俺の方へ近寄っていて、ゴーさんもそうだけどうちのゴーレムは空気を読む力が凄い。

「お、原石。もう原石はゴーさんかグーさんに渡したら魔法の研磨機で磨いてくれる?」
「ググ!」
「じゃあ俺のも後で渡すけど、原石はグーさんのインベントリに入れたままでいいから。磨き終わったらまた渡してね」
「ググ」

 これでもう料理系はゴーさん、鉱石系はグーさん、農業系は2人一緒に頑張るって感じだな。

「ウル達も光ってる石があったら持ってきてくれ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」

 明るい南の街の探索は骨粉が出ないため効率だけを考えたら良くないが、俺とグーさんが掘っている間はウル達にも周りにある使えそうなそれっぽい素材を集めてもらって、皆各々が今出来る作業をするのだった。


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