存在しないフェアリーテイル

如月ゆう

文字の大きさ
6 / 81
第一章 始まりの始まり

第四話 対話と決断

しおりを挟む
 瞼を開いて最初に思ったことは「なぜ天井が岩ではないのか?」ということだった。
 起きてすぐにそんなことを考えてしまう自分を不思議に思い、私は覚えている限りで最も新しい記憶を探る。

 ――痛み、酷い悪臭、えも言われぬ不快感や生暖かい体温。
 私は気絶する前のことを、そして、これまで気絶していたことを思い出した。
 動悸が高鳴り、額にはびっしょりと汗が浮かぶ。

 ――気持ち悪い。――気持ち悪い。

 自然と右手が左胸へと伸び、何かに縋るように握りしめる。
 目を閉じ、深く息を吸い込む。吐いた息も、喉も、体も震えるが気にせず深呼吸を続けた。

 何度も。何度も。

 気がついた時には動悸も収まっていた。ずっと握りしめていたせいで生地は伸び、変なクセがついてしまっている。
 そこでようやく、私は服を着せられていることに気がつく。

「…………だぼだぼ」

 立ち上がった私は両手を広げてくるりと回り、服のサイズ感を確かめる。
 ふわりと翻る服の裾は、サイズが合っていないせいで私の膝をも隠していた。襟も余っており、ぐいと伸ばすと上から私の胸が丸見えである。男性用の大人服だということはひと目でわかった。

「ここは、どこ……だろう…………?」

 続いて辺りを見渡すと、私が今まで寝ていたベッドと簡素なテーブル、上着を掛けるクローゼットが目に入る。窓からこぼれる太陽の明かりが部屋を照らし、外からは賑やかな喧騒が聞こえた。誰かの家だろうか?  それにしても家具が少なすぎるような…………。

 私は思い切って窓へと近づき、外をのぞき込む。
 しかし、見えたのは建物の頭ばかりで様々な音は下から聞こえてきた。どうやら、ここは建物の二階部分らしい。
 道端を駆け抜けていく子供、荷物を抱える女性、武装をし方々に目を光らせる衛兵。そのどれもが人間族であることは意識しなくても分かった。

 誰がどんな理由でこのような状況を作ったのかはわからないけれど、私は本来来るべき場所へと連れられていたのだ。
 もう一度ぐるりと部屋を見渡すと、さっきまで私が寝かされていたベッドに腰をかける。

 ドアが開いたのはその時だった。


 ♦ ♦ ♦


 食材の買い出しやギルドへの報告など、昨日のうちにできなかった諸々の用事を終えると俺は借りた部屋へと戻ってきた。
 ドアノブを握りしめ、押手に力を込める。扉が開くと、そこには真紅の双眸がお出迎えをしていた。

 その瞳に怯えや敵意といった色は見えず、とりあえずは安心をする。少なくとも会話ができる状態ではあるようだ。

「そこの椅子に座って、待っててくれるか?」

 この部屋にあらかじめ備え付けられていたテーブルセットを指さすと、俺は手早く朝食の用意を始める。

 まずはバケットを手頃な大きさにカットすると、水平方向に三分の二ほどの切れ込みを入れる。続いて買ったレタスや酢漬けしておいた玉ねぎなんかと今朝採れたての新鮮な生魚を和え、適当に味を整える。
 所要時間は約五分。バゲットサンドの出来上がりだ。

 盛り付けた皿をテーブルに運ぶと、少女は言われたとおりに大人しく座って待っていた。ただし、大人用に作られた椅子なため、足が床に届かず大変愛嬌のある姿を見せている。

「ほら、食べてもいいぞ」

 そう言ってテーブル中央に皿を置くと、俺はバケットを一つ手に取り口に含んだ。

 …………うむ、やっぱり生魚はいいな。そもそも魚を食べる種族が少ない上に、食べるにしても何らか手を加えるのが主流だ。こうして、新鮮なものを食べられるなんて贅沢この上ない。

 黙々ともしゃもしゃ咀嚼をすること数分。もう一つ、とばかりにバケットに手を伸ばすと俺が食べた分以外で数が減っていないことに気がついた。

「なんだ、食べないのか?」

 二つ目を頬張りながらそう尋ねると、少女は困ったような泣き出しそうな顔に変化する。

「あの…………。…………あの、私実は…………その……」

 そう言い淀む少女に漂う空気は何やら重たい。少しでも場を軽くするため、俺は敢えて食事を続け身構えていない素振りを見せてみる。
 そう長くない時間を経て、二つ目のバケットも食べ終えようかという時。その間、ずっと言いにくそうに口ごもっていた少女の言葉がようやく動き出す。

「私は……ね…………。あの…………実は私……吸血鬼…………なの」

 言い終えた少女は宣告を待つかのような怯えた表情で俺の顔色を伺っていた。

「うん、そうみたいだね」

 その雰囲気を壊すように、軽い態度で流す。
 案の定、少女は驚いた様子を向けてきたがそこには関与せず俺は話を続けた。

「それで? 食べないのはそれが理由? 吸血鬼族といっても血の方が栄養効率が良いだけで、一応食材からも栄養は摂取できたはずだけど――やっぱり血の方がいいのかな?」

 間髪入れず話を進める俺に対して、少女はひとつ頷くことで返事をする。

「そう。じゃあもう少し待ってもらっていいかな? 少し君の話とかも聞いて現状確認しておきたいし、血はその後で、ってことで――」
「あの…………!」

 唐突に話を遮るようにして、質問が投げかけられる。

「あの、貴方は何も思わないの?」
「何、とは?」
「私は……私は吸血鬼で、すごく高いの。みんな私の正体を知ると、追いかけるし捕まえようとする。私をお金と交換するし、裸にだってさせられる…………」

 少女の告白に、部屋は静まる。
 そんな中、俺は素直に驚いていた。この子は小さい――まだ子供ながらも自らの価値を知っているのだ。自分が、吸血鬼というものがどういう立ち位置なのかをちゃんと理解している。

「たまに私を捕まえようとしない人もいる。けど、そんな人達は私を見て怯えるの。まるで私と関わすることを避けるように…………。けど、貴方はその誰とも違う。それはなんで?」

 正直に言うべきか俺は悩んだ。優しさや慈悲などといった心がないことを知ったら、この子は悲しむかもしれないからだ。
 けれど、この子は賢い。適当なことを言っても気づくのではないだろうか。

 …………ならば、俺は本心を語るべきなのだろう。

「んー。キツい言い方に聞こえるかもしれないけど、君がこれまで受けてきた事に対して俺は一切の興味が無い。どうでもいいんだよ、吸血鬼族はおろか他種族のことなんて。加えて金は必要な分くらい手元にあるし、身体を持て余すことも今のところはないからな」

 質問に答えテーブルに肘をつくと、少女の表情を観察する。自身への不当な扱いをされなかった理由が正義感からではなかったことに落胆するのか、はたまた自分のことなどどうでもいいと言われたことに悲しむのか。
 しかし、彼女はそのどれでもなかった。真っ直ぐにこちらを見据えると、再度質問を投げてくる。

「なら、貴方はどうして私を助けてくれたの?」

 その目は酷く純粋で、俺そのものを見ていた。

「…………別に。ただ胸クソ悪いものを見て、イラついたから殺しただけだ。助けたつもりはない」

 その目を見つめるのはどうにもむず痒く、ふいと俺は目線をそらした。腕を組み、深く椅子に座り込むと、本来話したかった話題へと戻す。

「さて、そろそろ俺の話はいいだろ。次は君の話だ。なぜ吸血鬼の君がこんな国にいて、どうしてあんな事になっていたのか、聞いてもいいか?」

 僅かに目を伏せた少女は、ポツポツと語りだした。


 ♦ ♦ ♦


 私は、ドワーフの国の奴隷だったの。えっ、いつから居たのか? …………分からない。気がついた時からそこにいたから。

 でね、そこではいっぱい検査とかされた。…………そう、血を抜かれたり変な言葉を復唱させられたり。けれど、結果が良くないみたいで何度も女官様に怒られたんだ。

 ……えっと、巫女様っていうのは私と同じ吸血鬼の人で、ドワーフの王様に認められて奴隷なのに何かすごい地位を得た人なの。私の先生でもあった。

 そう、そしたら今回ドワーフの王様が私を人間の王様にあげるんだって、献上品だって言ったみたいで。多分、私がいらない子だったからだと思うけど、巫女様も止めてくれなかった。

 それで、人間の国に運ばれてたら急に馬車が倒れたみたい。知らない男の人たちが馬車の荷物と私を森の中の洞窟に連れていったの。

 そのままいっぱい酷いことされて…………気がついたらここにいたみたい。


 ♦ ♦ ♦


 少女は話を終えると、唾を飲み込む。

「なるほどな、現状は理解した」

 一部知らない情報もありはしたが、概ねは聞いていた通りの出来事が起こっていたようだ。

「それで? 君はこれからどうしたいんだ?」
「…………えっ?」

 呆けた表情が俺を見つめる。

「私を、逃がしてくれるの?」
「そもそも捕まえた覚えはないよ」

 謂れのないことを言われ、思わず苦笑が漏れてしまった。

「俺は君の置かれている状況が知りたかっただけだ。それがわかった今、君がこれから何をしようが好きにしたらいいさ。さっきの質問も俺が聞きたかっただけだから、別に答えなくてもいいよ」

「…………けど、どうすればいいか分からない」

「そんなに難しい話じゃないだろ。直接自分の好きなことを考えるのではなく、大きな括りから絞っていけばいい。……そうだな、君の場合は奴隷に戻るか、奴隷から抜け出すか、の二択から話は始まる」

 少し考える素振りを見せた少女は、やがて一つの答えを口に出す。

「…………私、奴隷には戻りたくない」
「そうかい。それじゃ、今すぐにでも逃げればいいさ。まぁ、敢えてここに残るという選択肢もあるにはあるけどな」

 今や少女を捉えていた鳥籠はもう開けられたのだ。ただし、籠の外にはまだ部屋が広がっており、簡単には空へと逃がしてくれないだろうが。

「それは出来ないよ」

 そして、少女はそれに気づいている。

「なぜだ?」
「多分、私がここを出ようとすると門番の人に捕まっちゃう。私じゃここから逃げられない」

 やはりこの子は聡い。

「――けど、貴方なら出来るでしょ?」
「ほぉ、どうしてそう思ったんだ?」

 賢い子は好ましい。その事実が俺の口元を歪める。

「だって、私がここにいるから」

 そう何の迷いもなく言い切る姿は、ただ淡々と事実を述べているようで--。その姿に思わず笑いがこぼれた。
 少女は怪訝そうに口を開く。

「…………なんで笑うの?」
「いや、なんでもないよ」

 私がここにいる――私をこの国に入れたのだから、貴方ならこの国から私を連れ出せるとこの子はそう言っているのだ。
 なんて合理的な考えをする少女なのだろうか。

「それで? もし俺が出来ると言ったら、どうするんだ?」
「私を貴方の傍に置いてほしい。一緒に連れ出してほしいの」

 止めの一言だった。
 この子がどこまで理解しているかはわからない。だが、先の発言を聞く限りでは、おそらく俺が今後起こるであろうと予期していることを同じように危惧しているはずだ。
 それが出来るくらいには、彼女の現状把握能力と思考の発展性は凄まじかった。

「いいね! うん、気に入った」

 テンションの上がった俺は両手を広げ、少し仰々しい態度で話す。

「俺の名はレスコット=ノーノだ。レスとでも呼んでくれ」

 これからを共にする彼女に名を告げると、少女はおっかなびっくり手を挙げた。

「あの…………私、名前がない、の」

 聞けばなんでも、ドワーフの国では奴隷管理をしやすくするために名前ではなく番号を与えて、それを名称の代わりにするらしい。

「うーん、名前ねぇ…………」

 それにしても、人の名前付けというものは思ったよりも難しかった。
 結婚願望がない俺からしてみれば、もし子供がいたら――なんて妄想も特にしたことがなく本格的に悩む。

 一度、「自分で好きなのを決めてみれば?」なんて丸投げもしてみたが「よく分からない」の一点張りだった。
 なにかアイデアはないかと少女を改めて見ると、美しい金髪が目に入る。そういえば、この子を連れ出したときやけに月が輝いていたものだ。金色、月――。

「…………ルゥナー、だったな」
「えっ…………?」
「…………うん、決めた」

 直観的なひらめきを得た俺は、特に吟味もせずそのまま伝える。

「君の名前はルゥナー=ノーノだ。これからはルゥと呼ぼう」
「ルゥナー?」

 俺の発言を聞いて、彼女――ルゥは可愛らしく子首を傾げる。

「ルゥナーってのは、吸血鬼語で月って意味だ。綺麗な金髪だし、いい名前だろ?」
「……ノーノは? 貴方と同じ名前?」

 少し自信のある名前付けだったのだが、スルーされてしまった。少し悲しい。

「ノーノってのは、俺が育った孤児院の人の名だ。どうせ行くところもないんだし、うちの孤児院にでも所属していることにすればいいだろ」
「ふーん。ルゥナー…………。ルゥナー=ノーノ、ルゥ…………ふふ」

 せっかく答えてあげたというのに、当の質問者は生返事だった。だが、そう嬉しそうに名前を呟くとは、名付けたかいがあったというものだな。
 しばらくその可愛らしい様子を見つめていると、くきゅーという音が部屋に響く。
 音の出処――ルゥは真っ赤な顔をして俯いているので、俺から話を降ってあげた。

「そういや、まだ血をあげてなかったな。ほれ、お好きなところを噛みつきな」

 全身の力を抜いて身体を投げ出した俺を、ルゥはキョトンとした顔で見つめている。

「……………………いいの?」
「何が?」
「私たち吸血鬼に直接血をあげるのは危険だ、って」

 言われて、ようやく思い当たる。吸血鬼に体を差し出すことは、肉食の獣に自身を捧げることと同義のようなものだ。

「あぁ…………いや、気にしなくていい。俺が死なない程度になら好きなだけ飲んでくれて構わないし、もしそれ以上に飲まれるようだったら力づくで引き剥がすだけだから」
「…………それじゃ」

 ルゥは俺のそばに近寄ると、服の袖をめくり俺の腕に噛み付いた。
 プツリと肌が裂けた感触と鈍い痛みを感じる。僅かに、しかし、確かな量の血を吸われるという感覚はなんとも言い難いむず痒さがあり、つい引き剥がしたい衝動に駆られた。

 だんだんと血が抜けていくほど、体温が頭から下がっていくのが分かる。なるほど、これが血の気が引くという感覚なのかもしれない。それと同時に頭に溜まっていた熱も引き、思考が澄んでいくようだった。
 そんな学者然とした思考に耽ること数分。

「あの…………もう止めてもらっていい?」

 貧血スレスレの弱々しい声が部屋にこだました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。 剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。 彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。 「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。 これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。 【カクヨムでも掲載しています】 表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)

Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―

kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。 しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。 帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。 帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

処理中です...