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第1章 ラスラ領 アミット編
20 神様、あなたは
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目を覚ますと知らない天井……ではなく、よく知る天井、つまり自室だった。
そうだ。
僕はアイリーンから助けられたあの後、気を失って……
よかった……
生きている……
サラもリディアも無事だ……
安心すると、熱いものがこみ上げてきた。
無遠慮に涙が頬を伝う。
しばらくの間、涙の思うままに瞳の支配権を委ねてみた。
安心して、嬉しくて泣いたのはこれが生まれて初めてだった。
ベッドに横たわったまま、昨晩のベヒモスとの戦闘をぼんやりと思い出した。
あれは現実に起きたことなのだろうか。
結局はアイリーンさん……いや、アイリーンから救われる形で終結したのだけれど、僕にはあの戦闘である能力が覚醒……と言っていいのだろうか?
とにかく目覚めたことは確かだ。
呼び名があるものなのかはわからない。
けれど敢えて名前を付けるのならば〝予見〟と言ったところだろうか。
そう。
あれは確かに予見と言えるものだった。
大袈裟ではなく、僕はベヒモスの動きを読むことができたのだ。
何をきっかけにしたのかはわからない。
いや、〝読む〟というと違うのかな?
それが頭に直接伝わると言ったほうが正しいのかもしれない。
次は右、左にどのくらい、またまた右にどれくらい、そういった情報が頭の中に直に伝わる。
それも相手の動きの少しだけ直前で。
決して映像としてではない。
言葉として、思念として伝わるのだ。
しかしながら、目を開いている状態じゃないと映像は伝わらない。
意識的に〝予見〟したいときにしかこの能力は発動しないのだろう。
これは研究する必要性が有りそうだ。
はっきりとしているのは、熟練の剣士や魔術師が修練の末に手にするような、魔力の流れや筋肉の動きがどうこうって訳ではないということ。
これは突如不思議な技術として備わった、そんな確かで不確かな能力だということだ。
これは、ひょっとして〝3つの呪い〟の一つなのか?
アイリーンの場合はどうだった?
聞いたところによると、アイリーンの呪いは防御力が0になるというマイナスの要素が強かった。
しかし、その反動として得たものが膨大な魔力や詠唱を端折った魔術の発動だとしたら?
辻褄合わせとしてはいい線なのかもしれない。
アイリーンは防御力0の呪いと引き換えに魔術に関する能力を得た。
呪いの負荷が大きい分、相反する励振する部分が膨大な魔力なのだと仮説付けられるだろう。
しかし、それは神からの指示、『頑張って魔術を覚えなさい』。
それに従って努力を積み重ねた結果じゃないのか?
いや、こう考えたらどうだろう。
呪いの反動により、はじめから膨大な魔力を得ていた。
そして、それに加え神からの指示によって修練を積むことで、無詠唱の魔術や時魔術等の高等魔術の能力を習得することができた。
そう考えることもできるんじゃないか?
その証拠に神は『魔術を覚えろ』としか言っていない。
そうだ。
アイリーンは先天的なチート性能と、努力による後天的な成長で今の大魔術師の地位を確立したのだ。
もしかすると僕は、アイリーンの『努力を否定しない考察』を無意識に打ち出していたのかもしれない。
しかし、どんな理由があったとしても、努力は報われるべきなのだ。
対して僕はどうだろう?
神からの指示……?
まさか…………
僕は神からの言葉を思い出していた。
『お前は悪魔から呪われている。呪いは3つ。それは他を巻き込む強大で恐ろしい呪いだ。
ペリドットよ。目立たず慎ましく平凡に生きなさい。さすれば呪いは薄れ発動することも無い』
間違いない。
死にかけたことや、闘技場でのこと、それらの事件で僕の〝平凡〟は失われつつあった。
ベヒモスに一撃を食らわした瞬間に、とうとう僕の〝平凡〟は失われ〝非凡〟に成り下がってしまった。
5歳のときから守り抜いてきた平凡さが失われたのをきっかけに僕の呪いは発動。
呪いの反動であるプラスの要素〝予見〟が能力として具体化したということだ。
なんとも信じ難く浮世離れした考察だ。
けれどもこの世界を見てくれ。
世界には説明のつかない不可思議な存在や、それに伴った悪意、損得感情を無視した理、それらに触れることのできる魔術の存在。
それらが絡み合い作用しあっては、脈々と受け継がれる大河の様に世の中を形成してきたのだ。
世界は何ともアンバランスだ。
疑問はまだあった。
〝予見〟が呪いのプラスの要素だとして、僕の身体にはどんなマイナス要素が付与されたのだろうか。
アイリーンを例にすると、マイナス要素は致命的なものになっている可能性が高い。
それがはっきりとするまでは十分な警戒が必要だろう。
そして神が言った言葉『それは他を巻き込む強大で恐ろしい呪いだ』。
その一言が気にならずにはいられなかった。
神はアイリーンに対しては魔術の成長を助長させるように仕向け、僕に対しては呪いの発動を、つまりは予見も含めた能力の発動を阻害しようとした。
神様、あなたはアイリーンに一体なにをさせようとし、僕に一体なにをさせまいとしているのですか?
あなたは一体、何者なのでしょうか?
そうだ。
僕はアイリーンから助けられたあの後、気を失って……
よかった……
生きている……
サラもリディアも無事だ……
安心すると、熱いものがこみ上げてきた。
無遠慮に涙が頬を伝う。
しばらくの間、涙の思うままに瞳の支配権を委ねてみた。
安心して、嬉しくて泣いたのはこれが生まれて初めてだった。
ベッドに横たわったまま、昨晩のベヒモスとの戦闘をぼんやりと思い出した。
あれは現実に起きたことなのだろうか。
結局はアイリーンさん……いや、アイリーンから救われる形で終結したのだけれど、僕にはあの戦闘である能力が覚醒……と言っていいのだろうか?
とにかく目覚めたことは確かだ。
呼び名があるものなのかはわからない。
けれど敢えて名前を付けるのならば〝予見〟と言ったところだろうか。
そう。
あれは確かに予見と言えるものだった。
大袈裟ではなく、僕はベヒモスの動きを読むことができたのだ。
何をきっかけにしたのかはわからない。
いや、〝読む〟というと違うのかな?
それが頭に直接伝わると言ったほうが正しいのかもしれない。
次は右、左にどのくらい、またまた右にどれくらい、そういった情報が頭の中に直に伝わる。
それも相手の動きの少しだけ直前で。
決して映像としてではない。
言葉として、思念として伝わるのだ。
しかしながら、目を開いている状態じゃないと映像は伝わらない。
意識的に〝予見〟したいときにしかこの能力は発動しないのだろう。
これは研究する必要性が有りそうだ。
はっきりとしているのは、熟練の剣士や魔術師が修練の末に手にするような、魔力の流れや筋肉の動きがどうこうって訳ではないということ。
これは突如不思議な技術として備わった、そんな確かで不確かな能力だということだ。
これは、ひょっとして〝3つの呪い〟の一つなのか?
アイリーンの場合はどうだった?
聞いたところによると、アイリーンの呪いは防御力が0になるというマイナスの要素が強かった。
しかし、その反動として得たものが膨大な魔力や詠唱を端折った魔術の発動だとしたら?
辻褄合わせとしてはいい線なのかもしれない。
アイリーンは防御力0の呪いと引き換えに魔術に関する能力を得た。
呪いの負荷が大きい分、相反する励振する部分が膨大な魔力なのだと仮説付けられるだろう。
しかし、それは神からの指示、『頑張って魔術を覚えなさい』。
それに従って努力を積み重ねた結果じゃないのか?
いや、こう考えたらどうだろう。
呪いの反動により、はじめから膨大な魔力を得ていた。
そして、それに加え神からの指示によって修練を積むことで、無詠唱の魔術や時魔術等の高等魔術の能力を習得することができた。
そう考えることもできるんじゃないか?
その証拠に神は『魔術を覚えろ』としか言っていない。
そうだ。
アイリーンは先天的なチート性能と、努力による後天的な成長で今の大魔術師の地位を確立したのだ。
もしかすると僕は、アイリーンの『努力を否定しない考察』を無意識に打ち出していたのかもしれない。
しかし、どんな理由があったとしても、努力は報われるべきなのだ。
対して僕はどうだろう?
神からの指示……?
まさか…………
僕は神からの言葉を思い出していた。
『お前は悪魔から呪われている。呪いは3つ。それは他を巻き込む強大で恐ろしい呪いだ。
ペリドットよ。目立たず慎ましく平凡に生きなさい。さすれば呪いは薄れ発動することも無い』
間違いない。
死にかけたことや、闘技場でのこと、それらの事件で僕の〝平凡〟は失われつつあった。
ベヒモスに一撃を食らわした瞬間に、とうとう僕の〝平凡〟は失われ〝非凡〟に成り下がってしまった。
5歳のときから守り抜いてきた平凡さが失われたのをきっかけに僕の呪いは発動。
呪いの反動であるプラスの要素〝予見〟が能力として具体化したということだ。
なんとも信じ難く浮世離れした考察だ。
けれどもこの世界を見てくれ。
世界には説明のつかない不可思議な存在や、それに伴った悪意、損得感情を無視した理、それらに触れることのできる魔術の存在。
それらが絡み合い作用しあっては、脈々と受け継がれる大河の様に世の中を形成してきたのだ。
世界は何ともアンバランスだ。
疑問はまだあった。
〝予見〟が呪いのプラスの要素だとして、僕の身体にはどんなマイナス要素が付与されたのだろうか。
アイリーンを例にすると、マイナス要素は致命的なものになっている可能性が高い。
それがはっきりとするまでは十分な警戒が必要だろう。
そして神が言った言葉『それは他を巻き込む強大で恐ろしい呪いだ』。
その一言が気にならずにはいられなかった。
神はアイリーンに対しては魔術の成長を助長させるように仕向け、僕に対しては呪いの発動を、つまりは予見も含めた能力の発動を阻害しようとした。
神様、あなたはアイリーンに一体なにをさせようとし、僕に一体なにをさせまいとしているのですか?
あなたは一体、何者なのでしょうか?
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