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第38話 不吉の金瞳
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雲の切れ間から薄っすらと日が差し込む梅雨の中休みと言うべき空のもと、黒塗りのセダンが一台、力強く滑らかな動きを見せながら停車する。車に詳しくない者でも一目見れば高級車のそれと分かる上品さを湛えており、その威容はまるで黒鹿毛をなびかせる純血優駿を彷彿とさせた。運転席から黒スーツの男が出てくると、速やかに後部座席のドアを開ける。すると中から、鍔の大きな純黒の鍔の大きな帽子をその小さな頭にのせた白人の女が、実に優雅な仕草で降り立った。
「蒸すわね」
日本語で誰に言うでもなく無感動につぶやいた女の背は高く、立ち姿はまるでショーウインドウに並ぶマネキンのよう。顔には大きな黒いサングラス、全ての光を飲み込むような艶の無い漆黒のワンピースを身にまとっている。首元を隠すハイネックでありながら、ノースリーブで背中開きというアンバランスなデザイン。さらけ出す肌は病的なまでに白く、しかし唇はナイフで切り裂かれ鮮血が噴き出る直前の傷口のように赤い。ワンピースと同色の肘丈長手袋の上から、左手首に細い銀のバングルが光っている。肩まで伸びる髪は、太陽に照らされた豊穣な麦を思わせる純金色髪。一見すると神聖的にも見えるが、女の全体的な印象はむしろ真逆の背神的といえた。
車を降りた女はヒールを鳴らしながら歩き出す。女のまとう漆黒のワンピースと同じ色の日傘をさした運転手が奴隷のように付き従い、女を陽の光から守る。やがて女の耳に、リズミカルなボールを打つ音、コートを駆けて擦れるシューズのスキール音、そして雄々しくも若さに満ちた者たちの、自らを鼓舞する声が届いてきた。近付くにつれて音も声も次第に大きくなり、ほどなくして女の目にテニスコートで奮戦する選手達の姿が映る。
コートを駆ける若い選手達を見て、女は赤い唇を歪ませた。
「ミス・アーヴィング、お迎えにあがれず大変申し訳ございません」
若い男が慌てた様子で駆け寄りながら、へりくだってそう言った。
「どうか気にしないで。予定していた時間より早く到着したものだから、暇潰しに散歩していただけよ。ミスター松岡はまだ仕事中でしょう? 彼らを見ながらゆっくり待たせて頂きます」
男の方を見もせず、しかし言葉は相手を気遣うようにアーヴィングと呼ばれた女が言う。
「それでしたら、是非こちらへ。弖虎・モノストーン選手も丁度試合中でして。冷たい御飲物などもご用意が御座います。どうぞ、ご案内いたします」
慇懃にそう言った男に促され、アーヴィングは歩き出す。彼はなんとしても自分の失態を取り戻さんとせんばかりにアーヴィングの顔色を窺い、ご機嫌を取ろうとする。あまりに必死なその様はまるで、地べたに這いつくばって許しを乞う下賤な奴隷のようにみえて実に滑稽だった。極東の片田舎に棲みつくアジア人の態度としては実に相応しいと、アーヴィングは胸中で嘲笑する。
「相手は誰?」
そんな心の内はおくびにも出さず、しかし数秒前に相手を気遣っていたような態度から一変した冷たい口調で問うアーヴィング。少しでも気の利く奴隷ならば、こちらから尋ねずとも弖虎が誰と試合しているのかを先に告げるものだが、こいつにそれを求めるのは犬に電話番をさせるぐらい無理な話だろう。
「若槻という選手です」
「ワカツキ……?」
最近どこかで聞いた気のする名だなとアーヴィングは思案する。日本人もそうだが、アジア人の名前というのはどうにも憶え難い。名前を聞く度、いちいち思い出してやらねばならぬ手間をかけさせられているようで、僅かながら不快感を覚える。
「あぁ、ワカツキ。確かテツマ、黒獅子を倒したって子ね」
アジア人にしてはそれなりに活躍している黒鉄徹磨のことは、アーヴィングの記憶にあった。その彼がどうやら非公式戦で年下の、それも同じアジア人に敗北したという話を思い出す。しかし彼女の記憶では、その試合は日本最大のテニスアカデミーであるATCの選抜テストであり、非公式戦であるばかりか1セット限りのものでしかなく、それ故に些事であると判断して重視しなかったのだ。
アーヴィングはその話を、徹磨以降これといって期待出来そうな新人が出てこないATCの出来レースだと見ている。マスコミを招かない選抜テストでひっそりとそういう話を作り、知る人ぞ知る事実を演出している辺りが実にATCの最高責任者である沙粧好みのやり方だ。現状、彼女らとは共同歩調を取っているが、やり方が少々回りくどいのは趣味に合わないとアーヴィングは感じている。
だが、少なくとも徹磨を使ってそういう話を作るだけの理由が、そのワカツキという選手にはあるのかもしれない。沙粧なりになにか狙いがあってのことだろう。協力関係にあるとはいえ、あの女は自分と同じ匂いのする人種だ。賢すぎるがゆえに、どうにも信頼がおけない。彼女がアジア人でなければ、きっと良い友人になれただろうにと残念に思う。
「あちらです」
眼下にコートを見下ろす観客席に案内されると、各コートで試合が行われている。手前のコートでは、弖虎の攻撃的なテニスになんとかついて行こうと奮戦する選手の姿があった。真剣なその眼差しには、やや焦りの表情が浮かんでいるように見える。スコアは彼が先行しているのにも関わらず、余裕はちっともない。どうやら、良い頃合いだったようだ。
「あなたはもういいわ。下がりなさい。間も無くリアルブルームの経営戦略部門担当官が来るでしょう。今度はしっかり、お出迎えなさい。お前も、しばらくは外しなさい」
若い男と、運転手の男が共にアーヴィングに言われてその場を後にする。
男たちがいなくなると、アーヴィングはおもむろにサングラスを外す。そこに現れたのは、くり抜いてそのまま装飾品になりそうなほど美しく輝く二つの金瞳。アーヴィングは無機質で硬質な光を宿すその瞳をくるりと動かし、コートで奮戦する全ての選手達を一瞥する。
(あぁ、なんて可愛い子供たち。自分が、自分こそが頂点を目指せると本気で信じているのね。いじらしい、健気だわ。そしてなんて愚かなんでしょう)
胸の内から込み上げてくるおかしさで、彼女の赤い唇が僅かに歪む。その様は、鮮やかな花びらで餌をおびき寄せる、食虫花のようだった。
★
自分の失点すら顧みずにひたすら強打を連発する弖虎のプレーに対し、心のどこかで甘く見ている部分があっただろうか?聖はそう自問しながら、ゆっくり水分を補給する。喉の渇きを覚えた時点で、身体の水分はかなり失われている。焦ってガブ飲みすれば動けなくなるので、一気に飲みたい気持ちを堪え、意識して少しずつ唇を湿らすように飲む。
第2セットのゲームカウントは3-2。まだなんとかリードを保っている。だが、次第にピントが合ってくるかのように弖虎の攻撃精度と確率が上がってきており、手が付けられないのが現状だ。
(最初のセットは身体があたたまってなかったってことか? ウォーミングアップのつもりでセットを捨てた? それとも、オレの守りが徐々に甘くなってる? あるいはそれら全部が原因か?)
考えたところで答えの出ない問いが、あれやこれやと湧いてくる。問題解決を計りたいのに、そういう変な思いついただけの疑問が聖の思考を妨害し、自身の方針を上手く導き出せないままコートチェンジ間の休憩が終わってしまう。
(守るにせよやり返すにせよ、いくらなんでも好き放題打たれ過ぎだ。もっと相手がやり辛いテニスをしなきゃ。自分のテニス云々はそのあと。自分が何をしているのか、相手が何をしてきているのか、まずは事実に目を向けなきゃ)
テニスは時に『ミスのスポーツ』と呼ばれる。それは自分から得点しに行かなくても、相手がミス、つまりネットかアウトをしてくれれば得点できるテニスの性質のためだ。逆に言えば、相手が何も仕掛けずとも、自分がミスをすればあっという間に勝敗が決まってしまうこともある。
テニスという競技で試合に勝ちたければ、まず自分がミスをしないこと、これが大前提にある。相手より先にミスをせず1球でも多く返球する。この精度を高めていくことで、いかに相手にミスをさせるか、自分のリスクを減らせるか、チャンスを作って攻撃に転ずるかといった駆け引きが産まれる。自分のミスが多い場合、前提が崩れて駆け引きどころではない。普通ならば。
強烈な打球音と共に、弖虎の打ったボールがライン際に落ちて跳ね上がる。食らい付こうと手を伸ばした聖のラケットは届かず、虚しく空を切る。
(こんなに、こんなに打ち続けることができるものなのか? どこに打とうが一番遠いライン際に叩き込まれたんじゃ、何もできないぞ……!)
相手コートで1バウンドさせたのち、相手がボールに触れず2バウンドすることをエース、あるいはウイナーと呼ぶ。相手がミスをする、自分がミスをしない、そしてエースを奪う。これが出来ればもちろん勝つことは可能だ。だが、相手にミスをさせたり、自分がミスをしないこと以上に、意図してエースを成功させるのは難易度が段違いである。
<野球なら全打者全打席ホームランかつ全部奪三振、バスケで言うならボール持った瞬間3ポイント成功、ボクシングなら当たれば1発KO、みてェな話だからな。それが出来れば誰も苦労しねー。まったく、大したヤロウだな?>
頭の中でアドが呆れるように言う。大したヤロウ、どころの騒ぎではない。こんなことが出来る選手だなどと全く思わなかった。勿論、聖は彼を見くびっていたなどというつもりは毛頭ない。強敵であろうことは予想していたし、今の状況を考えれば予想以上の強さだったと舌を巻いている。
お互いの力量が近くなればなるほど、簡単に勝負が決することはない。様子を見て、我慢しながら互いの手を読み合い、先んじて裏を掻き、時おりリスクを負って攻め立てる。どういう種類のスポーツであれ、そういうやり取りがあるからこそ人々は対人スポーツの魅力に惹かれるものだ。
(彼のテニスは、まるでそういうやり取りを完全に否定するみたいだ)
そう思わせるほどの、一方的な攻撃。単純に聖の実力が及んでいないがゆえに、弖虎からエースを奪われているだけなのかもしれない。だが、負け惜しみのようだと自覚しつつも、聖は自分と弖虎の間にそれほどの実力差があるとはどうしても思えない。序盤にミスを連発していたから、というわけでもなく、直感的な肌感覚としてそう感じるのだ。そしてそれ以上に、聖は妙な不快感、もしくはある種の理不尽さのようなものを弖虎のプレーから感じ取っていた。
(どうしてだろう? どうしてそう思う? 別に彼は何か不正を働いてるわけじゃない。こっちの際どいボールを露骨にアウトにしたり、こっちのジャッジにクレームをいうでもない。それなのに、なぜか、彼は自分以外の全てのテニスを否定してるような、そんな気がする)
聖の中で、得体のしれない感情が渦を巻いて大きくなっていく。
(彼は強い。この攻撃力だけなら徹磨さんにだって通用する。でも、どうしても……)
聖の打ったボールがネットの白帯に当たって高く大きく跳ねる。弖虎はまるでそれを予知していたかのように滑らかな動きで落下点に入ると、ボールが破裂しそうなほどの威力でスマッシュを放った。打ち上がったボールは、無人の観客席の方へ飛んで転がっていく。
(彼の強さを、素直に受け入れることができない……!)
★
近くにスタッフが入れば飛んでいったボールを取ってもらえるのだが、生憎とボールが飛んだ方向には誰も控えていなかった。聖はハンドジェスチャーで弖虎に待つよう示し、急いでボールが転がった方へ向かう。観客席に上がるとすぐボールは見つかった。というより、女性が一人そこにいて拾ってくれていたのだ。鍔の大きな黒い帽子と、喪服のように黒いワンピースを着た金髪の白人女性。その双眸は不吉なほど金色に煌めいている。
女性は無言のまま優雅な仕草で聖にボールを投げて寄越す。見覚えのない女性だ。合宿には関係者以外いないはずだが、最終日であることを考えると、誰かしら参加選手の出迎えにきた親族、あるいはテニスアカデミー関係者かもしれない。女性の他には誰もおらず、彼女を中心に鮮やかながらどこか生気を帯びない、無機質な造花を思わせる香りが漂っている。
「あ、ありがとうございます……」
彼女を見て、ATCの沙粧を思い浮かべた聖。目の前の女がかもしだす雰囲気は、ATCの総責任者である沙粧にどこか似ている。見た目はまるで違うのに、どうしたわけか、あの妖艶な白スーツの彼女の姿が脳裏を過ぎった。
(弖虎の母親……? いや、だって彼の母親は)
弖虎の母親であるリュシー・モノストーンという名の元プロ選手。彼女は現役時代にドーピング違反が発覚し、テニス界を永久追放されている。その後、家族を残したまま行方が分からなくなっているらしいと関西組が教えてくれた。聖としてはショッキングな話だったが、一緒に合宿に参加する仲間の家族に関する醜聞で妙な偏見を持ちたくなかったから、なるべく考えないようにしていた。無論、そんなことに思いを巡らせる余裕がないほど、苛烈な練習に没頭していたというのが事実なのだが。
「ホラ、早くいきなさい」
幽かに日本語とは異なるイントネーションを含んだその声色は、女性にしては低く冷たい響きを帯びている。彼女の金色に輝く瞳と目が合った瞬間、唐突にその声が蘇った。
――そのうち、解き明かしてみせましょう
聖は女に頭を下げ、そのまま逃げるように立ち去った。なぜ今、新星教授の声を思い出したのか、さっぱり分からない。だが妙な胸騒ぎがした。あの女とは決して関わってはいけない、そんな気がした。急いでコートに戻った聖の呼吸が乱れているのは、一気に駆けてきたからだろうか。それとも――。
弖虎は気だるげな様子でベンチに座っている。戻ってきた聖に気付くと、面倒くさそうに立ち上がって開始位置につく。特に怒っているような様子はないが、かといって試合に対して集中している風でもない。コンビニでレジ待ちでもしているかのように、その雰囲気はどこか忌々しげだった。
聖は弖虎に向かって先ほどと同じようなハンドジェスチャーをし、待たせたことを詫びる。だがそもそもボールを観客席まで跳ね上げたのは弖虎の方で、別に聖が謝るようなことではない。強いて言えば、そんなスマッシュを打たれるシチュエーションを招いたことに、僅かな責任が聖にもあるといえばあるかもしれない。
(さっきのでキープされて、カウントは3-3。キープしないとマズイ)
ボールを地面につきながら、状況を整理する聖。浅く乱れた呼吸を整え、集中力を取り戻そうと自分の中でゲームプランを組み立て直す。一瞬、後方の観客席で話し声が聞こえたきがしたが、振り返りたい気持ちを抑えて無視する。あの女が誰なのか気にはなるが、今は試合に集中しなければならない。
意図せず少し間が空いてしまったため、もしかすると最初の展開であえてサーブの出力を下げれば、強引な攻撃で弖虎がミスをするかもしれない。しかしそれは逆で、精度の上がりつつある今の彼にそれは危険だろうか、そんな風に聖の中で起こり得る可能性と起こって欲しい願望が混ざり合う。
(コースはどこを狙うべきだ? 中央か、外側か、それとも身体側か。相手のミスに期待しちゃダメだ。彼の攻撃は全て成功するつもりでいないと。なら、攻撃させ難い非利き手側に……ん?)
考えながら、聖がチラりと弖虎に視線を向けたとき、異変に気付く。弖虎の顔に、明らかな苦悶の表情が浮かんでいる。離れていてもハッキリと分かるほど、弖虎の色白い顔が紅潮していた。そして聖の見間違いでなければ、弖虎の首筋から顔面全体に至るまで、血管が浮き出ているように見えた。
(え……なに?)
異常はほんの一瞬だった。よく見ようと目を凝らした時には、弖虎の顔に浮かんでいたはずの血管は見えなくなり、紅潮していた顔も徐々に色味が失せていた。見間違いにしては、やけにハッキリ見えたと思う。だが、もう既に弖虎の様子に変わったところはない。それどころか、いつも以上に彼の存在感が薄らいだ気さえする。
(考えてもしょうがない。まずは最初、確実にいく!)
聖は考えるのをやめ、トスを上げる。地面を蹴り上げて生まれたエネルギーが、捻転する身体を伝わってボールに届く。推進力と回転力に変換されたエネルギーはボールに凝縮され、勢いよく打ち放たれた。
(次、来るぞ!)
サーブを打った瞬間から、聖は返球に備える。恐らく打ち終わりの隙を突くように、弖虎は一撃を狙ってくるだろう。相手が攻撃し難い場所に初手を放ったうえで、それでもなお攻撃を仕掛けてくると予想して行動に移す。自分の放つ手に相手がどう対応し、それに自分がどう応対するか。点ではなく線をイメージして聖は動く。
――だが。
リターンすべく構えていた弖虎が、サーブの着弾と同時に身体を地面へ沈みこませ、跳ね上がるボールと共に跳躍。自らボールへ襲い掛かるような恰好のまま、向かってくるボールを跳ね際で引っ叩く。サーブの威力を利用しつつ、自身のスイングパワーを乗せて一気に振り抜いた。
跳躍し撃墜する一撃
打ち抜かれたボールは、聖側のコートの角に突き刺さる。速過ぎるボールの威力で、フェルトがコート上の汚れを摩擦で削り取ったのだろう。ハードコートであるにも関わらず、そこには着弾の痕跡がついていた。
(なに……今の)
ボールが壁に当たって跳ね返り、コロコロと転がって聖の足下まで戻ってくる。着弾位置についたマークを見てから、弖虎に視線を向ける。彼はすでに次のポイントに備え、アドサイドのポジションについていた。あれほどのリターンを打ちながら、まるで何事もなかったかのように存在感薄く立っている。
(分からない。彼は一体、なんなんだ……?)
聖の目には、弖虎がまるで正体不明の、亡霊のように見えた。
続く
「蒸すわね」
日本語で誰に言うでもなく無感動につぶやいた女の背は高く、立ち姿はまるでショーウインドウに並ぶマネキンのよう。顔には大きな黒いサングラス、全ての光を飲み込むような艶の無い漆黒のワンピースを身にまとっている。首元を隠すハイネックでありながら、ノースリーブで背中開きというアンバランスなデザイン。さらけ出す肌は病的なまでに白く、しかし唇はナイフで切り裂かれ鮮血が噴き出る直前の傷口のように赤い。ワンピースと同色の肘丈長手袋の上から、左手首に細い銀のバングルが光っている。肩まで伸びる髪は、太陽に照らされた豊穣な麦を思わせる純金色髪。一見すると神聖的にも見えるが、女の全体的な印象はむしろ真逆の背神的といえた。
車を降りた女はヒールを鳴らしながら歩き出す。女のまとう漆黒のワンピースと同じ色の日傘をさした運転手が奴隷のように付き従い、女を陽の光から守る。やがて女の耳に、リズミカルなボールを打つ音、コートを駆けて擦れるシューズのスキール音、そして雄々しくも若さに満ちた者たちの、自らを鼓舞する声が届いてきた。近付くにつれて音も声も次第に大きくなり、ほどなくして女の目にテニスコートで奮戦する選手達の姿が映る。
コートを駆ける若い選手達を見て、女は赤い唇を歪ませた。
「ミス・アーヴィング、お迎えにあがれず大変申し訳ございません」
若い男が慌てた様子で駆け寄りながら、へりくだってそう言った。
「どうか気にしないで。予定していた時間より早く到着したものだから、暇潰しに散歩していただけよ。ミスター松岡はまだ仕事中でしょう? 彼らを見ながらゆっくり待たせて頂きます」
男の方を見もせず、しかし言葉は相手を気遣うようにアーヴィングと呼ばれた女が言う。
「それでしたら、是非こちらへ。弖虎・モノストーン選手も丁度試合中でして。冷たい御飲物などもご用意が御座います。どうぞ、ご案内いたします」
慇懃にそう言った男に促され、アーヴィングは歩き出す。彼はなんとしても自分の失態を取り戻さんとせんばかりにアーヴィングの顔色を窺い、ご機嫌を取ろうとする。あまりに必死なその様はまるで、地べたに這いつくばって許しを乞う下賤な奴隷のようにみえて実に滑稽だった。極東の片田舎に棲みつくアジア人の態度としては実に相応しいと、アーヴィングは胸中で嘲笑する。
「相手は誰?」
そんな心の内はおくびにも出さず、しかし数秒前に相手を気遣っていたような態度から一変した冷たい口調で問うアーヴィング。少しでも気の利く奴隷ならば、こちらから尋ねずとも弖虎が誰と試合しているのかを先に告げるものだが、こいつにそれを求めるのは犬に電話番をさせるぐらい無理な話だろう。
「若槻という選手です」
「ワカツキ……?」
最近どこかで聞いた気のする名だなとアーヴィングは思案する。日本人もそうだが、アジア人の名前というのはどうにも憶え難い。名前を聞く度、いちいち思い出してやらねばならぬ手間をかけさせられているようで、僅かながら不快感を覚える。
「あぁ、ワカツキ。確かテツマ、黒獅子を倒したって子ね」
アジア人にしてはそれなりに活躍している黒鉄徹磨のことは、アーヴィングの記憶にあった。その彼がどうやら非公式戦で年下の、それも同じアジア人に敗北したという話を思い出す。しかし彼女の記憶では、その試合は日本最大のテニスアカデミーであるATCの選抜テストであり、非公式戦であるばかりか1セット限りのものでしかなく、それ故に些事であると判断して重視しなかったのだ。
アーヴィングはその話を、徹磨以降これといって期待出来そうな新人が出てこないATCの出来レースだと見ている。マスコミを招かない選抜テストでひっそりとそういう話を作り、知る人ぞ知る事実を演出している辺りが実にATCの最高責任者である沙粧好みのやり方だ。現状、彼女らとは共同歩調を取っているが、やり方が少々回りくどいのは趣味に合わないとアーヴィングは感じている。
だが、少なくとも徹磨を使ってそういう話を作るだけの理由が、そのワカツキという選手にはあるのかもしれない。沙粧なりになにか狙いがあってのことだろう。協力関係にあるとはいえ、あの女は自分と同じ匂いのする人種だ。賢すぎるがゆえに、どうにも信頼がおけない。彼女がアジア人でなければ、きっと良い友人になれただろうにと残念に思う。
「あちらです」
眼下にコートを見下ろす観客席に案内されると、各コートで試合が行われている。手前のコートでは、弖虎の攻撃的なテニスになんとかついて行こうと奮戦する選手の姿があった。真剣なその眼差しには、やや焦りの表情が浮かんでいるように見える。スコアは彼が先行しているのにも関わらず、余裕はちっともない。どうやら、良い頃合いだったようだ。
「あなたはもういいわ。下がりなさい。間も無くリアルブルームの経営戦略部門担当官が来るでしょう。今度はしっかり、お出迎えなさい。お前も、しばらくは外しなさい」
若い男と、運転手の男が共にアーヴィングに言われてその場を後にする。
男たちがいなくなると、アーヴィングはおもむろにサングラスを外す。そこに現れたのは、くり抜いてそのまま装飾品になりそうなほど美しく輝く二つの金瞳。アーヴィングは無機質で硬質な光を宿すその瞳をくるりと動かし、コートで奮戦する全ての選手達を一瞥する。
(あぁ、なんて可愛い子供たち。自分が、自分こそが頂点を目指せると本気で信じているのね。いじらしい、健気だわ。そしてなんて愚かなんでしょう)
胸の内から込み上げてくるおかしさで、彼女の赤い唇が僅かに歪む。その様は、鮮やかな花びらで餌をおびき寄せる、食虫花のようだった。
★
自分の失点すら顧みずにひたすら強打を連発する弖虎のプレーに対し、心のどこかで甘く見ている部分があっただろうか?聖はそう自問しながら、ゆっくり水分を補給する。喉の渇きを覚えた時点で、身体の水分はかなり失われている。焦ってガブ飲みすれば動けなくなるので、一気に飲みたい気持ちを堪え、意識して少しずつ唇を湿らすように飲む。
第2セットのゲームカウントは3-2。まだなんとかリードを保っている。だが、次第にピントが合ってくるかのように弖虎の攻撃精度と確率が上がってきており、手が付けられないのが現状だ。
(最初のセットは身体があたたまってなかったってことか? ウォーミングアップのつもりでセットを捨てた? それとも、オレの守りが徐々に甘くなってる? あるいはそれら全部が原因か?)
考えたところで答えの出ない問いが、あれやこれやと湧いてくる。問題解決を計りたいのに、そういう変な思いついただけの疑問が聖の思考を妨害し、自身の方針を上手く導き出せないままコートチェンジ間の休憩が終わってしまう。
(守るにせよやり返すにせよ、いくらなんでも好き放題打たれ過ぎだ。もっと相手がやり辛いテニスをしなきゃ。自分のテニス云々はそのあと。自分が何をしているのか、相手が何をしてきているのか、まずは事実に目を向けなきゃ)
テニスは時に『ミスのスポーツ』と呼ばれる。それは自分から得点しに行かなくても、相手がミス、つまりネットかアウトをしてくれれば得点できるテニスの性質のためだ。逆に言えば、相手が何も仕掛けずとも、自分がミスをすればあっという間に勝敗が決まってしまうこともある。
テニスという競技で試合に勝ちたければ、まず自分がミスをしないこと、これが大前提にある。相手より先にミスをせず1球でも多く返球する。この精度を高めていくことで、いかに相手にミスをさせるか、自分のリスクを減らせるか、チャンスを作って攻撃に転ずるかといった駆け引きが産まれる。自分のミスが多い場合、前提が崩れて駆け引きどころではない。普通ならば。
強烈な打球音と共に、弖虎の打ったボールがライン際に落ちて跳ね上がる。食らい付こうと手を伸ばした聖のラケットは届かず、虚しく空を切る。
(こんなに、こんなに打ち続けることができるものなのか? どこに打とうが一番遠いライン際に叩き込まれたんじゃ、何もできないぞ……!)
相手コートで1バウンドさせたのち、相手がボールに触れず2バウンドすることをエース、あるいはウイナーと呼ぶ。相手がミスをする、自分がミスをしない、そしてエースを奪う。これが出来ればもちろん勝つことは可能だ。だが、相手にミスをさせたり、自分がミスをしないこと以上に、意図してエースを成功させるのは難易度が段違いである。
<野球なら全打者全打席ホームランかつ全部奪三振、バスケで言うならボール持った瞬間3ポイント成功、ボクシングなら当たれば1発KO、みてェな話だからな。それが出来れば誰も苦労しねー。まったく、大したヤロウだな?>
頭の中でアドが呆れるように言う。大したヤロウ、どころの騒ぎではない。こんなことが出来る選手だなどと全く思わなかった。勿論、聖は彼を見くびっていたなどというつもりは毛頭ない。強敵であろうことは予想していたし、今の状況を考えれば予想以上の強さだったと舌を巻いている。
お互いの力量が近くなればなるほど、簡単に勝負が決することはない。様子を見て、我慢しながら互いの手を読み合い、先んじて裏を掻き、時おりリスクを負って攻め立てる。どういう種類のスポーツであれ、そういうやり取りがあるからこそ人々は対人スポーツの魅力に惹かれるものだ。
(彼のテニスは、まるでそういうやり取りを完全に否定するみたいだ)
そう思わせるほどの、一方的な攻撃。単純に聖の実力が及んでいないがゆえに、弖虎からエースを奪われているだけなのかもしれない。だが、負け惜しみのようだと自覚しつつも、聖は自分と弖虎の間にそれほどの実力差があるとはどうしても思えない。序盤にミスを連発していたから、というわけでもなく、直感的な肌感覚としてそう感じるのだ。そしてそれ以上に、聖は妙な不快感、もしくはある種の理不尽さのようなものを弖虎のプレーから感じ取っていた。
(どうしてだろう? どうしてそう思う? 別に彼は何か不正を働いてるわけじゃない。こっちの際どいボールを露骨にアウトにしたり、こっちのジャッジにクレームをいうでもない。それなのに、なぜか、彼は自分以外の全てのテニスを否定してるような、そんな気がする)
聖の中で、得体のしれない感情が渦を巻いて大きくなっていく。
(彼は強い。この攻撃力だけなら徹磨さんにだって通用する。でも、どうしても……)
聖の打ったボールがネットの白帯に当たって高く大きく跳ねる。弖虎はまるでそれを予知していたかのように滑らかな動きで落下点に入ると、ボールが破裂しそうなほどの威力でスマッシュを放った。打ち上がったボールは、無人の観客席の方へ飛んで転がっていく。
(彼の強さを、素直に受け入れることができない……!)
★
近くにスタッフが入れば飛んでいったボールを取ってもらえるのだが、生憎とボールが飛んだ方向には誰も控えていなかった。聖はハンドジェスチャーで弖虎に待つよう示し、急いでボールが転がった方へ向かう。観客席に上がるとすぐボールは見つかった。というより、女性が一人そこにいて拾ってくれていたのだ。鍔の大きな黒い帽子と、喪服のように黒いワンピースを着た金髪の白人女性。その双眸は不吉なほど金色に煌めいている。
女性は無言のまま優雅な仕草で聖にボールを投げて寄越す。見覚えのない女性だ。合宿には関係者以外いないはずだが、最終日であることを考えると、誰かしら参加選手の出迎えにきた親族、あるいはテニスアカデミー関係者かもしれない。女性の他には誰もおらず、彼女を中心に鮮やかながらどこか生気を帯びない、無機質な造花を思わせる香りが漂っている。
「あ、ありがとうございます……」
彼女を見て、ATCの沙粧を思い浮かべた聖。目の前の女がかもしだす雰囲気は、ATCの総責任者である沙粧にどこか似ている。見た目はまるで違うのに、どうしたわけか、あの妖艶な白スーツの彼女の姿が脳裏を過ぎった。
(弖虎の母親……? いや、だって彼の母親は)
弖虎の母親であるリュシー・モノストーンという名の元プロ選手。彼女は現役時代にドーピング違反が発覚し、テニス界を永久追放されている。その後、家族を残したまま行方が分からなくなっているらしいと関西組が教えてくれた。聖としてはショッキングな話だったが、一緒に合宿に参加する仲間の家族に関する醜聞で妙な偏見を持ちたくなかったから、なるべく考えないようにしていた。無論、そんなことに思いを巡らせる余裕がないほど、苛烈な練習に没頭していたというのが事実なのだが。
「ホラ、早くいきなさい」
幽かに日本語とは異なるイントネーションを含んだその声色は、女性にしては低く冷たい響きを帯びている。彼女の金色に輝く瞳と目が合った瞬間、唐突にその声が蘇った。
――そのうち、解き明かしてみせましょう
聖は女に頭を下げ、そのまま逃げるように立ち去った。なぜ今、新星教授の声を思い出したのか、さっぱり分からない。だが妙な胸騒ぎがした。あの女とは決して関わってはいけない、そんな気がした。急いでコートに戻った聖の呼吸が乱れているのは、一気に駆けてきたからだろうか。それとも――。
弖虎は気だるげな様子でベンチに座っている。戻ってきた聖に気付くと、面倒くさそうに立ち上がって開始位置につく。特に怒っているような様子はないが、かといって試合に対して集中している風でもない。コンビニでレジ待ちでもしているかのように、その雰囲気はどこか忌々しげだった。
聖は弖虎に向かって先ほどと同じようなハンドジェスチャーをし、待たせたことを詫びる。だがそもそもボールを観客席まで跳ね上げたのは弖虎の方で、別に聖が謝るようなことではない。強いて言えば、そんなスマッシュを打たれるシチュエーションを招いたことに、僅かな責任が聖にもあるといえばあるかもしれない。
(さっきのでキープされて、カウントは3-3。キープしないとマズイ)
ボールを地面につきながら、状況を整理する聖。浅く乱れた呼吸を整え、集中力を取り戻そうと自分の中でゲームプランを組み立て直す。一瞬、後方の観客席で話し声が聞こえたきがしたが、振り返りたい気持ちを抑えて無視する。あの女が誰なのか気にはなるが、今は試合に集中しなければならない。
意図せず少し間が空いてしまったため、もしかすると最初の展開であえてサーブの出力を下げれば、強引な攻撃で弖虎がミスをするかもしれない。しかしそれは逆で、精度の上がりつつある今の彼にそれは危険だろうか、そんな風に聖の中で起こり得る可能性と起こって欲しい願望が混ざり合う。
(コースはどこを狙うべきだ? 中央か、外側か、それとも身体側か。相手のミスに期待しちゃダメだ。彼の攻撃は全て成功するつもりでいないと。なら、攻撃させ難い非利き手側に……ん?)
考えながら、聖がチラりと弖虎に視線を向けたとき、異変に気付く。弖虎の顔に、明らかな苦悶の表情が浮かんでいる。離れていてもハッキリと分かるほど、弖虎の色白い顔が紅潮していた。そして聖の見間違いでなければ、弖虎の首筋から顔面全体に至るまで、血管が浮き出ているように見えた。
(え……なに?)
異常はほんの一瞬だった。よく見ようと目を凝らした時には、弖虎の顔に浮かんでいたはずの血管は見えなくなり、紅潮していた顔も徐々に色味が失せていた。見間違いにしては、やけにハッキリ見えたと思う。だが、もう既に弖虎の様子に変わったところはない。それどころか、いつも以上に彼の存在感が薄らいだ気さえする。
(考えてもしょうがない。まずは最初、確実にいく!)
聖は考えるのをやめ、トスを上げる。地面を蹴り上げて生まれたエネルギーが、捻転する身体を伝わってボールに届く。推進力と回転力に変換されたエネルギーはボールに凝縮され、勢いよく打ち放たれた。
(次、来るぞ!)
サーブを打った瞬間から、聖は返球に備える。恐らく打ち終わりの隙を突くように、弖虎は一撃を狙ってくるだろう。相手が攻撃し難い場所に初手を放ったうえで、それでもなお攻撃を仕掛けてくると予想して行動に移す。自分の放つ手に相手がどう対応し、それに自分がどう応対するか。点ではなく線をイメージして聖は動く。
――だが。
リターンすべく構えていた弖虎が、サーブの着弾と同時に身体を地面へ沈みこませ、跳ね上がるボールと共に跳躍。自らボールへ襲い掛かるような恰好のまま、向かってくるボールを跳ね際で引っ叩く。サーブの威力を利用しつつ、自身のスイングパワーを乗せて一気に振り抜いた。
跳躍し撃墜する一撃
打ち抜かれたボールは、聖側のコートの角に突き刺さる。速過ぎるボールの威力で、フェルトがコート上の汚れを摩擦で削り取ったのだろう。ハードコートであるにも関わらず、そこには着弾の痕跡がついていた。
(なに……今の)
ボールが壁に当たって跳ね返り、コロコロと転がって聖の足下まで戻ってくる。着弾位置についたマークを見てから、弖虎に視線を向ける。彼はすでに次のポイントに備え、アドサイドのポジションについていた。あれほどのリターンを打ちながら、まるで何事もなかったかのように存在感薄く立っている。
(分からない。彼は一体、なんなんだ……?)
聖の目には、弖虎がまるで正体不明の、亡霊のように見えた。
続く
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