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しおりを挟むそうすけが連れていってくれたのは、デパートなどの大型百貨店とは違う、いわゆる街中にあるファッションスーパーというやつだった。どちらかといえばファミリーや年輩のお客さんをターゲットにしたお店は、一階は普通の生鮮食品から、上の階は洋服や薬や本まで、ひとつの建物の中で、何でも買うことができるというから驚きだ。もちろん休日ということもあって、多少の混雑はあったが、それでもさっきさとりたちがいた駅前の複合型大型施設と比べたら、店内は比較的穏やかな空気が流れていた。最上階の一部の天井はドーム上になっていて、なんでも「ぷらねたりうむ」というものが見られるらしい。
ぷらねたりうむ? と訊き返したさとりに、そうすけはふふん、と笑った。「ま、楽しみにしてな」と言うそうすけに、さとりはこくこくとうなずいた。
「まずはさとの着替えだな」
「エスカレーター」に乗り、上の階へと上がる。
ほんとうは、さとりはまだこのエスカレーターというものに慣れてはおらず、ほんのちょっぴり怖かったのだけれど(なんだか落ちそうな気がしてドキドキしてしまうのだ)、あまり騒ぐと一緒にいるそうすけに恥ずかしい思いをさせてしまうので、叫び出しそうな気持ちを、口元にあてた手のひらにぐっと力を込めて、なんとか堪えた。
「さと」
そのとき、まるでさとりの気持ちを見透かしたみたいに、そうすけが手を差し出してきた。
さとりはぎゅっと唇を噛みしめた。ふるふると頭を振る。いくら物を知らないさとりだって、いい大人が手をつながないことくらいは知っている。それは恥ずかしいことなのだそうだ。でも……。
そうすけは、おや? という顔をしてから、何も言わず、手を引っ込めてしまった。
さとりはしゅん、とした。
おいら、ほんとうは、そうすけと手をつなぎたかった……。
さとりはちらっと、そうすけの手を見た。それから顔を上げて、正面を向いているそうすけの横顔を。手のひらにじわっと汗をかいてしまったので、ズボンに擦りつける。
鼓動がどきどきとなった。
さとりが、手をつなぎたいと言ったら、そうすけは嫌がるだろうか。
「そ、そうすけ……っ!」
心臓が、ぎゅんっと口から飛び出そうだった。
「ん?」
そうすけがさとりを振り向いた瞬間、エスカレーターは一番上に着いてしまった。
「ほら、いくぞ」
さとりは、がっくりと肩を落とした。
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