私の居場所

AKO

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021 10年後の再会

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それぞれが子育てに一生懸命だった。

みーたんの子供は中学生になり、同窓会に出席した。
こうちゃんの子供はまだ保育園だったが、まあここは父親と母親の違いだろう。

そして単なる飲み会だ。

バラバラと人が集まってくる。

みんなこうちゃんとみーたんが初めての再会であることを知っている。
サークル内でも一番のオシドリカップルだっただけに、別れたときの衝撃も大きかったが、なぜ別れたのかは誰も知らない。

ただ、こうちゃんがその後、廃人になっていたことと、みーたんが1年程度で結婚したことから、いろんな想像と噂だけはあった。

こうちゃんはみーたんが来るなら行かないと決めていた。
記憶喪失の間に何があったのか、何か電話で暴言を吐いていて、相手を殺そうとしたことを思い出していたから、自分が冷静でいられるのかわからなかったからだ。
その時はみーたんも殺して自分も死ぬつもりだったのかもしれない。そうしたら今夜みーたんを殺してしまうかもしれない。そんな葛藤だった。

しかし、あの結婚を伝えてくれた友であるさだおが言った。
「オレ、1番近くで見ていたと思うけど、もうお前なら大丈夫。自信持って言えるよ。当日はオレの横に座れよ。」


こうちゃんは出席することにした。
しかし心が不安定になるのを察した。
妻には悟られたくはない。

何て声をかけよう。
恐らく最低なところを見せていると思うから、プイッとされるかもしれない。そしたらぶち切れてしまうかもしれない。

当日の朝。
とても落ち着いているこうちゃんがいた。
「そうだ。匂いフェチだから、香水はやめておこう。同窓会だもんね。懐かしさがあった方が喜ぶよね。」
大人になってから付けている香水を、この日はしていかなかった。

みーたんを第1に思う、あの日のこうちゃんがそこにはいた。

少し席を離して座った。
お互いにチラチラ意識しているのはわかる。
皆は気を遣っているのもわかる。

みーたんがトイレに行った。
すぐに行くとバレバレだから、少し時間を置いてこうちゃんもトイレに向かった。

トイレに近いところでバッチリ会えた。

「あ、懐かしい匂いがするよ。」
先に声をかけたのはみーたんだった。

「うん。普段は香水をつけてるけどね。大人になったから。」
「へー、じゃあ今日はなんで?」
「そんなの理由は1つしかないでしょ。」
「え?」
「同窓会は懐かしむところだからだよ。」
「あ、なるほど。。。」

「幸せにしてるかい?」
「うん。こうちゃんは?」
「おかげさまで。」
「結婚して男の子が産まれたって聞いたよ。」
「うん。まだ小さいけどね。みーたんも男の子産んだって。」
「そうそう。もう中学生。」
「あ、そろそろ戻らないとだね。時間差で戻ろう。」
「うん。」

普通に再会を果たせたのであった。
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