妹の聖女召喚に巻き込まれて異世界に行ったら王弟に監禁されて愛妾にされました

茶味

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本編

4.広がる世界と違和感

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気がつくと、シルクのような肌触り良い夜着を着せられベッドに寝かされていた。ウィリアムと散々乱れた部屋とは別の場所だった。

ベッドサイドのチェストには紅い薔薇が3本、細身のグラスに生けられている。
淡い色で纏められた壁紙と家具。眩しい光に視線をやると、大きな窓があった。

部屋にウィリアムはいない。

重い腰を引き摺りながら駆け寄る。分厚いガラスのはめられた二重窓だったが、透明度が高く外がはっきりと見えた。

たくさんの薔薇が咲き乱れる庭と澄んだ水が湧き出る噴水、隅には白いガゼボがある。
広い庭は蔓薔薇の這う白壁に囲まれていた。

絵画のように美しい景色。不自然なまでに整えられた空間に怖さを覚え、そっと離れた。

改めて部屋を見渡す。凌辱受けていた部屋と違い、ドアがあった。
ゆっくりと近づき、耳をあてる。何も聞こえない。何の気配もない。
音を立てないように慎重にドアノブを回す。鍵はかかっていなかった。

薄く開けてドアの外を伺う。細く開けた隙間の先はバスルームのようだ。残念なような安心したような気持ちでドアを開けようとした時。

「風呂に入りたいのか」

すぐ後ろにウィリアムが立っていた。叫びそうになるのを堪え、振り返る。

「はい。身体を清めたくて」

「そうか。少し待て」

ドアの前で30秒も待っただろうか。すぐにウィリアムが戻って来た。

「用意が出来た」

「ありがとうございます」

「手伝おう」

そういう声は柔らかだ。犯されていた時と違って、声も口調も穏やかで優しい。
ここで断れば、また態度を変えられてしまうかもしれない。
求められている言葉を口にする。

「お願いします」



男2人で入っても余裕のあるバスタブには、温い湯が張られていた。
立ち込める湯気からほのかに薔薇の香りがする。オイルが数滴落とされているらしい。
そう教えてくれたのはウィリアム。
彼は僕の髪と身体を洗ってくれた。
そしていま、ウィリアムはバスタブで僕を正面から抱きしめ、香りを堪能するようにうっとりと目を閉じている。

「いい香りですね」

湯と香りに身体と心がほぐされ、ウィリアムにうっかり話しかけてしまった。身体が強張らないよう、ゆっくりと息をする。

「庭の薔薇から作らせたものだ」

穏やかな声で返事が来た。

「素敵なお庭ですね」

「窓から見たのか」

「はい。ガゼボもとても素敵でした」

「気に入ったなら連れて行こう」

ーー外に出られる。

期待を悟られないよう、声が上擦らないようつとめてゆっくりと頷く。

「はい」

「では、次は庭だな」

パチンッとウィリアムが指を慣らすと一瞬で庭にあるガゼボの前に移動していた。髪も身体も乾き、仕立ての良いシャツとズボンに着替えている。
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