8 / 31
本編
8.穏やかな日々と贈り物 *
しおりを挟む
ここへ来て、たくさんの時間が流れた。
ウィリアム様に抱かれ、同じベッドで眠り、与えられる食事を摂る。
たまに彼が出掛けると、不安と心細さからずっと泣いてしまう。
それを知ったウィリアム様は、彼がまとうものと同じ香水を振りかけた白いウサギのぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
抱きしめると、ウィリアム様と同じ匂いがする。
「ありがとうございます」
「喜んでくれて嬉しいが、私がいる時に抱くのは駄目だ」
「はい」
椅子にそっとウサギを座らせ、ウィリアム様に近寄り、キスを強請る。頬を撫でられ、軽いキスを何度も与えられた。
「今日はもう出掛けないから、ずっとリヒトのそばにいられる」
「嬉しいです」
いつの頃からか、ウィリアム様の望む言葉がすらすらと出るようになった。その度に褒め、苦しいほどに甘やかされる。
「したいことはあるか?」
「ウィル様と一緒にいたいです」
そう伝えると、ウィリアム様は僕の腰を撫で、首筋を吸い上げた。
「んーー」
「もうしたくなったのか? 昨夜あんなに愛し合ったのに。はしたない子だ」
そういうと詰るように僕の胸の尖りを摘みあげた。
「あぁんーーはしたないのは、きらいですか」
「いいや。大歓迎だよ」
ウィリアム様は一瞬のうちに僕を抱き上げ、ふわふわの絨毯が敷かれた床に押し倒した。あと、数歩でベッドがあるのに。
ウィリアム様の性急さにうっとりと目を閉じ、身を任せた。
ウィリアム様は魔法を使って2人分の服を一瞬で消した。急に素肌に触れた絨毯の感触にひゃっと声を上げて背を反らす。
シーツともソファとも違う、ふわふわとした感触が気持ち良くてくすぐったい。
ふふっと笑いこぼすと、ウィリアム様は不思議そうな顔で僕を見た。
「絨毯が、くすぐったくて……ッ」
「くすぐったいだけか?」
ウィリアム様が僕の足首を持って、絶妙な高さですうっと絨毯の上を滑らせる。足の裏をくすぐられるようなむず痒さと気持ちよさに身を捩った。
「ひゃっ……んん、くすっぐ……たぃ……あぁんっ……だめ、きもちぃ……あぁ」
「リヒトの身体はどこも敏感だな」
ウィリアム様は笑って持っていた僕の足首にちゅっと音を立てて口付けた。
「やぁんっーーんんッ」
甘い唇の刺激に腰が跳ね、ふわふわの毛並みをお尻で撫でた。
「今度、羽根ペンをプレゼントしようか」
「羽根ペン?」
「ああ、きっとリヒトのここは気にいるだろうな」
そういってウィリアム様は僕の胸にキスをくれる。
羽根ペンで、胸をどうするの? 字を書くの?
きょとんとしてウィリアム様の濃紺の瞳を見つめると、頬を撫でられ口付けられる。
「お楽しみは今度だ。今夜はリヒトお気に入りの絨毯で楽しもうか」
「はい、いっぱい可愛がってください」
そう言ってウィリアム様の背に手を回すと、正解と耳元で囁かれた。そう言われた日のウィリアム様はとても優しく抱いてくれる。
今夜もお腹の中に何度も何度も注いでくれた。
ウィリアム様のものでいっぱいになったお腹を撫でる。
「ウィル様、はやく赤ちゃんが出来るといいですね」
「安心しなさい、きっともうすぐ出来る」
「本当ですか! 嬉しいです。早く会いたいな、ウィル様と僕の赤ちゃん」
ウィリアム様もお腹を撫でる僕の手を取って一緒に撫でてくれた。
僕がウィリアム様の望まれる言葉が分かるようになった頃、プレゼントだよと言って、赤ちゃんが出来るところを魔法で身体に作ってくれた。
すぐ出来ますか?と訊ねた僕にウィリアム様は頑張ろうね、と優しくキスをくれた。
ウィリアム様は僕にたくさんのものをプレゼントしてくれる。だから、僕もウィリアム様に赤ちゃんをプレゼントしたい。
2人きりじゃなくなるのは、寂しいけど2人の子ならきっと楽しい。
ウィリアム様がお出掛けの日もきっと。
目が覚めると、ベッドに寝ていた。愛し合っている途中で眠ってしまったみたい。
「お目覚めかな」
「すみません、僕……」
ウィリアム様をおいて眠ってしまったことが申し訳なくてうつむくと、髪にそっと口付けられた。
「今夜もとても愛らしかった」
「恥ずかしい……」
そう言って身を捩れば、すぐに腕の中に抱き戻される。
ウィリアム様の腕の中はいつも暖かく心地良い。うっとりとその体温に目を閉じると、上からウィリアム様の少し悲しそうなが降って来た。
「リヒト、明日はまた出掛けないと行けない」
「そう、なんですか……」
「寂しい想いをさせるが、すぐに帰ってくるつもりだ。しかし、昼に戻るのは無理そうなんだ」
「寂しいです……」
瞳を潤ませると、目元にちゅっと口付けられ、涙を吸われる。
「泣かないで。ウサギに魔法をかけていくから、お腹が空いたら話しかけなさい。お前の好きなものが出てくるよ」
「分かりました……」
ウィリアム様の気持ちは嬉しいけど、それでも僕の気持ちは沈んだまま。
「まだ寂しそうだね。そうだ。もう1つ魔法を掛けておこう。リヒトは庭が好きだろう?」
紅い薔薇が咲き誇るウィリアム様と僕だけの庭。そこでウィリアム様と時折、お茶を飲む。
「はい。とても好きです」
「ウサギに言えば連れて行ってくれるようにしておく」
「ありがとうございます」
微笑んでお礼を伝えると、ウィリアム様は優しく髪を撫でてくれた。
僕はここから、自力では出られない。分厚いガラスがはめ殺された二重窓とバスルームへ続くドアしかないこの部屋から。
ウィリアム様に抱かれ、同じベッドで眠り、与えられる食事を摂る。
たまに彼が出掛けると、不安と心細さからずっと泣いてしまう。
それを知ったウィリアム様は、彼がまとうものと同じ香水を振りかけた白いウサギのぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
抱きしめると、ウィリアム様と同じ匂いがする。
「ありがとうございます」
「喜んでくれて嬉しいが、私がいる時に抱くのは駄目だ」
「はい」
椅子にそっとウサギを座らせ、ウィリアム様に近寄り、キスを強請る。頬を撫でられ、軽いキスを何度も与えられた。
「今日はもう出掛けないから、ずっとリヒトのそばにいられる」
「嬉しいです」
いつの頃からか、ウィリアム様の望む言葉がすらすらと出るようになった。その度に褒め、苦しいほどに甘やかされる。
「したいことはあるか?」
「ウィル様と一緒にいたいです」
そう伝えると、ウィリアム様は僕の腰を撫で、首筋を吸い上げた。
「んーー」
「もうしたくなったのか? 昨夜あんなに愛し合ったのに。はしたない子だ」
そういうと詰るように僕の胸の尖りを摘みあげた。
「あぁんーーはしたないのは、きらいですか」
「いいや。大歓迎だよ」
ウィリアム様は一瞬のうちに僕を抱き上げ、ふわふわの絨毯が敷かれた床に押し倒した。あと、数歩でベッドがあるのに。
ウィリアム様の性急さにうっとりと目を閉じ、身を任せた。
ウィリアム様は魔法を使って2人分の服を一瞬で消した。急に素肌に触れた絨毯の感触にひゃっと声を上げて背を反らす。
シーツともソファとも違う、ふわふわとした感触が気持ち良くてくすぐったい。
ふふっと笑いこぼすと、ウィリアム様は不思議そうな顔で僕を見た。
「絨毯が、くすぐったくて……ッ」
「くすぐったいだけか?」
ウィリアム様が僕の足首を持って、絶妙な高さですうっと絨毯の上を滑らせる。足の裏をくすぐられるようなむず痒さと気持ちよさに身を捩った。
「ひゃっ……んん、くすっぐ……たぃ……あぁんっ……だめ、きもちぃ……あぁ」
「リヒトの身体はどこも敏感だな」
ウィリアム様は笑って持っていた僕の足首にちゅっと音を立てて口付けた。
「やぁんっーーんんッ」
甘い唇の刺激に腰が跳ね、ふわふわの毛並みをお尻で撫でた。
「今度、羽根ペンをプレゼントしようか」
「羽根ペン?」
「ああ、きっとリヒトのここは気にいるだろうな」
そういってウィリアム様は僕の胸にキスをくれる。
羽根ペンで、胸をどうするの? 字を書くの?
きょとんとしてウィリアム様の濃紺の瞳を見つめると、頬を撫でられ口付けられる。
「お楽しみは今度だ。今夜はリヒトお気に入りの絨毯で楽しもうか」
「はい、いっぱい可愛がってください」
そう言ってウィリアム様の背に手を回すと、正解と耳元で囁かれた。そう言われた日のウィリアム様はとても優しく抱いてくれる。
今夜もお腹の中に何度も何度も注いでくれた。
ウィリアム様のものでいっぱいになったお腹を撫でる。
「ウィル様、はやく赤ちゃんが出来るといいですね」
「安心しなさい、きっともうすぐ出来る」
「本当ですか! 嬉しいです。早く会いたいな、ウィル様と僕の赤ちゃん」
ウィリアム様もお腹を撫でる僕の手を取って一緒に撫でてくれた。
僕がウィリアム様の望まれる言葉が分かるようになった頃、プレゼントだよと言って、赤ちゃんが出来るところを魔法で身体に作ってくれた。
すぐ出来ますか?と訊ねた僕にウィリアム様は頑張ろうね、と優しくキスをくれた。
ウィリアム様は僕にたくさんのものをプレゼントしてくれる。だから、僕もウィリアム様に赤ちゃんをプレゼントしたい。
2人きりじゃなくなるのは、寂しいけど2人の子ならきっと楽しい。
ウィリアム様がお出掛けの日もきっと。
目が覚めると、ベッドに寝ていた。愛し合っている途中で眠ってしまったみたい。
「お目覚めかな」
「すみません、僕……」
ウィリアム様をおいて眠ってしまったことが申し訳なくてうつむくと、髪にそっと口付けられた。
「今夜もとても愛らしかった」
「恥ずかしい……」
そう言って身を捩れば、すぐに腕の中に抱き戻される。
ウィリアム様の腕の中はいつも暖かく心地良い。うっとりとその体温に目を閉じると、上からウィリアム様の少し悲しそうなが降って来た。
「リヒト、明日はまた出掛けないと行けない」
「そう、なんですか……」
「寂しい想いをさせるが、すぐに帰ってくるつもりだ。しかし、昼に戻るのは無理そうなんだ」
「寂しいです……」
瞳を潤ませると、目元にちゅっと口付けられ、涙を吸われる。
「泣かないで。ウサギに魔法をかけていくから、お腹が空いたら話しかけなさい。お前の好きなものが出てくるよ」
「分かりました……」
ウィリアム様の気持ちは嬉しいけど、それでも僕の気持ちは沈んだまま。
「まだ寂しそうだね。そうだ。もう1つ魔法を掛けておこう。リヒトは庭が好きだろう?」
紅い薔薇が咲き誇るウィリアム様と僕だけの庭。そこでウィリアム様と時折、お茶を飲む。
「はい。とても好きです」
「ウサギに言えば連れて行ってくれるようにしておく」
「ありがとうございます」
微笑んでお礼を伝えると、ウィリアム様は優しく髪を撫でてくれた。
僕はここから、自力では出られない。分厚いガラスがはめ殺された二重窓とバスルームへ続くドアしかないこの部屋から。
44
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる