妹の聖女召喚に巻き込まれて異世界に行ったら王弟に監禁されて愛妾にされました

茶味

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本編

8.穏やかな日々と贈り物 *

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ここへ来て、たくさんの時間が流れた。

ウィリアム様に抱かれ、同じベッドで眠り、与えられる食事を摂る。
たまに彼が出掛けると、不安と心細さからずっと泣いてしまう。
それを知ったウィリアム様は、彼がまとうものと同じ香水を振りかけた白いウサギのぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
抱きしめると、ウィリアム様と同じ匂いがする。

「ありがとうございます」

「喜んでくれて嬉しいが、私がいる時に抱くのは駄目だ」

「はい」

椅子にそっとウサギを座らせ、ウィリアム様に近寄り、キスを強請る。頬を撫でられ、軽いキスを何度も与えられた。

「今日はもう出掛けないから、ずっとリヒトのそばにいられる」

「嬉しいです」

いつの頃からか、ウィリアム様の望む言葉がすらすらと出るようになった。その度に褒め、苦しいほどに甘やかされる。

「したいことはあるか?」

「ウィル様と一緒にいたいです」

そう伝えると、ウィリアム様は僕の腰を撫で、首筋を吸い上げた。

「んーー」

「もうしたくなったのか? 昨夜あんなに愛し合ったのに。はしたない子だ」

そういうと詰るように僕の胸の尖りを摘みあげた。

「あぁんーーはしたないのは、きらいですか」

「いいや。大歓迎だよ」

ウィリアム様は一瞬のうちに僕を抱き上げ、ふわふわの絨毯が敷かれた床に押し倒した。あと、数歩でベッドがあるのに。
ウィリアム様の性急さにうっとりと目を閉じ、身を任せた。


ウィリアム様は魔法を使って2人分の服を一瞬で消した。急に素肌に触れた絨毯の感触にひゃっと声を上げて背を反らす。
シーツともソファとも違う、ふわふわとした感触が気持ち良くてくすぐったい。
ふふっと笑いこぼすと、ウィリアム様は不思議そうな顔で僕を見た。

「絨毯が、くすぐったくて……ッ」

「くすぐったいだけか?」

ウィリアム様が僕の足首を持って、絶妙な高さですうっと絨毯の上を滑らせる。足の裏をくすぐられるようなむず痒さと気持ちよさに身を捩った。

「ひゃっ……んん、くすっぐ……たぃ……あぁんっ……だめ、きもちぃ……あぁ」

「リヒトの身体はどこも敏感だな」

ウィリアム様は笑って持っていた僕の足首にちゅっと音を立てて口付けた。

「やぁんっーーんんッ」

甘い唇の刺激に腰が跳ね、ふわふわの毛並みをお尻で撫でた。

「今度、羽根ペンをプレゼントしようか」

「羽根ペン?」

「ああ、きっとリヒトのここは気にいるだろうな」

そういってウィリアム様は僕の胸にキスをくれる。
羽根ペンで、胸をどうするの? 字を書くの?
きょとんとしてウィリアム様の濃紺の瞳を見つめると、頬を撫でられ口付けられる。

「お楽しみは今度だ。今夜はリヒトお気に入りの絨毯で楽しもうか」

「はい、いっぱい可愛がってください」

そう言ってウィリアム様の背に手を回すと、正解と耳元で囁かれた。そう言われた日のウィリアム様はとても優しく抱いてくれる。

今夜もお腹の中に何度も何度も注いでくれた。
ウィリアム様のものでいっぱいになったお腹を撫でる。

「ウィル様、はやく赤ちゃんが出来るといいですね」

「安心しなさい、きっともうすぐ出来る」

「本当ですか! 嬉しいです。早く会いたいな、ウィル様と僕の赤ちゃん」

ウィリアム様もお腹を撫でる僕の手を取って一緒に撫でてくれた。

僕がウィリアム様の望まれる言葉が分かるようになった頃、プレゼントだよと言って、赤ちゃんが出来るところを魔法で身体に作ってくれた。
すぐ出来ますか?と訊ねた僕にウィリアム様は頑張ろうね、と優しくキスをくれた。

ウィリアム様は僕にたくさんのものをプレゼントしてくれる。だから、僕もウィリアム様に赤ちゃんをプレゼントしたい。
2人きりじゃなくなるのは、寂しいけど2人の子ならきっと楽しい。
ウィリアム様がお出掛けの日もきっと。






目が覚めると、ベッドに寝ていた。愛し合っている途中で眠ってしまったみたい。

「お目覚めかな」

「すみません、僕……」

ウィリアム様をおいて眠ってしまったことが申し訳なくてうつむくと、髪にそっと口付けられた。

「今夜もとても愛らしかった」

「恥ずかしい……」

そう言って身を捩れば、すぐに腕の中に抱き戻される。
ウィリアム様の腕の中はいつも暖かく心地良い。うっとりとその体温に目を閉じると、上からウィリアム様の少し悲しそうなが降って来た。

「リヒト、明日はまた出掛けないと行けない」

「そう、なんですか……」

「寂しい想いをさせるが、すぐに帰ってくるつもりだ。しかし、昼に戻るのは無理そうなんだ」

「寂しいです……」

瞳を潤ませると、目元にちゅっと口付けられ、涙を吸われる。

「泣かないで。ウサギに魔法をかけていくから、お腹が空いたら話しかけなさい。お前の好きなものが出てくるよ」

「分かりました……」

ウィリアム様の気持ちは嬉しいけど、それでも僕の気持ちは沈んだまま。

「まだ寂しそうだね。そうだ。もう1つ魔法を掛けておこう。リヒトは庭が好きだろう?」

紅い薔薇が咲き誇るウィリアム様と僕だけの庭。そこでウィリアム様と時折、お茶を飲む。

「はい。とても好きです」

「ウサギに言えば連れて行ってくれるようにしておく」

「ありがとうございます」

微笑んでお礼を伝えると、ウィリアム様は優しく髪を撫でてくれた。

僕はここから、自力では出られない。分厚いガラスがはめ殺された二重窓とバスルームへ続くドアしかないこの部屋から。

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