妹の聖女召喚に巻き込まれて異世界に行ったら王弟に監禁されて愛妾にされました

茶味

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本編

10.兆し

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ウィリアム様のものを胎で受け止めた時、いつもと違う感じがした。放たれた液が落ち着き場所を求めているように、ぐるぐるとお腹の中を動き回っている。
痛いとか、苦しいとか、嫌な感じはしない。
それどころか、ぽかぽかと温かくウィリアム様に撫でられているみたいな優しさを感じた。

「ウィル様、お腹が変です」

「うん? 痛いのか?」

「いいえ、あったかいものが動き回っています」

僕の言葉にウィリアム様はとても嬉しそうに笑った。

「そうか、では、私が落ち着くところへ案内してあげよう」

そういって、ウィリアム様は僕のお腹に手を当てると、中で動き回っている熱を捕まえた。優しくゆっくりと、僕の下腹部へ導く。
探るように動いていた熱はやがてじっと動かなくなり、僕の体温と混ざり合った。

「落ち着いたか」

「動かなくなりました。何だったのでしょうか」

お腹を撫でながらウィリアム様を見ると、内緒話をするみたいに耳に唇を寄せて教えてくれる。

「リヒトの胎に赤ちゃんが来てくれたみたいだ」

「本当ですか?」

やっと来てくれた。僕とウィリアム様の赤ちゃん。

「ああ。でもまだ、安定してないから、当分、激しい運動は駄目だ」

「分かりました」

「つまり、さっきまでしてたことをお休みしようって話だが、本当に分かった?」

「え?」

ウィリアム様に愛してもらえないの?

「そんな哀しそうな顔するな。激しくない方法で気持ち良くなろう」

「ウィル様……?」

「お腹に負担をかけなくても気持ち良いことはたくさんあるから」

優しいキスが頬に落ちる。
まだしたことないことかな。ウィリアム様と新しいことが出来るのは嬉しい。
にこっと笑うと、ウィリアム様も微笑んでくれた。

「赤ちゃんはいつ出てきてくれますか?」

「うーん、10ヶ月くらいかかるかな」

結構お腹の中にいるんだ。

「まだまだ先ですね」

「ああ。だが、それまでは、私がリヒトを独り占めだ」

「僕もウィリアム様を独り占めですね」



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